【番外】鈴木、身体を気にする
※ネタにつまりました。
食べ物ネタではないので【番外】扱いという事で。
僕はとある日曜日、運動不足を解消するべく運動公園にやってきていた。
仕事は座ってやっているから、定期的に動かないとねぇ……。まぁ、市民オーケストラでの練習もあるし、本当に時々、なんだよね。
この運動公園はアスレチックとか、ジョギングコースとか、グランドとかの他武道館に弓道場、温水プールに体育館、スタジアムと色々揃っている。その上スポーツジムもあるし、近くにはスポーツ用品店やフードコートもあるから休日とかは賑わっているんだ。
今日は気分転換にランニングをしよう! と思ってやって着たわけだけど……。
「鈴木さん、結構足が早いんだね」
何故か傍らに湯元さん。偶然にも出くわして一緒に走っているんだよね。
「そういう湯元さんこそ」
「僕は元陸上部だったっていうのもあるよ。まぁ、競技には出ないけど」
湯元さんはそう言って爽やかに笑う。押しの強いこの人だけど、まぁ、幸田さんさえ絡まなければ普通の人だなぁ、というのが印象。僕も警戒しすぎているってわかっているし。
気楽に時折話しつつのんびり走っていると、ふと傍らの湯元さんの身長が気になった。ぱっ、と見、180センチ前後はありそうだな……。
「湯元さんて身長どれぐらいですか? 僕は160ぎりぎりある程度で、ちょっと羨ましいかな」
だから、ついこんな事聞いてしまった。僕は高校のときに背どまりして163センチしか身長が無いのだ。その上若干(?)微妙にぽっちゃりしているかもしれない。まぁ、よく食べるからね! それでかなぁ。あー、後で体重計ってみよう。
僕の何気ない質問に、湯元さんは苦笑して
「僕かい? 183センチだよ」
と答えてくれた。その上ほど良く筋肉ついているし、定期的にちゃんと運動しているって感じだし、これはモテる訳だわ……。爽やかだし。だけど妙に押しが強い……。
ちらり、と湯元さんをみる。……お腹引き締まってるぅ~。僕はどうかというと、……微妙に肉ついてね? って感じである。つまめないけどこれは注意しないと。一時期本当にぽっちゃりになってた時期あるし、太りやすいかも? うぅ、クッキー食べ過ぎないように注意しないと……。
「ん? 腹筋が気になるのかい?」
「もしかして、割れてます?」
視線に気付いた湯元さんの問いかけに、頷いた上で問いかけで返す。すると、湯元さんはくすっ、と笑って「まぁ」と頷いた。やっぱり割れていたか。シックスパックかぁ……。
「でもまぁ、割れているからっていい事は……」
「そういうものですか?」
「そういうものだよ」
苦笑する湯元さんにとりあえず相槌を返しながら僕は一緒に走り続けた。
休憩を挟みつつジョギングした後。シャワールームで汗を流した僕はなにげなーく自分のお腹を見た。腹回りを後でメジャーで測ってみよう。とりあえずぷにっていない!
(けどまぁ、腹筋と背筋やらないとダメかなぁ)
腹筋背筋と呟いて、チューバ担当の鹿島さんを思い出す。鹿島さんって、休日はスポーツジムに行って身体を鍛えているんだよなぁ。だから見た目は中肉中背に見えるけど、脱ぐと案外凄いんですって感じなんだよね。楽器演奏のためには肺活量が必要だから、と若い頃からの習慣なんだとか。これでプロの演奏家じゃないんだよなぁ。
そんな事を考えていると、シャワールームから湯元さんが出てきた。お腹に目を向けるとやっぱり腹筋は綺麗に割れていた。……おう、シックスパック……。
まぁ、気を取り直して体重計に乗ると、軽く凹んだ。肥満じゃないか。……70キロも体重あったのか。うん、もうちょい間食ひかえよ……う? あれ? 職員さんが僕のほうに来る?
「すいませーん、それ、ちょっと壊れているんですよね。こっちをお使いください」
「は、はい」
との事だった。後から聞くとなんか体重計が狂っていたらしい。最新型のをつかったら、55キロって体重が出た。しかも体脂肪率も出してくれるタイプ。因みに僕は標準的な体脂肪率だそうな。
すこしほっ、としていたら湯元さんが少ししゅん、としていた。そんな風に見えたから、気になった。
「湯元さん、どうしたんですか?」
「いや、体脂肪率が……低すぎてね」
確かに、体脂肪率って低すぎると身体に悪いんだっけ?
「……もう少し食べろという事かな?」
「どうでしょうねぇ」
妙に落ち込んでいる湯元さんの姿を見て、意外だなぁ、と僕は思った。なんかこう、悲しそうというかなんというか、見ていられなかった。
後で美味しいって評判のパスタのお店に誘ったら、喜んでくれた。湯元さんの好物は、ミートボールの入ったがっつり系のパスタって事はわかったが……うん、この情報どうしよう……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
主人公は低身長……。もっと低くするべきだったか。




