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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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白菜と寒い話

 仕事も一通り終わった在宅勤務の日。何気なく近所のスーパーにいって目に入ったのは白菜だった。白菜ってお鍋に入れるとおいしいよね。

(でもお鍋ばかりじゃつまらないよね)

 まじまじと白菜を見ながら考えていたら、通りがかったおばちゃんになんか怪訝そうな目を向けられたので慌てて下がったけど、ただ献立考えていただけなんだってば……。

 白菜って厚揚げと一緒に甘辛く炊いてもおいしいし、グラタンに入れてもなかなかいける。クリーム煮だっておいしい。寒い季節の万能選手なんだよね。

 色々考えていると、見知った顔のひょろっとした青年がやってくる。大学の後輩である卯本君だ。

「あ、鈴木先輩! 夕食の買い物ですか?」

「うん。白菜を使って何にしようかな~って」

 僕が「迷ってるんだよね」と苦笑しながら答えていると卯本君は即効で「グラタン食べたいです」と言ってきた。今日は白菜のグラタンだ。


 白菜を適当に刻み、マカロニも湯がく。ついでに鶏肉もから揚げ用のを3分の1に。あとはタマネギも刻んで、ブナシメジは石突をきってばらばらに。

 フライパンにバターを40グラムぐらい解かして、材料を炒め小麦粉を混ぜて(小麦粉の量は具によって調節)塩とコショウで下味。牛乳を入れたらとろみが付くまで(焦げないように!)混ぜながら熱する。これでも結構いい匂いがするんだよね。この時にコンソメを入れるけど個人的に顆粒状が使いやすいんだよね。キューブを崩すのは面倒だし。

「卯本君、グラタン皿にバター塗っておいてくれる? そのほうが引っ付きにくくなるし」

「はーい」

 その間に卯本君にはお手伝いを頼む。グラタン皿に前もってバターを塗る(もしくは皿の内側をぬらしておく)と後々洗うときが本当に楽。グラタンの具は温かいうちにお皿に入れて焼かないといけないから、時間との勝負なんだよね、有る意味。

 卯本君にお手伝いを頼んでいる間にこっちも仕上げ。コンソメも入れてかき混ぜた所にピザ用チーズを少々。これがコクを出してくれる。あとはグラタン皿にとろとろのグラタンの具を入れて表面にパン粉と粉チーズで仕上げ。あとは電子レンジにお任せ。

 僕の家の場合は電子レンジに『グラタン』の項目があるからそれを選べばいい。よく焼けたらいいにおいがしてきて、とてもお腹が空いてくる。


「それにしても、卯本君が真顔でグラタン食べたいって言ったときはどうしたの? っておもったけど、どうしたの?」

 焼けるまでの間、卯本君に聞いてみる。と、彼は眼鏡をかけなおしながら苦笑した。

「いやぁ、最近家の仕事の手伝いしていて。まかないとかが和食ばっかりで……。まぁ、おいしいからいいんだけれどもやっぱり時には洋食が食べたいな、という気分になって……」

 そういやぁ、卯本君の実家は料亭だったっけ。大学を卒業したら実家の営業面を手伝うとか言っていたのを思い出す。なんでもこっちの方に数年前からお店が有るそうで講義の合間に修行がてらお手伝いしているんだとか。

「僕の手料理でよければ、楽しんでいってよ。久々の洋食なんでしょ? あぁ、そうそう! ロールパンも軽くオーブントースターで炙ってから食べようか」

 先日、明さんと一緒に大型のスーパーに行ってきて袋に沢山入ったバターロールとかを二人で分けたんだけど、やっぱり多いからね。でも、その大型スーパーのパンはほんのり甘くておいしいんだよね……。

 沢山のバターロールに卯本君が苦笑しながら頷いていると、チャイムがなった。だれだろうと思ったら……何故か米納さんだった。しかも微妙に焦っているようだった。

「どしたの?」

「ごめん、鈴木さん! ちょっと話が……」

 よく見ると、後には明さんもいる。ともかくあがってもらい、ついでに夕食も一緒にとりながら話を聴くことにした。


 * * *


「「ストーカー??」」

 僕と卯本くんの声が重なる。

「そうなのよ。一週間前から帰り道に付きまとわれるのよ。今日もちょっと道を変えたのについてきて……」

 米納さんが怒り混じりに説明する。

 なんでも、仕事の帰りに付きまとわれるそうだが、今のところはそれだけらしい。幸い家までばれていないようで、いつも途中で気配が消えるのだそうな。

「まぁ、毎日途中で寄り道したり道を変えたりしているから」

 と言っていたが家がばれるのも時間の問題かも、と頭を抱えているらしい。

「今日は元々私の家に遊びに来る約束をしていたから最寄り駅じゃない所で降りたんだけど……まけたか判らないのよね」

 明さんが不安げにそう言った側から僕の携帯がなる。不思議に思っていると相手は……折舘くん?

「はい、鈴木です」

「あー、折舘っす。先輩の家の近くになんか怪しい男がいたから気になってたんですけど……。先輩、何かしました?」

「何もしてないけど?」

 折舘君の問いにそう答えながらも怪しい人物の人相とかについて聞いてみる。と、米納さんが頷いた。

「そいつ、ストーカーなのよ」


 ――この部屋の温度が、ぐっ、と下がった瞬間だった。


 ちなみに、この後……折舘君無双となった。

 理由は、……ちょいまて!!





ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

料理要素薄めでちょいと悩みましたが次回こそは!!


あ、因みに続きます。ちょいとおまちを。

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