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約束。

横井賢一は病室のベッドで天井を見つめていた。

あと、どれくらい生きていられるのだろう。

17歳になったばかりだった。

学校の部活中に突然倒れた。

当初は貧血と診断されたが今じゃ病院からは一歩も出られない。とうに涙も枯れ果てて覚悟は出来てきた。

そんな僕の唯一の楽しみが毎朝8時過ぎに必ず病院の前をダッシュで駆け抜ける女の子を見る事だ。

高校生、、、どこの学校だろう。

5階の病室から見ているからよく分からない。

ただ元気いっぱいの彼女を見ているとこっちも元気になる。

、、、ただしそれはとても悲しい事。死を意識した僕は気持ちの矛盾に感情が追いつかない。


あっ、、、


女の子は物凄い転び方をした。

僕は思わず声を上げた。

窓から体を乗り出し大きな声で

「大丈夫?」と叫ぶ。


女の子はスッと立ち上がるとパンパンとスカート

を叩くと僕の方を見てニコリと笑うと僕より

大きな声で

「だ、い、じ、ょ、う、ぶ!」

と叫ぶとまたダッシュで駆け抜ける。

はっきりとはわからないが笑顔が素敵でショートヘアのスラッとした子だ。

僕はホッとして久しぶりにドキドキした興奮に

しばし楽しさを感じた。

ただ、また僕の中の闇は僕を包み込む。

僕も走りたい。遊びたい。まだやりたい事が

沢山あるのに。

悔しいなぁ、、、自然と意識が薄れていく。

次は目覚めなくてもいいや、、、


夕方4時頃、僕が自販機にジュ―スを買いに出かけ戻って来ると誰かが病室の前に立っていた。

その人は僕に気付くと扉から離れた。

僕は下を向きながら自室へ入ろうとした。


女の子「あのぉ。いつも朝、窓から私を見てて

今朝、大丈夫って声掛けてくれた人ですか?」


僕はハッとして顔を上げると今朝の女の子が立っていた。

彼女は少しピンク色の髪の毛でベリーショート

顔が小さくスラッとしている。身長は160はある

から格好が良い。


賢一「あ、そう。そうだよ。今朝声をかけた。

ただいつも見ているって何か語弊があるよ。

スト―カ―みたいだよ。」


女の子「あはははは!スト―カって面白いね」

女の子は病院にも関わらず大きな声で笑う。

僕は周りをチラッ見ると慌ててその子を病室へ

押し込む。

賢一「ち、ちょっと病院なんだから少し声のボリューム落としてよ!」


女の子はコホンと咳をすると

女の子「私は白井桃子。南女高校の2年生!

身長165,体重45キロ、血液O型、乙女座

趣味は運動、部活は陸上部に在籍、この、うっすらピンクの髪色は生まれ付き、だなら親が桃子って付けたの。タイプの人は自分を持っている人

彼氏は今はいない。出来ても私の元気に付いていけないと直ぐに終わる。家は中上町だから直ぐそこ、朝が弱くて毎朝遅刻ギリギリ!、、、です!」


桃子「ハイ。貴方は?」


僕は、ポカンとしていると桃子は僕を指さす。


賢一「ぼ、僕は、、、横井賢一、17歳、梁山高校に通っている、、、」

と僕は言葉に詰まる。何してんだろ。どうせ僕は死ぬのに、これから死んじゃいますって自己紹介するのか、、、


桃子「梁山高校って頭いいとこだよね!

17歳っていったら私と同じ高校2年生だね!

背はあまり高くないね?彼女は?」


僕は機関銃の様な彼女の喋りに圧倒されたが


賢一「、、、僕、もう長くないんだ。

死んじゃいます、、、だから、、、」


桃子は手に持っていた箱を賢一の顔の前に持っていくと

桃子「ハイ!ケ―キ食べよ。」

桃子はニコリと笑う。


最初はテンションが高く苦手な部類の人だったが

決して嫌味のない話し方や笑顔に僕は癒された。

あっと言う間に時間が過ぎていた。

時計は5時を指す。

賢一「あ、あのそろそろ面会時間が終了なんだけど、、、」

桃子「ん、そうなんだ。今日は突然お邪魔してごめんね。」


桃子はゆっくり立ち上がると窓際に歩いていき

窓を少し開けた。

季節は5月まだ時より肌寒い風が吹く中、夕日に

照らされた彼女は静かに口をを開く

「ねぇ、賢一君、約束して。こらから。明日、明後日、その先最期の最期まで自分は生きるんだって希望を捨てないで最期の時まで逃げないで!

そして元気になったら私が賢一君の彼女になってあげるから。」


桃子は真っ赤な顔をしていた。決して夕日のせいではなく。


僕は思った。桃子ちゃんはとても優しい子で

こんな僕にも勇気をくれて生きる意味を教えて

くれた。普通は僕みたいな人間など誰も相手に

しない。

この数時間で僕は別人になった気がした。


僕達は指切りをした。

初めて女の子の手に触れた。

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