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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
29/79

禁断の果実はパイになる

ネタに走った結果がコレです。

「お土産なんですけど……」

 と、義姉(僕と同い年)がリンゴを持って来てくれた。兄の大好物なんだけど……実を言うと、僕はアップルパイを焼いて兄夫婦に届けようと考えていたところだった。

「わぁ、ありがとう! すっごくおいしそう!!」

「まだ酸っぱいと思うので2、3日置いた方がいいですよ」

 義姉はそういって笑う。うん、リンゴは既に買ってあるから、こっちはあとでじっくり味わおう。


「顔色良くなりましたね~」

「うん。安定期に入りましたからね。つわりもだいぶ治まってきて……」

 現在、義姉は妊娠4ヶ月目! 食欲も取り戻したお陰で今は何でも美味しいんだって。お腹の赤ちゃんもすくすく育っているみたいだし、予定日が楽しみ~。

「旭さんも元気そうで何よりだね。お仕事は順調?」

「おかげさまでね」

 僕がにっこり笑うと、義姉も安心したようにやんわりとした笑顔を見せてくれた。この笑顔が兄のハートをわしづかみにしたらしい。兄よ、うらやましいぞ。

 だけど最近の僕は、ちょっとした事で幸田さんを思い出す。……彼女にはもっと相応しい人がいるような気がするけど、なんか、こう、恋をしているみたいで微妙にそわそわする。

「旭さん、なんかいいコトあったの? 楽しそうね」

「まぁ、そんな感じです」

 僕はとりあえず笑ってごまかした。なんかこう、ちょっと恥ずかしいんだよ……。恋に恋をしているような感じもするし、僕は『恋愛』に憧れを持ちすぎているきらいがあるし。

「なんかこう、最近ちょっとした事が楽しいって思えて。それだけですよ」

「そうなの? 好調ってことなんだねぇ」

 そんな他愛もない会話をしつつ、僕らはお茶をしたけど……義姉さん、あとでお家におみまいしにいきますよっ!!


 とまぁ、某番組のネタを内心で呟きつつ。義姉が帰ったらレッツクッキング。アップルパイは義姉の好物で、元々驚かせたかったのもあるからね。

 リンゴの皮をむいて、なるだけ薄く細かく(でも切り過ぎないように!)して、無塩バターとレーズンと一緒に炒めて行く。焦がさないように気をつけつつ頃合を見計らってグラニュー糖を入れるけど、量は前もって測っておいて、少しずつ入れたほうがいいのかもしれない。

 とろとろになったところでシナモンも入れるけど、量はおこのみで。これでアップルフィリングはできた。因みにパイ生地は冷凍を買ってきました!!

 ホントはパイ生地からやって見たいけど時間かかるし、けっこう難しいらしいからね。……うん、一瞬なんかこう、天然パーマな俳優さんがコック姿で「パイくわねぇか?」とか脅している瞬間が頭を過ぎったけどそれを兄貴にかましたら確実に笑いながら鳩尾に掌底を放ってくるにちがいない。

 そんな冗談はさておき、解凍したパイシートを程よく伸ばし、そのうちの一枚にアップルフィリングを乗せて、もう一枚のパイシートを乗せる。後は淵を閉ざして余った部分で飾りをつけて、卵の黄身を艶出しに塗る!

 180度で余熱しておいた電子レンジ(オーブンモード)で……20分から25分で焼けばおいしいアップルパイの出来上がり!!


 そう言えばリンゴって禁断の果実じゃなかったっけ? あれ? 東欧のスラブ語圏じゃ禁断の果実ってブドウらしいし、キリスト教徒のみなさんの中ではイチヂクが禁断の果実ってなってたっけ? その他にも説は色々あるみたいだけど……ホントのところ、どうなんだろうねぇ。


 アップルパイが冷めた所でいそいそと兄の家へ行く準備をしていた僕。そこにチャイムがなった。

「はい、鈴木です」

「甘いものよこせ。あ、嫁も一緒~」

 兄、襲来。甘いものセンサーでもついているのか、僕の兄貴には!!

 なんでも、一緒にご飯を食べようとお誘いに来てくれたのだという。僕は今そっちにいこうと思っていた、と言ってアップルパイを2人に見せた。そしたら大喜びしてくれた。

「ナイスタイミング弟! マジでうまそう!!」

「わぁ! 私、アップルパイ大好きなんですよ~。旭さんありがとう!」

「ささ、食べようよ。もう、食べられる熱さだと思うから」

 僕らはさっそくアップルパイをきりわけて食べた。うん、いい香り! このシナモンの香りが食欲をそそるよね! リンゴとレーズンの食感もいいかんじ。紅茶と一緒にいただきますっ!


読んでくださりありがとうございます。

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