表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/100

第40話 アンモラル

 片瀬莉亜と榊本龍之介が家に入った途端、バタバタと誰かが玄関先に、走ってくる。


「片瀬さん、これみて」


 そう言って、榊本良人が携帯の画面を莉亜たちに見せる。


「なに……これ――――――」


 携帯の画面、ツブヤックーだった。

 ツブヤックーはIDを登録したユーザーなら誰でネットに自分のつぶやきたい事を簡潔につぶやけるサイト。


さまざまな使い方ができ、例えば、災害などの重要な情報をユーザー同士が拡散させて、見知らぬ者でも情報を共有できたり、伝達しあったりで、とても便利である。


 写真画像も添付も可能。それで最近は一部ユーザーが芸能人情報を流したりなどに、使用して騒動になる事もしばしばみられる。

 だから、第三者が悪意のある情報を流して、拡散させると、とんでもない事になる。今、その事態に見舞われていた。


 画面には、莉亜と龍之介の写真が添付して、誰かわからないユーザーから、ツブヤックーをしている良人にも拡散で情報が回ってきていた。

 写真は莉亜と龍之介の車内でのツーショット。  


 つぶやき内容は大学名とふたりのフルネーム。そして、ふたりが同棲しているだとか、適当な事が書き並べられている。


「こんな写真、いつ、だれが……撮ったんだ――――――」


 不快な声でそう言った龍之介。その顔には眉間の辺りに深くしわが刻まれていた。

 逆に良人の表情は、心配な色の方が強く出ている。


「これさ、やばいよ。大学側に知れ渡ったら、確実に呼び出さらて、真偽を問われるんじゃ」

「そんな事言ったって、もう……どうしようもうないだろ?」

「そうだよ……ネット使われたんじゃ、どうしようも」


 莉亜も龍之介の後に続けて、戸惑いながらも、半場諦めたような言い方をした。


「そうだけども――――――――」


 渦中のふたりにそう言われたら、良人にはそれ以上なにも言えなかった。


◆◇◆◇◆


「莉亜、あんたってさ……マジで面白い」

「なにそれっ」

「だって、彼氏は出て行ったのかと思えば、目の前でバイトしてるし」


 莉亜の仏頂面をチラッと見た鈴木あかね。

 笑うのをなんとか堪えるあかねは、彼女の機嫌などお構いなしで話し続ける。


「しかも、ツブヤック-で、しっかり男とのツーショット画像、拡散されるわで」

「わるかったね、笑いの宝庫で……」

「――――――ッング、ある意味」

「もうっそれでも友人なの? 全然面白くないし、ましてや、笑いを取ろうとも思ってないからっ」

「はいはい、わかったわかった。あんたはね、今、唯一笑いの神に選ばれちゃった人間、そう思えば気が楽になんじゃない?」

「…………いや、全く楽になんないよ」


 莉亜の鋭く睨んだ目に、珍しく怯むあかね。


「んな、マジな目で答えないでよ」

「マジになるでしょ、自分の事なんだから。ああそれと、自虐ネタまだあるよ」


 シラッとした表情で莉亜はあかねにそう言った。

※第16/19/24話参照

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ