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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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かりんとー

「そいでさー、琴ちゃんと出かける予定だったんだけどさー急に親御さんが来る事になってー」

「そらまた大変だねぇ」

「でしょー? うちの両親は琴ちゃんトコのお義父さんの部下だった事もあるしー、俺にあれこれ教えてくれるのはいーけど、ちょっと煩かったかなー」

「というより自分の両親が恋人の父親の部下だったって何やってたの真田さんち」

「んー? 会社が一緒だったんだって」

「そういう事もあるもんだなぁ」


 12月上旬・ある日の昼休み。僕は休憩室で真田さんとかりんとうを食べながらお休みの日のことを聞いていた。真田さんのご両親が職場結婚って言うのは大学時代に聞いていたけど、まさか恋人さんのお父さんが上司とはねぇ。

「確かお菓子製造会社の開発部とか聞いてたけど。このかりんとうもそうだっけ?」

「うん。おいしーだろ? 会社の一押し~」

 そういいながら真田さんがかりんとうを1口かじる。かりんとうはこのさくっ、とした歯ざわりと黒砂糖の甘さのバランスがなんかちょうどいい気がする。これも季節によって配合が変わっているらしいんだけど、こだわってるねぇ。

 そんでもって真田さんのお父さんは上質の黒砂糖を求めて沖縄方面に出張する事が多かったらしく、黒砂糖とか沖縄の食べ物も結構頻繁に食べていたのだとか。そういえば大学時代真田さんちに行くと必ずといっていいほどさんぴん茶の箱を目撃してたなぁ。あとたまにラフテー(豚足を甘辛くとろりと煮た料理だっけ?)を頂いたけどあれは本当においしかった……。冷酒が進む。

 じゃなくて。かりんとうだ、かりんとう。時々食べたくなるんだよね。さくさくかりかりとしたかりんとうをお茶と一緒に食べるとほっ、とする。あの黒砂糖特有の風味が懐かしい気持ちにさせてくれるんだ。あれだからこそ出せる香ばしさもあると、思う。

「で、結婚いつなの?」

「来年の秋の予定だよー。会場はもー押さえたからー、打ち合わせ中」

 かりんとうを食べつつ問いかけたら、真田さんは楽しそうにそう言った。この人は恋人の『琴ちゃん』の事になるとすっごく機嫌が良くなるんだよね。

(引き出物の中に、ご両親が勤める会社のお菓子とか出ないかなー)

 なんて思ってしまう僕が居た。


 仕事帰り、お店で何気なくかりんとうを探していると、逢坂さんと出くわした。普段よるスーパーで会うのは珍しいな。

「あれ? どうしたの?」

「いや、大好きなお菓子がココにしかないんスよ」

 そう言いながら見せたのは、真田さんのお父さんが勤める会社が作っているかりんとうだった。

「僕が勤める会社の直ぐ後ろにあるお菓子屋にもあったけど……」

「マジっすか?! ……あー、でも、家とは逆方向なんすよねぇ」

 逢坂さんは少し残念そうにそう言った。


 僕らはとりあえず買い物を済ませ、僕の家でお茶を飲む事に。お茶請けはもちろんかりんとう。「今は、お菓子の研究をしてるんすよ!」という逢坂さん曰く、かりんとうは研究対象でもあるらしい。だけど、この時ばかりは研究から頭を離して、のんびりしてね。


 

読んでいただきありがとうございました。

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