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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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へたれたす


 まぁ、色々あったわけで。

 今、僕は会社帰りに偶然幸田さんと出くわしている。


 どういった訳かと言うと、まぁ、幸田さんが元カレからもらったイヤリングを耳につけていただけで未練があるのかな、とかおもってさ。……妙に嫉妬してしまったんだよね。元カレに。

 そこで妙にすれ違って……、竹田兄弟によって説教とか励ましとか受けて、僕は幸田さんにきっちり告白しよう、と決めたわけだけれども。

 詫びのメール入れたら、返事返ってこなかった。

 それもその筈だ。だって、幸田さん、具合悪そうだもん。

 目の前の幸田さんは、熱っぽい様子でマスクをし、ふらふらとスーパーに向かっていた。


「ちょっ?! 連絡くれたら飛んでくのに!」

「ん……、誤解招いたっぽいし、言い辛くて。それに、熱が下がらなくて体痛くて」

 うつろな目だけど、申し訳無さそうにしゅん、とする幸田さん。そんな姿がちょっと痛々しい。見てられない。

「ああ、もう! 買い物は僕がするから! 幸田さんはお家で寝て待ってて!」

 とりあえず、彼女に肩を貸して、家まで送る事にした。あれ? 僕、先日の事を謝ろうとしたんだよね? まぁ、しょうがないか……。


 買い物をぱっぱと終わらせて幸田さんの家に戻ると、幸田さんはベッドの上で辛そうにしていた。食欲がない、と言っていたけど、何か食べなくちゃと言ったら「レタス食べたい」と言われてしまった。とりあえずレタスの他にも野菜を買って、サラダを作ってみる。んー、温野菜とレタスでクリーム系のドレッシングを会えるのもいいな。でもレタスをスープにするのもありだよね。

「幸田さん、レタスだけどさ、サラダとスープはどっちで食べたい?」

「……どっちも食べたい。サラダはゴマドレで食べたいよ」

 気だるげな声から、そうとう辛いんだろうな、というのは解る。お医者さん曰くインフルエンザではないらしい。日頃の疲れもあって風邪の症状が酷くなったのだろう、との事だった。

 まぁ、食欲がなくてもちゃんと食べてもらわなくちゃね。レタスをつかったサラダとスープ、つくりますか。


 まずサラダ。洗って適当に千切ったレタスをクルトン、トマト、蒸したニンジンにシーチキンをごまのドレッシングで和える。あと缶詰のコーン(粒がとってあるもの)もつかって色合いを出す。フライドオニオンも添えたらもっとよかったかも?

 しゃきしゃきとしたレタスは美味しいよね。それに新鮮な野菜を色々組み合わせればりっぱにサラダ。ドレッシングはいろんなのがあるけど、これはもうお好みだよね。チーズとか使ってシーザーサラダにしてもよかったけど、こってりしてるかな?

 スープは他の野菜とウインナーを使ってみよう。タマネギとレタスをいため、ちょっとだけチューブのニンニクを入れてみる。そこに刻んだウインナーを入れて水をいれて熱を加える。ブイヨンとコンソメを使って、塩、胡椒で味を調える。隠し味に醤油を加えてもいいかなぁ? そこはお好みで。

 野菜をいためるときは可能ならオリーブオイルがいいかも。今回は結婚式の引き出物でもらったというオリーブオイルを使用してみた。極上の物らしく、なんだか胸が躍るね。

 調理している間にも、幸田さんはぽつぽつと話していた。イヤリングの事情も、もうそれを売ってることも、そこそこ良い値段で売れたことも聞いた。

「あまり話すと、疲れ取れないよ。みんなわかったし、勝手に嫉妬した僕が悪いんだ。……今は、ゆっくり休んで」

 幸田さんは、僕の言葉に頷いて目を閉じる。ご飯が出来たら起こすから、と約束したときには既に眠りに落ちていて、その寝顔がとても可愛かった。


 しばらくして、ご飯が出来たからと起こしたんだけど……起きない。そうとう疲れていたみたいだね。

「幸田さん、ご飯だよ」

「うーん……、あとちょっと寝たい」

 まぁ、時間に余裕はあるけどさ。……けれど、寝ぼけ眼で枕を抱きしめてる姿が妙に可愛くて、普段のクールさとは違って、なんかこう、胸にぐっ、とくるんだよね。思わずキスしたくなる。

(いや、ダメだから)

 頭を振るけど、妙に色っぽくみえる。だけど相手は病人だぞ。健康体だとしても、押し倒すとか許されないから! 抑えろ自分。

「そんな事言ってたら、キスしちゃうかもよ?」


 言ってから、自分を殴りたくなった。……何言ったんだ自分。気持ち悪がられても仕方ないだろ。


「別にいいよ。鈴木くんなら」

 寝ぼけ眼の幸田さんも何言ってるの……。本気にして良いわけないよね? ホントにキスしたらビンタが飛ぶパターンだよね、これ?

「ったく。兎に角、ご飯を……」

 と言っている側から寝ている幸田さん。熱はちょっと下がった感じにみえるけど……ぶり返さなきゃいいんだけどさぁ……。

「しょうがないな」

 とりあえず、お布団を整えておこう。あとは起きるまでまとう、と思っていると、がしっ、と手を握られた。

「え?」

「側にいて、鈴木君」

 別にそれはいいけど、おきてるの? 寝てるの? おきてるならご飯たべようよ、と言いたいけど幸田さん、まだきついのかな……。考えていると、眠そうに目を開いた。そんなぼんやりした顔も可愛くて。

「君が飽きるまで側にいる」

 そんな事をつい、言ってしまった自分をおもいっきり殴り飛ばしたい。

 そっと幸田さんの頬に手を沿え、見つめる。けど幸田さんはまた眠りの中に落ちてしまった。普段とは違って妙にかわいらしい彼女を見ているうちに、むくむくと愛でまくりたい衝動が沸き起こっていて、必死に押さえる。

「僕は君が」

 思わずそういおうとしたとき、ピンポーン、とチャイムが鳴った。


 ……誰!?


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

幸田さんが微妙に無用心ですが、……ここで察したアナタは凄い。


次回、チャイムを鳴らした人が判明するのか?


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