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第31話 ボーイズ・トーク

「おいおいおい~って」

「なんだよ、しつこいぞ。何度も同じ事言わさないでくれよ」

「いやっでもな~これからもその部屋わり変える気はないのか? それ……まちがってなくないか、お前?」

「そんな事ないよ。まちがってない」


 ある男の意見に榊本良人が断固として自分の意見を曲げない事、約15分。

 ふたりの男はリビングで軽めの言い争をしていた。彼がもめている相手は榊原祐大。でも、ふたりが始めから言い争いをしていた訳じゃない。

 なぜなら、たまたま会話の流れで部屋割の話へとなった。その会話中、祐大が良人の考えた部屋割に、思わず口を出してしまった。それがきっかけで、今の状態に至る。

 

「いや、でも、アイツら恋人なんだろ?」

「そうだよ、だからってこの家では男女同じ部屋は、反対だね」


 良人の言い分に口をあんぐりさせて、呆れかえる祐大。


「お前――――――て……」


 良人を見る目は呆れ果てたという言葉がぴったりな視線そのもの。


「なんだよ祐大、その目は。片瀬さんと藤堂由香さんが一緒で、俺と高原学くんが同じ部屋でいいだろ?」

「いいだろって言われてもな。本人たちがどうなんだって話だろ?」

「何言ってるんだよ。俺らしか住んでないのに、何か間違いあったらどうすんだよっ!」

「んなもんっ本人たちの責任に決まってんだろうがっガキじゃあるまいしっ」


 祐大が言いたい事は、良人もわかっている。それでも自分の気持ちが整理できない。


「それじゃ……ダメなんだよ――――」


(この家で――――――もし、そんな事、に、なったら……俺)


 片瀬莉亜と学が今以上関係を深める時が来たときに、この家だと想像しただけで、良人の胸は苦しくなった。


「お前……まさか――――マジであいつに?」


 そう言ってから祐大が良人の態度で何かを悟った様子。


「ちがっ。この家の風紀が乱れるからに決まってるじゃないか」

「ほっほう――――――風紀ね」


 と、上下にうなずいた祐大。

 良人に納得した様子を見せると、すっかり祐大はうのみにしている――――――――ように思われたが、良人の気のゆるみを祐大は見逃さなかった。速攻で良人へ突っ込みを入れるのだった。


「て、んなもんっないだろうが!」


 良人は祐大に気おくれする事なく、答えた。


「あ、ある……たった今からあるんだよ」

「――――――今って…………おまっ」

「うんっ誰に何と言われようが、あるんだよ。で?」

「――――あのな……一応――――――俺は忠告はしたからな」


 そう言った祐大は言うべき言葉もなくなって、良人に背を向けてから出て行くのだった。


(クソ真面目はこれだから面白くねぇな――――――風紀って意味わかんねぇーしっクッソ食らえだ)


 リビングを出ると、良人の考え方に反発する気持ちが膨れ上がってくるのだった。そして、二階に続く階段へ足早に歩く祐大。

※第2/26/27話参照

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