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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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失恋ブランチ? ―シナモントースト―

主人公、珍しく……?

前回の続き、です。

幸田こうだ めい

僕と同い年で、パチンコ関連の会社に勤めている。

高校時代は吹奏楽部の部長を務めていたほどの人で、僕にとっては友達。

そんな彼女には、長い付き合いの彼氏がいた……のだが……。


「……浮気?」

「……別の女性とも5年付き合っていて、その人と結婚するんだと」

 僕の家に来た幸田さんは、酷く苛立っていた。幸田さんの彼氏は、僕も知っている。同じ高校の先輩だったし、感じのいい人でしかも僕と同じコントラバスの奏者だった。今ではプロの音楽家だと聞いている。

「私のほうが、浮気相手だったのかもね。……悔しいな、プロポースしてくれるのかな、って期待していたのに」

「どういうこと?」

「結婚情報誌、買っているの見たのよ。それに、『そろそろかな』とか言っていたし。つまりは私と別れるのがって事だったのね」

 幸田さんは、白いご飯とキュウリの浅漬け、急ごしらえの目玉焼きとししゃもを食べながら鬱憤を晴らしていた。僕には、信じられない事ばかりだった。だって、僕の知っている彼氏さんは、幸田さんを本当に大切にしていた。だから、浮気して、別の相手と結婚するって事が……。

「ねぇ、秋田先輩本当にそう言ったの?」

 無言で肯く幸田さん。僕は頭が痛くなった。

「しかも『君なら1人で生きていける。彼女には俺がいないと駄目なんだ』って……。私を何だと思っているのよ!」

 そう、涙目で言った幸田さんは、それ以上何も言わず黙々と食事を取り続けた。


 機嫌を直すには、あれしかない。

 幸田さんは、クールな美人だが実を言うとほんのり甘い物に弱い。


 一番すきなのは、シナモンをつかった物だ。よし、シナモントーストにしよう。食パンもあることだし。普通にトーストして、バターをたっぷり塗って、シナモンシュガーを振り掛ければ完成。ついでに彼女が好きな牛乳もつけよう。


 パンを焼いている間、僕は何気なく彼氏さんに話を聞こうと思った。僕が尊敬している先輩が、そんな酷いことをするとは思えなかったからだ。

 今日は土曜日だが、相手はプロの演奏家だ。忙しいとは思うが、僕は思い切って携帯の番号を押す。しばらくしたあと、先輩は出た。

「なんだ、鈴木じゃないか。何だ?」

 楽しそうな声の先輩に、何故だろう、胸の中がざわついた。妙に苦いものが口の中に広がる。先輩は、幸田さんの現状を知らないのだろうか。

「お久しぶりです、先輩。あの、1ついいですか?」

「おう」

「幸田さん、泣かせたの何故ですか?」

 僕は、自然と冷たい声になっていた。僕の問いかけに、先輩が言葉を詰まらせる。僅かに、女性の声が先輩を呼ぶ。

「明の、ことか?」

「何故、彼女を捨てたんですか? 、てっきり幸田さんと」

「俺にも事情があるんだよ」

 先輩は、聞いた事も無いような固い声で答える。そして、聞こえてきた理由に、僕は物凄く頭が痛くなった。

「何やってるんですか、先輩。なんでそんな事をしたんですか? 貴方には幸田さんがいたでしょ? なんで他の女性と」

「うるさい」

 いつの間にか責めていた僕に、先輩は厳しい声で言う。

「男より強い女ってのは、重いんだよ。あいつは、男が無くても1人で生きていける。むしろ、1人で生きていたほうが幸せだ」

「……先輩、最低ですね」

 僕はそれだけ言うと、電話を切った。そして、パンは少しさめていた。


「……鈴木、くん?」

 不意に、幸田さんの声がした。幸田さんは、戸惑ったような表情で僕を見る。

「いえ、何でもないですよ。幸田さん、今日はとことん付き合います! 何でも言ってくださいよ。僕、幸田さんの好きなもの作りますから!」

「鈴木くん、どうしたの?」

「そうだ、話題の映画が見たいって言っていましたよね? クレイアニメーションのやつ。いまから近くの映画館でやっているか調べましょう!」

 僕はつとめて明るく振舞う。さっきの会話を聞かれていないかが気がかりだけど。今は、幸田さんを元気付けるのが先決だ。

 幸田さんは、僕の様子に苦笑して、ややあって呟いた。

「ありがとね、旭くん」

 お礼を言われるほどの事を、僕はしていない。友達を元気付けたいだけなんだ。

 

予想つくと思います。秋田が幸田さんをふった理由……。


ともかく、読んでくださりありがとうございました。

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