またのご来店をお待ちしております。
初めてのアルバイト。
上手くいくでしょうか(・・?
少年はネットで申し込んだアルバイト先に来ていた。
高校生になり、バイト許可はおりたものの欲しいゲームを買うには全然足りない。
そんな時に夜勤のコンビニバイトの募集を見かけたのだ。
聞いたことのない名前だったが、家から少し遠い程度だし金額は申し分なかった。
「なんか…独特なとこだな…。」
自動ドアには『ようこそ』の貼り紙。
コンビニにはレトルトの食品やお菓子が並んだ棚がある。
しかし、店内にピンクの鉢植えに植えられた花があり、大きなウサギの模型が顔を出している。
そして何より、外から見たより中が通常のコンビニよりも広く感じた。
隅には小さなクレンゲームがあり、沢山のぬいぐるみが詰め込まれている。
「…バイト先の先輩とかってどこにいるんだろう。」
少年は店内をゆっくりと歩いた。
違和感がある。
いくら歩いても、レジに辿り着かないし人の姿が見えない。
面白そうなゲームや、商品棚が並ぶだけ。
スマホで誰かに連絡を取ろうかと思ったが、全く起動しない。
(なんかヤバいのかここ…)
コンビニで歩き疲れるなんて初めてだ。
少年は棚の陰に座り込んだ。
一体このコンビニはなんなんだ…
店の商品が目にはいる。
それらは全て、文字化けしているようで何の商品なのかはパッケージで見極めるしか無かった。
商品から目を上げると、淡いピンク色の霧が店内の奥を隠している。
夢の中みたいだ。
ところが少年には楽しさや身近さよりも、底知れぬ恐怖心があった。
ガクガクと手が震えている。
ここはやっぱり、普通じゃない。
「早く…早く帰ろう…」
金のことなんてどうでもよくなり、少年は走り出した。
いくつも角を曲がり、棚を抜けてまた走る。
何度も何度も繰り返し、出口を目指す。
クレンゲームから、ぬいぐるみの視線が突き刺すように感じられた。
商品のポップの文字を見かける度に
『逃げるな』
と表示されているように見えた。
何度目かの角を曲がった時、目の前に自動ドアらしき物がある。
あそこ…!あそこだ!
あそこを抜ければ帰れる!
少年は一気にドアに向かって直進した。
バックレとかゲームとかそんなのはもう気にしていられなかった。
あと少しでドアに辿り着く!
ドアはスッと開き、少年は片足を踏み出した。
(…ん?)
足が地面につかない。
下を見ると、真っ暗な闇が口を空けて待っていた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
少年の悲鳴は闇に溶け、店内は何事もなかったように静けさを取り戻した。
ドアに貼られた『またのご来店をお待ちしております』の紙が風に揺れていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
よく使うコンビニが怖い場所ならどんな感じかなと考えた時に思いついた作品です!(*´ω`*)
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