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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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今思えばカレーが未だだった(作者談)

 ――ふんふふふ~ん♪


 1月も折り返し、そろそろ給料日前。流石にマンションの家賃で収入がちょっとは良いとはいえ、節約するに越した事はない。一応、電気代とかガス代の節約に料理の作りおきとかもやっていたりするわけだが、やっぱり『給料日前』というキーワードが「引き締めなければ」って気持ちにさせてしまうんだろうなぁ。

 それでも、美味しいご飯を作るために、僕はこうして楽しい気分で料理をしている。うん、やっぱり作っているときに明るい気分の方が、より美味しくなるような気がするし。


 本日のメニューは、カレー。オーソドックスにカレー。ニンジン、ジャガイモ、タマネギに、牛肉。夏はこれにカボチャを入れたり、素上げしたナスをトッピングしたりするんだよね。鶏肉や豚肉もいいけど、今日は幸田さんリクエストで牛肉に。

 え? なんでここで幸田さんがって? まぁ、彼女も給料日前だから彼女の分も作って2人であと2日をこれで過ごそうという話になったわけなんだよね。

 ニンジンとジャガイモは一口大に。圧力鍋を使うからやや大き目が良いかな。そしてタマネギは四分の一にきってあとはそれなりの厚さに切る。あまり厚すぎてもダメだけと薄すぎると解けるんだよね……。やっぱり原形は留めておいて欲しいよ。

 牛肉はころころしているほうがいいかな? すじ肉でつくるとろとろのカレーもいいけど、下ごしらえが大変だよね(美味しいもののためにはがんばるけどさ)。

「タマネギはよくいためてあめ色に~」

 最初強火で、1分ほどで混ぜれば~って聞いたけどうまく行かない物だね。油断すると焦げる。タマネギがいいかんじになったら、次は火を少し落としてジャガイモとニンジン。そして、お肉。お肉は前もって炒めて、赤ワインをかけておいても良いし、塩コショウで下味をつけておいてもおいしい。

 水を入れて、それにローレルを2枚。あと、隠し味的におろしにんにくを少々と、ブイヨン2,3個

を入れて圧力を掛ける。うん、圧力鍋って便利。煮物系は後から味付けを調節したり長い時間冷ましたりしないといけない、というデメリットはあるけれども。


「ん? メール?」

 圧力を掛けている間に、幸田さんからメールがあった。不思議に思いながら読むと、その内容に少し嫌な予感がする。


 『鈴木くん、悪いけど先に食べていて。帰りが遅くなりそう(><)』


 そこで何があったのかと返信したけど、返事はなし。お仕事で遅くなるなら彼女はそう、メールする。もしかして、とっても忙しいのかな? そういえば新しいパチンコの機種について打ち合わせが~って言っていた気がする。


 メールの返事を待ちながら、圧力鍋の方もチェック。カレーの場合、加圧は5~6分。まぁ、使っているお鍋によると思うけど。時間が経ったらコンロの火を消して、圧力がとけるのを待つ。この間にサラダや茹で卵や福神漬けの用意しておく。茹で卵をつくる機械って便利だよね。

 圧力がとけたところで市販のルーをいれて溶かし、程よく煮込めば完成。われながらよく出来てる、と味見をしていると、幸田さんから漸く返事が来た。


 『大変申し訳ないけれど……迎えに来て。今すぐ。場所は……』


「幸田さん、何があったの……」

 僕は不安になって直ぐに上着と財布を手に迎えに行った。車で指定された場所に行くと、幸田さんが湯元さんと一緒にいた。彼女は湯元さんに頭を下げ、僕の車に飛び乗った。

「遅くなってゴメン!」

「鈴木くん、直ぐ出して」

 あせったようすの幸田さんに頷き、すぐに移動。湯元さんは笑って手を振っていたが、何があったんだろう? 聞ける状態じゃないな、と思って様子を見ていたら、幸田さんが深呼吸をした後、僕に静かに言った。

「ごめんね。今日、いやな相手が飲みに誘ってきて。それで速攻で帰りたくてメールしたの。待っている間も絡まれたんだけど、偶然湯元さんが助けてくれたのよ」

「よかったじゃないか」

 僕が安堵しつつそう答えたとき、幸田さんが少し怪訝そうな顔をした。

「鈴木くん、どうしたの? ちょっと表情が険しいわよ」

「? 怒っていないけど……」

 僕は幸田さんにそう言われ、ちらりとサイドミラーを見てため息をついた。僕の表情が確かに険しい物になっていた。まぁ、幸田さんが困っていたのに直ぐ駆けつけられなかった自分に対して怒ってたんだよね。湯本さんにもやはりちょっと嫉妬してたかも。

「湯元さん、絡んできた相手との間にさりげなく入ってくれてね。なんかああいうのに慣れてるってかんじだったなぁ」

「まぁ、あの人も伊達にエリートやってないわけだし」

 僕がすごいな、と思いつつそう言っていると、幸田さんはちょっとだけくすっ、と笑った。なにがおかしいのか解らなかったけど、幸田さんが少し和んだのならばそれでいい。

「鈴木くん、やっと笑った」

 その言葉に、本当に僕はさっきまで不機嫌そうに見えたのかな、と思ってしまった。


 その後、僕らはカレーを食べながら他愛も無い話をて過ごした。

 こんな日が続いて欲しいけど、やっぱり幸田さんがいやな目にあったのは……嫌だな。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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