33ー③
莉亜は声を失ったかのように何もこたえられない。
学は煮え切らない態度の莉亜へ苛立ちを感じるのと同時に、今まで会えなかった彼女への思慕が抑えられなくなっていた。
歯止めがきかなくなった学はまた莉亜の唇に触れた。
今度はさっきのフレンチキスと違って、莉亜の唇をこじあけた。互いの奥深くにある熱い息が、触れ合うくらい激しく強引なキス。
「んっ…………ぃやっ――――――ァハッ……」
そう言うので背一杯の莉亜。何度も何度も強引に学がくちびるを覆い被せてくるから、息も話す事さえできないのだった。
学は抵抗できない莉亜をドア近くの壁側に軽く抑えなつけながらも、彼女の華奢な身体を支える。もう片方の手で彼女の服のボタンを開ける。すると、彼女の豊かとはお世辞にも言えない胸元があらわになった。彼女の小さな可愛い胸にくちびるが自然に引き寄せられていく――――――…・・・
◆◇◆◇◆
と、突如としてそこへ、静かだった廊下から荒々しい足音がする。その音に気付いたふたりはそこで、ハッと我に戻るのだった。
でも、それには遅すぎたらしく、勢いよく開いた部屋のドアに、ひとりだけが吹っ飛ばされる。それは莉亜の目の前に居たはずの学だった。
爆音がきこえた時には、莉亜の前から学はすでに消えていなくなっていた。そして、視線の先に見えたのは、藤堂由香と榊本良人。その上、良人は布団です巻にされている。しかも、ピクリとも身動きをしないで、なぜか気絶している模様。
由香はというと莉亜を睨んだまま、息を整えている最中。その彼女の表情が今ある状況をただ事ではない雰囲気にしていた。そんな彼女の手に握ぎったものは、良人がす巻になっている布団の一部。それを手から離すと、ドサっという鈍い音が鳴るのだった。
それは莉亜の部屋の冷たい床へと物を無造作で置くという感覚と同じ様な扱いで置かれた。
「――――――――莉亜…………無事?」
「う、うんって、一体どうなってるの?」
「無事ならいいの。あんたにはもう答える事はないから」
そう言いながら、今度は部屋の奥に吹っ飛ばされて気絶している学の首根っこを持つと、ズルズル引きずって、莉亜の部屋から出て行く由香。
莉亜は呆気にとられた様子で、その行動を目で追う事しかできない。そして、もうひとりの気絶した男の存在に気づかされるのだった。
「やだっそう言えば……良人くんっ――――――」
そう言ってから、急いで床の上に転がっている良人に駆け寄った莉亜。




