二話
「さて、じゃああとは予算だな……」
会議を進行させた橋本先輩が、渋い顔をする。周りもつられて顔をしかめた。
私は知らないが、去年度末に『今までためてきた部費と学校から下りる予算で、やっと部員全員分の新しいパソコン買えるねー! やっとワープロソフトのバージョンアップできるねー』という話をしていたらしい。しかし予算が予想以上に少なかったため(理由としては寮生活をする生徒が減り、家賃収入が減って学校運営費が赤字だからだろう、と橋本先輩は話す)二人分の費用が足りないらしい。もちろん、既に引退している佐藤先輩を除いて、だが。
部の活動内容は、ワープロで文章を書き、それをまとめて文集にして校内配布することだ。しかし創部当時、そのワープロを使うためのパソコンが部室にひとつも備え付けられていなかった。そこで慌てて文芸部一代目である今大学二年の先輩たちが、コネとかを使って古いパソコンをもらってきたのだという。しかしそのパソコンはこの二、三年で動きは鈍いし「A」のキーが打てないし画面がつかなかったり青くなったりしてさんざんになってきたという。もともと古かったから無理もない。
「どうしょう?」
佐藤先輩が橋本先輩に問う。
「どうしようもないでしょう。来年までまた節約生活ですよ」
だるそうに橋本先輩が答える。先輩たちの中でも一番楽しみにしていたようで、それだけにショックは大きそうだ。
「えぇー来年だったら俺卒業してるじゃねぇか」
佐藤先輩がふくれる。
「んなもんは知らん」
すかさず赤城先輩が一蹴した。
すると、佐藤先輩は今度は私のところに寄って来て、叫んだ。
「男共が無慈悲だ! 味方は郁流だk……」
「んなもんは知らん」
赤城先輩に倣うと、しゅんとしてどこかに消えていった。部室には赤城先輩の豪快な笑い声だけがこだましていた。
作者です。
終わりました。もしかしたら文芸部の日常3とかやるかもしれません。ひとまず公募を終わらせないと。やばあああああああああああい!あと127000字とか地獄か!地獄なのか!