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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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ぐだぐだとチューハイとクリスマス・イブ

前回のあらすじ

幸田さんとディナーを楽しんだ鈴木。

だが、夜はいろんな意味でこれからだった……!(語弊アリ)


幸田さんと共にコンビニでいろいろ買って仲間を呼び、クリスマスパーティーを突貫で行う事に。果たして、鈴木は平穏にクリスマス・イブを過ごせるのだろうか!


 市民オーケストラの仲間数名を誘っての即席クリスマスパーティーは、ある意味混沌と化していた。いろいろあって参加者みんな、直ぐにできあがったようなのだ。鹿島さんと僕以外……。

 米納さんは幸田さんが誘った。というのも、一緒に呑みたいというふうにメールが来ていたそうで、だったら~、とこのパーティーに誘ったのだと。幸田さんから話を聞いてたけど、一番最初に来たのが米納さんで正直びっくりしたんだよね。

「女子は皆カッコいい湯元部長に釘付けだしさー、誰一人他の男性社員を相手にしないって感じで感じ悪くてさー」

 会社の忘年会での愚痴を零す大河内さん。

「教授が……原稿締め切りに逃げちゃって……。やっと見つけたとき既に編集さんが待ってて……」

 とまぁ、研究室での出来事でとても疲れていた逢坂さん。

「街歩いていたら元カレが今カノ連れて私に見せ付けてきやがったのよ! 1人で何が悪いのよ!!」

 一体何があったの野上さん……。

「用事があって実家に帰ったら両親から『結婚しないのか』『恋人はいないのか』とか言ってくる……。姉妹全員結婚していないのになんで私だけ言って来るのよ」

 実家での出来事に苛々を隠さず零す米納さん。

 ともかく、みんな飲みたかったらしい。鹿島さんはそんな皆にかっかっかっ、と笑って差し入れとばかりにチューハイの缶を取り出した。それに手を伸ばしてあおっていく面々の様子が、妙に怖い。

「まぁ、ほどほどに飲んでぱーっとしようやないか。『第九の会』への景気付けにもいいと思うしな」

 皆若い証拠やね、とか言いながらてきぱきとぐだぐだとした若者勢の世話を焼く鹿島さんがかっこよくみえた。だからと言って惚れたりはしないけど。

 幸田さんは幸田さんで「コース料理はちょっと物足りなかった」と言いながらフライドチキンを電子レンジで温めていた。

「鈴木くんは何も無いの?」

「この際何かいっちまえよ」

 米納さんと大河内さんに言われるも、僕の場合は恋愛がらみである。その相手もそこにいるので非常に言いづらい。少し悩んだ挙句、手元にあったチューハイを一口ぐいっ、と飲んでから

「自分が、恋していた事に気付くのが遅かったし、意外とヘタレだって解って自己嫌悪したぐらいだよ」

 とだけ漏らした。その途端幸田さんと米納さん以外何か悟ってしまったみたいで無言で僕を見つめていた。

「……何か言ってよ」

「いや、何か言ってといわれても……」

 僕の言葉に鹿島さんが言葉を濁す。あー、はいはい。僕ってやっぱヘタレだったんですね。本当にショックだ……。なんか逢坂さんと大河内さんと野上さんが生暖かい眼差しで僕を見ている。幸田さんと米納さんがきょとん、としているけど、何か思い出したのか幸田さんが口を開いた。

「押しに負けて先日湯元さんとアドレス交換したのよ。そしたら案の定クリスマスにデートのお誘いあったのよね。鈴木くんと飲むからって蹴ったけど」

「「えっ?!」」

 コレには全員がおもわず反応した。

「そこで鈴木出したの? 湯元部長炊き付けてるのと一緒だぜ?」

「だって本当の事だもの。あ、湯元さんには『友達』って伝えているから」

 大河内さんの言葉に幸田さんが笑い、全員がほっ、と胸をなでおろす。僕も少しどきっ、としたけどね。それでも妙に湯元さんを煽っている気がするんだけど……。

「演奏会のとき、断ったのにあの人『諦めませんから』って笑って去ってったの。正直うざったいと思ったけど上手くいえなくてね……」

「そういえば、諦めさせたいけどぐいぐい押してくる人がいて困るって言ってたっすね」

 逢坂さんが相槌打ってると、米納さんが不思議そうに首を傾げる。

「優良物件だと思うんだけど? 大手電機メーカーの社員らしいじゃない。それにけっこうイケメンだし、優しそうだと思うのよね。友達が言っていたけど、あの人、最近まで浮いた話1つもなかったわよ?」

 そういえば、なんで米納さんって幸田さんに湯元さんを勧めるんだろ? 合コンの時もそうだったよね? 不思議に思ったけど、聞いてみたいような、怖いような……。そう思っていたら

あいちゃん、前から思ったんだけど何で湯元さん推しなの?」

 と、幸田さんが不思議そうに問いかける。と、米納さんは真顔で

「だって、中学、高校時代の先輩だし。あの人、高校時代は頻繁に告白されていたけどだれとも付き合わなかったのよ。そんな人に好きな人が出来たなら応援したくなるじゃない」

 と答えた。……そういうことだったのか……。僕が内心で「そういう事なんだ……」って呟いていると、幸田さんはため息を吐いた。

「藍ちゃんの気持ちは解るけど、私はノーサンキュー」

「どうして?! たしかにあの人、夢中になるとのめり込むけど」

 米納さんが驚いて幸田さんの肩をゆすろうとしていると、間に逢坂さんが入って「まあまあ落ち着いて」と飲み物を差し出した。

「正直、あたしはその湯元って人、苦手よ。空気読めてないし」

 野上さんはチキンを食べながらきっぱりそういった。けどね、野上さん。僕も兄によく空気を読めって言われるから胸が痛い……。正直、空気を読むの苦手なんだよ、僕は……。

 そんな風に僕が困惑していると、野上さんはびしっ、と僕に指を突き尽きた。

「何?! 何なの野上さん!?」

「鈴木くんや。正直に言ってほしいんだけど、貴方、幸田さんをどう思ってるの?」


 ……あの、それ、本人に直接言えと言うのですか? しかもこの場で。

 


読んでくださりありがとうございました。

とりあえず、まだ続くのじゃよ……。

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