表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウマシカテ・ラボラトリィ ―食いしん坊の閑人閑話―  作者: 菊華 伴(旧:白夜 風零)
13/79

カボチャ・チャ・チャ・チャッ?

カボチャの煮付けって、美味しいですよね?

……それだけなんだけど、つい。

から揚げ編と竜田揚げ編の間の話だと思ってください。


冬至にあわせてみました!!

物語の中ではまだ10月なのに……。

 季節は巡り、秋。

 ……なんだけど、妙に西日は熱い。そんな夕方5時過ぎ。


 仕事の用で外出した帰り、近所のスーパーでカボチャが安かった。思わず手にした僕が我に帰った時、お肉とか籠に入れて清算した後だった。

 好き嫌いが特に無かった僕は、料理好きな兄の影響を受けて自分でも調理をするようになった。今は、親からもらったお古の圧力鍋を多用している。

 今日も疲れたし手早く圧力鍋で煮付けにしてしまおう、うん。


 人によっては

「カボチャの煮つけは圧力鍋じゃなくてもできるのに」

「電子レンジで作れるのにわざわざ圧力鍋?」

 という人もいるだろう。でも時短できるし、好みのほっくり感に仕上がるし、こっちの方が好き。あとほあら、他の鍋で汁物とかも作れるからかなぁ。

「1人暮らしだし、このサイズで2日は持つんだよなー」

 と、四分の一にカットされたカボチャを見て呟きつつスーパーを出ると……スーツ姿の幸田さんとであった。普段残業とかで帰りが遅いらしい幸田さんがこの時間に帰るのは珍しい。

 夏の終りに色々あって僕の家で食事し、スマホを忘れた事がある。まぁ、翌日届けたけど。それから数日の間幸田さんの事を思い出すとなんかもやもやしていたけど、今はそれも薄らいでいた。

「幸田さーん、今帰宅?」

「うん。新機種の企画、ひと段落したからね」

 幸田さん曰く、担当した新機種が先日ようやくお店に並んだとの事。お客様からの反応は上々らしく、ボーナスがでるそうな。

 幸田さんは失恋してから妙にふっきれたかもしれない。いつもの明るい笑顔を取り戻して、僕はほっとしていた。……のだが。

「ところでさ、鈴木くんや」

「なんでしょう、幸田さん」

 不意に声をかけられて反応した僕の両手を取り、彼女はこういった。

「お願い、うちに来て」

「えっ?!」


* * * *


 幸田さんの家。

 いや、何故ここで僕が料理をする事になるんだ。

 ……まぁ、圧力鍋をもらったからそれを使ってカボチャの煮付けの作り方をおしえてくれ、との事だった。ネットにもレシピはあるけど、幸田さんは

「圧力鍋、人生で初めて使うから怖いのよね」

 とのことだった。 まぁ、悪い気はしないな。……友達だし。

 そうじゃなくて圧力鍋の使い方をレクチャーするだけだ。深い意味なんて無い。

「それじゃ、早速やってみようか」

「普段、コンビニで買っていたけど自分で作ってみたくなったのよね、カボチャの煮つけ」

 そういいながら僕は袖をまくった。


 カボチャ(四分の一カットのもの)適当な大きさに切り、面取り。

 面倒だと思うけど、これをしておくと煮崩れしにくいし、見栄えもいいんだよね。

「へぇ、鈴木くん器用だね」

「兄のお陰です」

 ……兄にしごかれたからね、包丁の使い方。

 次に、圧力鍋へ投入。梅干も一緒に入れておくとベター。これも煮崩れ防止。

 あとは調味料を砂糖、みりん、醤油、粉末だしを入れる。

 圧力鍋を使う場合は必ず水を入れないと、焦げる。前に遣らかして掃除が大変だったんだよね。思い出しただけで焦げ臭さが……。

 水はレシピにもよるけど100~150ccくらい? ここは僕も試行錯誤中だったりする。


 さて、加熱。

 圧力鍋によって圧力を掛ける時間などが変わるけど、幸田さんのは僕が持つ物と同じだった。

「これなら1分加圧して10分むらしでいいかな」

 と、圧力がかかるようにピンを捻って、蓋を閉め、コンロの火をつける。使い方とかをレクチャーしながらだったから少し時間はかかったが、あとは食べるだけだ。

「よかったら夕食をここで食べていけば?」

「いや、悪いよ……」

 僕が遠慮していると、幸田さんは冷蔵庫から味噌漬けのお肉を取り出した。あ、僕が好きなヤツだ。

「お肉、あるけど? ストック用に買っていたんだよね?」

「いいの?」

「勿論。お礼よ」

 幸田さん、嬉しい……。ありがとう。


 暫くして1分圧力を掛け、コンロの火を消して10分たってから加圧をとく。それまでにご飯炊いたり味噌汁つくったり幸田さんと思いがけず一緒に料理する事に。出来たカボチャの煮つけはほっくほくに出来たけど、味がちょっと薄かったかな?

 まぁ、楽しい夕食になってよかった。僕は洗い物をしようとしたけど幸田さんに止められてしまって……。彼女は

「また一緒に食べよう?」

と誘ってくれた。僕は「ん」と頷いたけど……ホントはちょっと嬉しかった。


 なんだか、高校時代より親しい友達になれたきがした。



読んでくださり有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ