説教部屋(?)でけんちんうどん
前回のあらすじ
苛々していた鈴木君。想い人の幸田さんが元カレからのプレゼントをつけて歩いていた姿に悶々とし、元カレに妬いた事を告げてしまった。
奴の明日はどっちだ!
※幸田さんからのメールに返事してしまった直後からの話です。
「お前、バカだろ」
「はい、バカです」
うぅ、竹田先輩の言葉は否定できない……。
いや、その、恥ずかしい話だけど僕と幸田さんの会話をたまたま竹田先輩は見ていたらしくて。それで気になって家を訪ねてくれたんだよね……。
「ったく、そんな事言っても困惑するだけだろうが」
「そうですよね。僕は本当にどうにかしていました」
竹田先輩の厳しい眼差しに耐えられず、思わず目を逸らす。けど、次の瞬間、物凄く鈍い音がして、頭に痛みが走った。拳骨されたの、何年ぶりだろ?
「で……、どう落とし前つけるつもりなんだ」
「きちんと、告白しようと思います」
竹田先輩の厳しい視線に去られながら、僕がそう答える。と、再びチャイム音。出ると、陽気な声が聞こえてきた。
「やっほーい、鈴木ぃ! 野球しようぜー」
「野球する場所ないでしょ?」
「ううん、パ○プロもってきたんだー」
同級生の竹田くんだった。野球大好きっ子で、怪我さえなかったら確実にプロになれたかもって人。今、本人は幼稚園で先生をしているんだよね。
僕らの遣り取りを聞いた竹田先輩が、インターホンの受話器をひったくる。
「おい、幸弥。今取り込み中だ」
「えー、幸緒兄さん来てたの? なんか直感的に鈴木の元気が無い気がして来ただけなんだけどなー」
と、兄弟が仲良く話している(?)間に僕は紅茶を淹れていた。
※ややこしくなるので、竹田兄弟は下の名前で出させていただきます。
「ふんふん。あー、そういう……」
今までの事情を話していると、幸弥くんは真顔で
「嫉妬するのもアレだけど幸田さんもちゃんと言えばよかったのに」
との事。
「どういう事?」
幸緒先輩が不思議そうに問いかけると、幸弥くんは紅茶を一口飲んでから
「だって、幸田は、あれを買い取り専門店にもって行く途中だったんだもん」
ときっぱり答えた。
「「ええ~~っ?!」」
「そう言われても。僕も丁度いらないタオルとか売りに行ったトコでね。店から出た時に幸田に会ったんだよ。で元気ないから聞いたら『鈴木くんに誤解された』とか言ってたからねぇ」
と、幸弥くん。うわぁ、幸田さんそんなにショックだったのか。
なんでも、親戚の結婚式に親の代理で出たらしく、その際パールのイヤリングをつけて出るよう言われたのだと。それで結婚式が終わって着替えてそのまま買い取り専門店に持っていったのだと。
いや、それわからないから……。というか、嫉妬心をむき出しにした僕が悪いよね。うん、わかってる……。
「ともかく、幸田さんに悪いことしたな」
僕が罪悪感を覚えて机につっぷしてると、幸緒先輩が僕の方をぽん、と叩いた。
「さっきは拳骨して悪かった。まぁ、飯作ってやるから……」
「あ、幸緒兄さん手伝うよ!」
幸弥くんも手を上げてそういい、2人は冷蔵庫を開けて話し合いを始めた。まぁ、許可は出してたけど、一体何を作るんだろう?
「よーし、元気が出ない日は竹田家特製けんちんうどんだ!」
「だ!」
竹田兄弟が、僕の家のキッチンで並んで料理してるのが、ちょっとシュールに思えてしまった……。人見知りが多少あるけど冷静で頼りになる幸緒先輩と、ハイテンションでムードメイカーな幸弥くんの兄弟は、中学時代からすっごく目立っていたっけ。
「ニンジン、ダイコンの皮をむいていちょう切り。ゴボウはそぐように」
「シイタケは四分の一~! ついでに鳥の細切れも準備!」
と、言いながらテキパキと野菜を切る。元々炊き込みご飯作るつもりだったんだけど寒いし、これがいいかもしれない。
「片栗粉は前もって水で溶いておく。そいでもって……」
「南(↓)○(↑)あげ~(→)!」
そう言って幸弥くんが取り出したのは、薄くてぱりっぱりのあげ。母方の親戚がよく送ってくれるんだけどこれがまた美味しいんだよ。
そうして水で野菜と鶏肉、あげを煮込みうどんのスープ(粉)とか出汁(顆粒)とか使って味付けし、その間に冷凍のうどんをレンジでチン、と温めておく。野菜も煮えて美味しそうになったら水溶き片栗粉を加えて味を調えれば完成。
「「竹田家特製けんちんうどん!!」」
そう言ってどんぶりにうどんを入れ、けんちん汁をぶっかける。出汁のよい香りがテンションをあげてくれる。
話によると、2人が風邪を引くとよくおばあちゃんが作ってくれたみたい。進められて食べてみると、野菜の食感と風味が良かったな。欲を言うとサトイモも欲しいけど我慢我慢。
けんちん汁の風味と程よいとろみが麺に絡まって、体も心も思考回路も温めてくれる。このつるりんとした喉越しもいいなぁ。
そんな事を思い出しつつ食べていると。幸弥くんがこんな事を言い出した。
「ねぇ、幸田と鈴木って本当に付き合ってないの?」
「っ?! そうだよ! まだ付き合ってないよ!」
思わず声を上げる僕に幸緒先輩が頭を抱えている。でも、次の言葉に、僕は面食らった。
「幸田の反応みてたら、既に付き合ってるのかと思った」
「……幸弥、それ本当か?」
幸緒先輩の言葉に頷きながら、幸弥くんは僕の目を見て言った。
「ホントだと思うなら、直接口にして聞いてみたら?」
えーっと、幸弥の方のモデルは某野球好き青年です。
もうバレバレですがこの2人のモデルは同じアニメの登場人物です。
ともかく、ここまで読んでくださりありがとうございました。




