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第5話 お母さんの願い

「でも、果鈴会長ってお母さん想いなんですね」

 もし、私が同じ立場だったら、絶対無理だと思う。だって、私の場合だったら『明日から男装して高校通ってね』なんて言われても、絶対しないと思うし。他にして欲しいことはないの? って聞くと思う。

「そんなことないと思うけど。出来ることならしてあげようって思っただけだから」

「それが偉いんですって!」

 そんな行動力は私には備わっていないですよ。いや、しようとしないだけなんですけどね。そんなこと思ったこともなかったよ。

「母はね、女の子が欲しかったんだって。でも、生まれてくる子は男の子だった。嫌なわけじゃなかったらしいんだけど、やっぱり女の子が欲しかったんだって」

「そういうことだったんですか」

 てっきり、ただのお母さんのそういう趣味なのかと思ってたら、そういう訳でもないのね。

 だってそう思うでしょ。なんというか、息子が女装して戸惑っている様子を見たい、みたいな感じ。って、私は変態ではないからな。そう言う事を想像することが好きなだけだ。それだけだ。

「うん。それで、今は私がその代わりをやってるって感じだ」

「そうすることは嫌じゃないんですか?」

 私には多分無理なことを、果鈴会長は平然とやっている。現に今も。そう出来ることを、私は本当にすごいなと思う。いくらお母さんの頼みであったとしても。

「少し嫌だけど、それで母が元気になるのならいいかなって思う」

「そう考えることが出来る果鈴会長って、やっぱりすごいと思います」

 誰かのために、少し嫌なことでもしてあげられるってとてもすごいことだと、私は思う。しかも、その事をずっと隠しながら生活していたなんて。

 でも、なんでそこまで隠そうとしていたことを私に言ったんだろ。ここまで来れば、卒業まで隠し通せばよかったのに。

「ありがとう。でも、普通の事だから」

 あぁ、かっこいいです。果鈴会長。なんでだろ、女子じゃないってわかってるのに、男子だってわかったのに。

 あの憧れの果鈴会長とこんなに近くで話せているってことがすごく嬉しい。ずっと、手の届かないところにいるって思っていた人の近くでいれることが信じられない。

 こうして生徒会役員として一緒にいることが出来る時間が増えたけど、果鈴会長は私の事どう思ってるんだろ。やっぱり、ただの女子高生の一人としてしか見ていないのかな。

 きっと、そうだよね。

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