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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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キミをはむ、キミとはむ


「いいの?」

「うん。良かったらお夕食食べていってよ」

 僕は宅配便から受け取った荷物をあけながら、明さんにそう言った。


 えーっと、まぁ、その。

 告白成功しましたよ……。この年になってとっても照れてしまうけど。

 恋人なのに苗字読みもおかしいので、名前で呼ぶことにしたけど、やっぱり気恥ずかしい気持ちが先にくる。

 そのうちに慣れていくと思いながら僕は一緒に箱の中身をのぞく明さんに微笑んだ。


 親戚から届いた荷物は、ハムの詰め合わせだった。

 なんでもお年賀で頂いたものの同じようなものをいくつも貰ったらしい。そこで僕の家に送られてきたわけだ。

 両親に連絡したところ「兄弟で分けるなりご近所さんにあげるなりしていいよ」との事だったので早速お夕飯にハムステーキを食べることにした。

 分厚くきったハムを、焼く。ただそれだけだけどおいしいよね。

 明さんにはご飯を炊いてもらい、僕は手早く味噌汁も作る。そして、副菜は昨日作ったポテトサラダ。あとは紅茶をいれて……っと。

 ハムは程よく焼き色がつき、いいにおいを漂わせる。胡椒も振ったので丁度いい香りのアクセントにもなっている。丁度ステーキソースもあったからお好みでかけることに。

「足りなかったら焼くから言ってね」

「うん。ありがとう」

 何気ない会話なのに、それだけでなんか幸せを感じる。目が合うだけでなんか幸せだ。こうして2人で食卓を囲めるのが、凄く嬉しい。

 まだ恋人同士になったばかりだけど、この恋をがんばって育んで結婚までいけたらいいな。そこがリスタートラインなのは判っているけどね。兄を見ていると判る。

 口に運べば、ハム特有の塩気と風味が鼻を抜けた。ご飯にあうその味が、程よく疲れた身体に染み渡る。思わず顔をほころばせていると、明さんも同じなのか、にっこり笑っていた。

「おいしい!」

「さすが高級ハムだよね。おいしいねー」

 ステーキソースも案外マッチしていて、ただハムを焼いただけじゃなく、ちゃんとハムステーキになっているなぁ、という気分になる。

 お代わりしたくなってハムを切り、再び2人分焼いていると……、明さんがそっと耳打ちしてきた。

「今度のお休みに、今度はステーキを食べに行かない? 知り合いがいいお店知っているの」

「本当? それじゃあ夕食はソレにしてさ、デートに行こうよ。丁度美術展のチケットを貰ったから明さんを誘おうって思っていたところなんだ。ほら、レンブラントの絵が見たいって言っていたよね?」

 僕の提案に、明さんは「いいね」と笑顔で頷いてくれた。早速脳内のメモに記録しておく。


 ハムの焼ける匂いは食欲をそそり、会話も弾む。たわいも無い会話が、とても心地よくて、なんか嬉しかった。

「ハムステーキ、案外夕食でもいけるね」

「まぁ、けっこう焼いたからね」

 僕らは食事を終えるとそんな風に話しながら紅茶を飲んでいた。これからもこんな日を作りたいな、と思いながら、そっと微笑めば明さんも微笑んでくれた。

「また、一緒に食べよう」

「うん」

 その約束が僕の心を暖かくする。僕は、彼女と過ごす大事な時間のために色々頑張ろう、とそっと誓った。


「食器、私が洗うから旭くんは休んでいて」

「僕がするよ、明さんこそ休んでいてよ」

 ちょっとだけ、どっちが食器を洗うかで若干もめたが、結局分担して一緒に作業したのはここだけの話。


イメージ的に、送られてきたハムは、ロー○イヤーのハムだったりする。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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