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42-②

「貴女って、とんだ嘘つきじゃない。妹だとか言って」

「……それは、あれは、脅かされて、怖くてそう言わないと、その場が、収まらないから」

「そうね、収まらないわね――――――――でも、今もそうなるとは思わない?」


 今にでも人を殺しかねない様子の彼女たち。その視線を浴びた莉亜が思いっきり顔を引きつらせる。


「で、ですよね」

「さてと、今回は誰もきてくれないんじゃないかしら。王子さまは今大学にいないしね。たっぷりと報復を受けてもらうから」


 不気味な微笑みを浮かべたリーダー格の女が、莉亜の顔を掌でなでるように触れる。次に彼女の頬をグイっと忌々しそうに引っ張るのだった。


「さぁ、この顔がもっと怖い思いをしたくなかったら、本当の関係を白状しなよ」


 優しい口調で言ってる割には、かなりやばい事を考えている表情の模様。

 事実、リーダー格の後ろにいる女はカッターナイフをチラつかせている。


「にゃに、にゅるきなにょよ」

「あ、なんだって? 何言ってるかよくわかんな~い」

「だゃから、はにゃしをきひひて」

「ねぇ、誰かコイツの言ってることわかるぅ?」


 その言葉を聞くと、全員が猫撫で声を出し、言葉を揃えて言った。


「わかんな~い」

「だよね~あたしもわかんな~いってかさ、貴女バカなんじゃない」


 莉亜の頬を今度は手で軽く小突いた。


「っ痛……なんで、バカなのよ?」

「あのね、今更貴女の言うことなんて信じるわけないからでしょ」


 莉亜は声を詰まらせるしかできない。その言葉は彼女自身がよ~く身に染みて分かっているからだ。うなだれた様子の彼女を尻目に、再び両頬を摘まむのだった。


「さてと、この可愛らしいくて憎らしいお口は、他に言いたいことでもあるのかしらね?」


 この様子で、確信犯的行動に今更気付く事となった莉亜、発言権さえないのだと。始めから自分が何を訴えても意味がない事は決まっていた。そして、意図を理解した事で、更に追い打ちとなる。


「ねぇ、そろそろ会話も飽きてきたし、罰を受けてもらおうかな」


 リーダーはそう言って、平手打ちで莉亜の顔を一発撃つ。それを皮切りに全員がつねったりなど順番に繰り返す。


 2順目に入る頃にはすっかり彼女の顔は別人の様。頬は赤く腫れ上がっていた。

 後ろの連中は莉亜の顔が腫れる度に、空気が重ぐるしくなるのを皆感じ始めていた。中にはヒソヒソと彼女を心配する声も漏れ聞こえてくる。その上、リーダー格の女さえ落としどころが分からなくなっている模様だった。


 そんな状況の中、いつの間にか全ての手が莉亜から必然的に離れていく。自由になった手で軽く口を押さえる。指先には少し赤いものが付くと痛みを我慢する素振りを見せてから、しゃがんだ。


「ッ……こ、これで――――気が――――しゅんだ?」


 口の中の血は莉亜が流暢に話すのを邪魔するのだった。


「……嘘、本当ご、めんなしゃ――――い。誰も気ぢゅつけるちゅもりは」


 何度も口を拭いながら話そうとする様子が、耐えがたく見えたのか誰も何も言う様子がない。


「な――――かったの」


 リーダー格の女は莉亜を見下ろして、スーッと息を吸いこんだ。

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