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ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
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肉じゃがの『肉』について

因みに、筆者たる僕の家では牛を使います。

……僕自身は豚や鳥の肉じゃがも作ってみたいんですが。

「牛でしょう?」

「豚もいけるだろ」


 僕の目の前で、そういいあってるのは、大学の後輩だった。短髪で眼鏡でひょろっとしてるのが兎本うもとくんで、癖のある髪とごっつい体で中背なのが、折舘おりだてくん。兎本くんは京都のとある料亭の三男坊、折舘くんはリンゴ農家の三男坊で、普段は気が合い、学生寮で相部屋しているぐらいなんだけど……。

「で、肉じゃがの肉を何にするかでもめたと」

「そういう事だ。俺の実家じゃ豚肉を使ってるからな。それで提案したんだ。そしたらコイツが『豚肉は合わない』とか抜かしやがって」

「豚肉が持つ癖は、合わないと思うんですよね、肉じゃがの甘味には」

 折舘くんが肩をすくめると、兎本くんが眼鏡を正しながらため息をつく。

 そういやぁ、僕は豚肉で肉じゃがを作った事がないんだよなぁ……。なんか、肉じゃがは『牛肉』ってイメージが強くて……。

「で、さあ。急になんで肉じゃがを?」

「実は、今度僕らが暮す寮に留学生の人が来るんです。その人、日本の料理に興味があるそうだから、歓迎パーティーに作ろうと思ったんですよ」

 と、兎本くんが教えてくれた。

 どんな子かと思い、写真を見せてもらったが、なかなかの好青年だった。出身はフランスだそうな。だが、微妙にアラブ系っぽい。移民の方だろうか。

 そんな事はさておき。お互いに譲らない2人に正直困った……というより、考えるのが億劫になってきた僕は自分の財布の中身を確認。そして通帳の残高も確認した上で、お金を渡した。

「だったらどっちも作ればいいじゃない。俺、豚肉で作った肉じゃがって食べた事ないから興味深いんだよね! それに牛肉のはオーソドックスだけどこれはこれで美味しいしさ!」

 僕が必死にそう言うと、兎本くんと折舘くんは暫くの間考え込む。そして、兎本くんはにやり、と笑い、折舘くんは自信たっぷりの笑顔で頷いた。

「わかりました。ですが、お金は自分達でどうにかします」

「どっちも作ってみて、皆にどっちが美味しいが聞いてみよう。そうすりゃ解決だな」

 どうにか、なったかな……。そんな気がした瞬間、なんだか肩の力が抜けた。そんな僕の傍で2人はどこで材料を買うか、どれだけ作るかを話し合っていた。仲直りしたのかな? それならいいんだけれども。


 だが、うまくまとまって買い物に行こうとした僕らに衝撃の事実が齎される。

 兎本くんがスマホで連絡を取っていると……表情が少し強張っていた。

「どうしたんだ?」

「留学生の子、鶏肉以外のお肉が苦手で食べられないんだって……」

 そのひとことに、僕らはとりあえずもう一度ネットで調べる事にした。鶏肉で肉じゃががつくれるか、と。


 その後、留学生の歓迎パーティーに鶏肉で作った肉じゃがを出した2人だが、大変喜んでもらえたそうな……。


読んでいただきありがとうございます。


えーっと感想のほう「我が家は豚肉で作る」とか意見のある方書いていただけると幸いです。でも論争にならないように……。


これが今年最後の投稿となります。

今年も大変お世話になりました。みなさま、良いお年を。

次は来年1月更新なのでございます。にゃ。


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