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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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ぐだぐだとチキンとクリスマス・イブ


前回のあらすじ:野上さんによる僕(=鈴木)の公開処刑(?)



 野上さんの言葉に、僕は固まっていた。もしかしたら周囲も固まっていたかもしれない。ただ、コレに喰らいついたのは米納さんだった。

「鈴木さんにいきなり聞いてもこまるだけでしょう? そうよね、明ちゃん」

「まぁ、気の置けない友達って思っているんじゃないかな」

 幸田さんのその一言が僕にとってはちょっと胸に痛い……。うぅ、そこはとりあえず、他に仲間がいるからって事でそう答えたのだと思いたい……。

「わいは、スーさんの気持ちとか聞いてみたいかもしれんなぁ?」

 明るい笑顔の鹿島さん。お酒が入っているのに酔った気配が無いあたり、多分素だと思う。うーん、からかわれている感が半端ないような気がするのは何故だろう。

「恋してるのか友情なのかさておき。妙に知りたいと思ったのよ」

 野上さんはちょっと楽しげにそう言って笑いかける。……正直に言おう。彼女は酔ってると思いたい。恥ずかしいよ、友達の目の前で想い人に気持ちを言えって言われているのと同じだったんだよ! 僕からしてみればさぁ!

 この流れで行くなら、僕は気持ちを言わずに済むのかな? お願い、そういうのはもうちょっとそっとしておいてほしいんだよ。

「正直な事を言うと、俺も鈴木の気持ちは知りたい」

 大河内さんの一言に僕は唖然となった。そして、小さな声で続いた言葉にはさらに呆然となった。

「俺からしてみれば、どう思っているのか丸わかりなんだがな」

「え? そうなんすか?」

 逢坂さんが不思議そうにそう言って相槌を打つ。やめて、お願いだから……そっとしておいて恥ずかしいです。

「まぁまぁ、お腹も空いてきたかもしれませんし、チキンの追加を温めておきますね~」

 僕はもうじれったくなって、コンビニで買ったチキンを電子レンジに入れて暖めなおしに行った。


 真面目に考えると、この夜のために沢山の鶏の命をもらうわけだ、心から感謝していただきたい。日ごろから様々な物の命を僕らはもらっているわけだから『頂きます』『ご馳走様でした』って言ってる訳だけど。

 そんな事を思いつつ電子レンジから出したフライドチキンは香ばしい匂いをはなっていて、凄くおいしそうだった。香辛料の香りと鶏肉本来の旨みが油に溶けて実に口福な一品だよね。僕、鶏肉大好き。ついついチキン食べすぎてあとから体重計が怖かったりするけれどね……。

 あの噛み付いたときのほどよい弾力! 歯でしっかり喰らいついたときに染み渡る味! 思い出すだけで唾液が出るよね。やっぱり、おいしい! あー、でも、いずれ夜遅くにはキツイ~って唸るときがくるんだろうなぁ……。

 僕はいそいそとチキンを持って行き、一本さっそく口にする。そしてその風味を堪能していたら、幸田さんがくすっ、と笑った。

「何?」

「やっぱり、鈴木くんっておいしそうに食べるなぁって思ったのよ」

「確かにそれはあるわね」

 幸田さんの言葉に、野上さんが頷く。そしたら大河内さんが楽しげに笑ってチューハイを呷った。

「こいつは食べ物がかかわると子どもっぽくなるよな。でも、それも良いトコだけどさ」

「鈴木さんが食べ物を食べていると、なんかこう、美味しそうに見えるっすよ」

 逢坂さんが相槌を打ちながらチキンをとり、思いっきり噛み付く。満足げな顔をみると、僕より美味しそうに食べるんじゃない、と思ってしまうけどな。

 僕が2本目のチキンを食べていると、ぽつり、と野上さんが言った。

「自分の手料理をね、鈴木くんみたいにホントに美味しそうに食べる人っていいわよ。私は、鈴木くんの食べっぷりを見ていると食欲が湧くのよね~」

 野上さんはそういいつつピザを口にする。サラミにマッシュルーム、コーン、チーズとシンプルな具だけどチーズの蕩け具合が妙にいい感じで、それを口にしながらジンジャーエールを飲む顔が楽しそうだ。

「幸せそうな顔ね。鈴木さんって食べる事が好きなの?」

 米納さんに問われ、僕はこくっ、と頷く。口の中にチキンが入っていたからね。口の中に食べ物を入れたまま話しちゃ駄目って言われたでしょ?

「うん。美味しいもの大好き。それが高じて料理もちょっとするけどね」

「ふぅん……」

 米納さんは何か考えながらチューハイを呷り、僕をじーっと見る。なんか目が据わっていて……すっごくこわいんですけど米納さん……。アイメイクが華美じゃないのに決まっていてカッコいいんだけどその顔は怖いです。折角の美貌が台無しです。ほら、逢坂さんが泣きそうな顔してるからってあの人は泣き上戸だったっけ……。

「藍ちゃん飲みすぎ!」

 そう言って幸田さんが米納さんからチューハイの缶を取り上げた。そして僕と米納さんの間に入り、申し訳無さそうに頭を下げた。

「藍ちゃん、お酒入ると絡んじゃう時があるのよ」

「私、まだそんなに飲んでないわよ~?」

 米納さんが缶を返して欲しいのか、悲しげな顔を見せるも幸田さんは首を振る。後から聞いた話だけど、じーっと見るのは酔っ払った時よくやるんだそうな。

「ともかく、藍ちゃんはこっち! これは私が……って空っぽだったか」

 そう言いながら米納さんに烏龍茶の缶を渡し、チューハイの缶を開けようとする幸田さんだけど、幸田さんもそろそろお酒をやめておいたほうがいいだろう。彼女も弱いんだから。そういう僕も強いほうではないけどね。

「幸田さんも烏龍茶にしたほうがいいですよ」

「んー……鈴木くんが言うなら。迷惑掛けたくないからねぇ」

 素直でよろしい、と思いながら僕は再びチキンを口にする。今度は唐辛子をつかった辛いタイプのだったけど、これがまた美味しい。旨みが引き立っていて、胃袋が刺激される。楽しい気分だとサラに楽しくなるな~。


 この日は、皆でわいわいと過ごせてよかったな。

 まぁ、結局日付変わってもぐだぐだ続いて、寝たのが2時前になったけどね……。

 そういえば幸田さんがお酒を服に零しちゃってからの記憶が曖昧……。



読んでくださり、ありがとうございました。

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