第21話 “妹キャラ”確立!?
こんな1週間前の出来事があり、それがキッカケで、莉亜は現在進行形でメイド喫茶にて、今バイト中なのだ。
契約した日から1週間が経過した。莉亜はバイトの研修が終わると、今日からひとりで接客する事となった。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
などと、言った女子店員たちがいる。
半袖の灰色の生地に白いフリルのエプロン、胸元には大きめのピンクリボン。そして、胸を少しばかり強調したミニの制服。頭には白いヘッドドレスと手首にも可愛らしい小さなリボンが付いた袖口だけの物。それをリストバンドみたいに身に着けている。
その場にいるウェイトレス全員がそういう格好をしているのだった。メイド服を身に着けた店員からはひっきりなしにお客を迎える為の挨拶が店内に響いていた。
その中に莉亜の姿もある。他の店員と違って彼女だけが、別のあいさつをしている。
「お帰りなさい、お兄ちゃん」
莉亜だけがそう言っているのには理由があった。
あの日、雇われ店長に小柄な身体と少し幼い顔立ちを気に入られた莉亜。彼はちょうど新しく妹系メイドなるものを考案中だった。
目の前に偶然現れた莉亜をひと目見た時から、雇われ店長は幸いにも彼女の容姿が自分の想像とあまりにもピッタリなのをいい事に白羽の矢を彼女に立てたのだ。
この1週間で秋葉原系ファッションのお客から、莉亜へのご指名が他の店員をより群を抜いて増えていた。
莉亜自身も理由が見当たらない。それでも確実に日々、指名だけが増えている。
どんどん舞い込んでくる指名に困惑しながらも、莉亜はお客をさばくのだった。
「すっごい人気だね。今日でもう何度目のご指名なの?」
メイド服に黒い髪のおさげとメガネを掛けた従業員が、少し可笑しそうな表情で投げかける。この質問にマジで答えるべく悩む莉亜。
「う~んと、確か……3回目だったっけ? あれっ4回目だったっけ?」
「って言うか、接客呼ばれてるよ。早く行った方がいいんじゃない?」
呆れ顔のメガネ娘はそう言ってから、自分の仕事をこなし始めた。
莉亜も厨房から幾つか飲み物を取ると、銀色の丸いおぼんに移しのせるのだった。
同時にメニューの品物をのせ終わったふたりは、秋葉原系ファッションが待つホールへ、いざ出陣。
「って、あなた達……か」
と、ものすごくうざそうに呟いたのは莉亜だった。
4兄弟が目の前にいる光景は、ほぼ悪夢に近い物がある。それでも莉亜は接客スマイルで懸命に接客しようと努めた。
「お待たせ、お兄ちゃん」
と、莉亜は今まで見せた事のない渾身の笑顔を4兄弟に披露してみせた。




