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24ー②

「っえ?」


 榊本祐大がそう言って莉亜をみると、眉のあたりにしわをよせた。そして、理解不能と言わんばかりに答える。


「リサ―――――――誰だそれっ。俺はしられね~よ」

「――――――そう」


 莉亜はあかねに言われた通りに榊本家に帰ってくると、話をしに祐大の部屋を訪ねていた。一応、部屋の中に入れてもらえたが、座らない状態で会話を続けるのだった。


「そいつがどうかしたのかよ?」

「ううん、ちょっと聞いてみただけだから、気にしないで」


 祐大は莉亜の言葉に一応頷くが軽く首を傾げた。


「なんだ、それ」


 と、首をすくめたがすぐにいつもの調子に戻る祐大。


「んでっ他に用事がないなら、出てけよ。それとも――――――俺とこのまま……」


 と、言った祐大の視線が部屋のベッドに向けられた。

 祐大の冗談なのか、そうじゃないのか、見当もつかない莉亜。思わず逃げ腰になる。そんな彼女を自分の部屋から追い出す祐大。


「え――――えっ」


 状況がつかめない莉亜。気が付くと自動的に廊下へと出されていた。


「あいかわらずだな、お前は」


 莉亜に呆れた様子の祐大。それだけ言って、ドアをピシャリと締める。

 背中の後ろにあるドアに振り向くが、すでにその行動には、なんの意味もなかった。ただ、莉亜の目の前にはドアだけがあるのだった。


「なにっ――――――からかわれたの?」


 と、まごつく莉亜から小さな声がもれた。どうしていいかわからない彼女は仕方なく自分の部屋へと戻るのだった。

 莉亜の部屋の前には、物静かな慶太ではなく恐い表情の彼がいた。


「慶太……さん」


 慶太も莉亜に気づいた様子。少し離れた場所の彼女へ、荒々しい足取りで近づく。

 莉亜の目の前に恐い顔が立ち止まった。


「あの――――――」


 恐る恐る声を出した莉亜。その言葉を乱暴で大きな声が阻んだ。


「リサって名前、誰から聞いたんだ?」         


 攻撃的な言い方で莉亜に詰め寄る慶太。


「……それは――――」


 説明しようと莉亜が何かを言い掛けたが、またも慶太が話を止める。


「そんな事今はどうでもいいけど、俺の事をあれこれ詮索するな」

「詮索とかじゃなくって――――」

「なら、どうして本人でなく、祐大に聞いたんだ?」

「それは……でも、どうしてその事を?」

「メールがきた。君に“リサって女知らないか”って尋ねられたっていうのがね、今さっき」

「でも――――――それはね」

「もう、何も話さなくていい……それと、君が知る必要がない――――――人だからね」

「なにそれ……」


 莉亜のやるせない感情が話す事を諦めさせた。

 そして、慶太の沈痛な眼差しがこれ以上何を話しても今は聞く耳を持たない、と莉亜に理解させる。


「わかった、ごめんね……なんか――――――」


 と、莉亜が謝ったあとも何も言えない様子の慶太。そのまま彼女の前を何も言わずに去っていく。

 莉亜も慶太にそれ以上何も言えずに黙ったまま、ただ、背中をみつめるだけしかできないのだった。

※第6/18.5/22/23話参照

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