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辺境生まれのトンデモ聖女は、王都の生活を満喫します  作者: 満原こもじ


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番外編:アースドラゴンその2

 ――――――――――ハテレス辺境区、アースドラゴンの暴れる山向こうにて。傭兵ハンス視点。


 パルフェちゃんの飛行魔法で、上空からアースドラゴンを眺める。


「……デカいぜ。わかっちゃいたが」


 誰からともなく漏れた呟きに頷かざるを得ない。

 おいおい、あんなの相手にするのかよ。

 プレッシャー強いわ。

 勘弁してくれよ。


「パルフェちゃん、何かわかるかい?」

「んー、なぎ倒された木の範囲からすると、アーさんは空飛んできたっぽいじゃん?」

「アーさん……」

「そりゃ翼があるしな」

「あんな貧弱な翼であの身体が浮くわけないじゃん。じゃあワイバーンなんかと違って、きっと飛行魔法を併用してるんだと思う」


 言われりゃ納得。

 何故気付かなかったか。

 あの巨体に呑まれちまってたな。


「もし飛んでどっか行こうとしたら、解呪食らわせて叩き落としてくれるわ。どんくらいダメージ入るかはわからんけど」

「頼りにしてるぜ」


 この発言で大分楽になった。

 ムリする必要はない。

 ハテレスの街中まで飛ばれるとヤベえと皆が深刻になってたと思うが、どうやらやつが飛んだらパルフェちゃんが止めてくれるようだから。


「あと尻尾アタックは全然大丈夫だわ。余裕で止められる」

「本当か?」

「うん。土とか木の様子を見る限りね」


 メチャクチャ頼りになるなあ。

 テールストライクさえなければ、やつの死角に入れそう。

 鱗を剥ぎ取ることもできるんじゃないか。


「となると怖いのは……」

「ブレスか」


 真竜種は皆ブレスという、口から吐く攻撃手段を持つ。

 アースドラゴンは土くれのブレスを吐くと言うが?


「アーさんの土くれのブレスは、判断材料がないからわかんないな」

「よし、ブレスに注意。一当てしてみよう」

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

「頑張るぞー。祝福っ!」


 矢のような光が降り注ぐ。

 これが祝福か。

 身体が軽いぜ。

 フワリと地に降り立つ。

 アースドラゴンのやつもようやくこっちを意識したようだ。


「ウインドカッター!」


 パルフェちゃんの魔法で戦いの幕が開く。


「うわ、まるでダメージ入んないわ。鱗硬いってのはほんとだね」

「伝承レベルの情報が正しいってことじゃねえか。おい、パルフェの支援が届かない位置に行くんじゃねえぞ!」

「あたしから見えれば大丈夫だからね」

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」


 ハハッ、魔法当てられてアースドラゴンが怒ってるわ。


「懐に入るぞ! パルフェ、援護は任せた!」

「あいあいさー」

「グオオオオオオオオ!」


 すげえ雄たけびだ。

 身が竦むぜ。

 来た、いきなりのテールストライクだ!


 バシーンというすごい音がしてアースドラゴンの尾が弾かれる!

 パルフェちゃんの魔法の盾だ!


「よーし、尻尾アタックは全然問題ない!」

「ハハッ、アースドラゴンのやつ、ビックリしてるじゃねえか」

「やったぜ! 鱗一枚剥がした!」

「危ない! 踏みつけだ!」

「任せて!」


 ストンピングしようとしたアースドラゴンの足を、魔法の盾で妨害している。

 前脚による爪攻撃は地面にいるオレ達に届くまい。

 なら怖いのはブレスだけ。


「ウインドカッター!」

「グオオオオオオオオ!」

「よーし、鱗さえ剥がせればダメージ入るわ」

「ダメージはいいから、ブレスの方警戒しててくれよ」

「りょーかーい」


 剣に魔法をエンチャントさせた冒険者達の攻撃に辟易したのか、再びテールストライクを放とうとしたようだ。

 しかしパルフェちゃんが始動の段階で抑えてしまうので、効果が出ない!


「楽勝じゃねえか」

「ブレスが来ないね?」

「好都合じゃねえか。どんどん鱗剥がせ。剣に魔法をまとわせてるやつは攻撃な」

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

「ストンピング来るぞ!」

「オーケー、任せて」


 あっ、アースドラゴンが顔を上げた?

 顔を思いっきり振り下ろすとともに土くれのブレス!


「あまーい」


 パルフェちゃんの魔法の盾がブレスを全て受け止める!

 しかもストンピングをガードしたまま!


「ん? どうした。アースドラゴンふらふらしてるじゃねえか」

「ブレスで口をがーっと開けた時隙だらけに見えたから、雷魔法放り込んでみたの」

「おいおいマジか。いくつ同時に魔法発動できるんだよ?」


 パルフェちゃんはすげえ。

 ああ、アースドラゴンが倒れた。


「息はあるけど、もう瀕死じゃねえか」

「苦しませてもかわいそーだね。頭を結界で押さえておくよ。首の周りの鱗剥がしちゃってくれる? 抵抗できるだけの力は残ってないと思うから」

「了解だぜ」


 デカい魔法で首を切断するつもりらしい。

 いや、全然魔力尽きる気配がねえな?

 パルフェちゃんの魔力ってどうなってんだ?


 アースドラゴンも完全に観念したようだ。

 粛々と最期の時を迎えようとしている。

 

「ようし、あらかた鱗はいいんじゃないか?」

「うん、ありがとう。バッチリ。ウインドセイバー!」


 見たことない魔法だ。

 おそらくはウインドカッターの上位魔法。

 アースドラゴンの首がごろりと転がった。

 スパッととどめを刺したことに感謝しているんじゃないか?

 強敵よ、安らかに眠れ。


「おいパルフェ。後ろの木までバタバタ切り倒されてんじゃねえか」

「ごめーん。力入っちゃったかも」

「まったく。手加減しろよ」

「ちょっと激闘の跡っぽくなっちゃったね」


 全然緊張感がないのな。

 アースドラゴン相手に手加減しろだもんな。

 お? 首の切り口から落ちてきたのは……。


「魔石?」

「ドラゴンの魔石は大体頭部にあるんだよね」


 トパーズの色味を濃くしたような魔石が鈍く光る。


「パルフェ。今日の最高殊勲者だから、お前が魔石持ってろ」

「いいの? やったあ!」

「やるわけじゃねえぞ? なくすなよ」

「わかった。じゃあ収納魔法に入れとく」


 収納魔法?

 当たり前みたいに超高等魔法を使えるんだなあ。


「ねえ、早く帰ろうよ。お腹減っちゃったわ」


          ◇


 アースドラゴンを倒したことは、ハテレス辺境区の住民の自信と誇りとなった。

 得られた素材の売買で一時的に景気も良くなった。

 でも主役のパルフェちゃんはあまり機嫌がよくなかった。


「不味かった」

「アースドラゴンの肉がかい?」

「うん。ドラゴンなんて肉食だから不味いと思ったんだ。それなのに皆が食ってみなきゃわからねえとか煽るから。もうあたしは絶対に騙されない」


 ハハッ、平和だこと。


「パルフェちゃん、口直しに草食魔獣狩りに行かねえか?」

「お肉を? でもまだアーさんの影響で魔物は戻ってきてないんじゃないの?」

「いや、南の山は結構戻ってるってよ」

「そーなん?」

「さっき聞いたんだ」

「教えてくれてありがとう! じゃあ行くよー。フライ!」


 余韻もなしでいきなり飛行魔法なのはパルフェちゃんだなあ。


          ◇


 後日、アースドラゴンの魔石を出せって言われてパルフェちゃんが困ってた。


「何だこれ?」

「セミの抜け殻」

「セミの抜け殻はわかるけどよ。何だよこの量は。山じゃねえか」

「うん、あたしもビックリ」


 アースドラゴンの魔石がどこにあるかわからなくなって、収納魔法の中身を一旦全部取り出した。

 その結果が抜け殻山だ。

 パルフェちゃんは何年にもわたってセミの抜け殻を集めてたんだそうな。

 こういうところは子供っぽいな。


「あっ、こら! 抜け殻をまた収納魔法に入れるんじゃねえ!」

「だって大事なコレクションなんだもん」

「そんなことしてたら探すの手伝わねえぞ!」

「ええっ? 手伝ってよ!」

「じゃあセミの抜け殻は諦めろ!」


 結局パルフェちゃんは泣く泣くセミの抜け殻を諦めた。

 マジ泣きだったわ。

 アースドラゴンの魔石の色は、セミの抜け殻にそっくりだと知った夏。

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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