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辺境生まれのトンデモ聖女は、王都の生活を満喫します  作者: 満原こもじ


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第11話:大量ゲットだ!

「ふんふーん。大量ゲットだ! やったぜ!」

「ハッハッハッ、実に愉快でございますな」

「マイルズさんもそう思うかー」


 アルミラージの他、イノシシの魔物ビッグボア、カモシカの魔物イビルアンテロープ、クマの魔物大爪熊(以上、パルフェ様基準の肉)を仕留め、パルフェ様は御機嫌だ。

 パルフェ様が言うには、どれもこれも大層美味い肉であるらしい。


 我は魔物ではないイノシシ・カモシカ・クマは食べたことがない。

 と言うとイノシシ・カモシカ・クマの魔物は食べたことがあるように聞こえるかもしれないが、むろんあるわけがない。

 何故なら我は王都で生まれ王都で育ったシティボーイだから。


 食べたことはなくとも、野生の獣の肉は美味いと力説されれば美味い気もする。

 少なくとも肉の状態を想像できる。


 問題はヘビだ。

 いかに聖女様の仰せといえど、ヘビを食べるのはさすがに抵抗がある。

 パルフェ様はヘビの魔物もナイフを飛ばしてひょいと倒していた。

 いかなる魔物であっても、公平で差別せず倒すところはさすが聖女様だ。

 が、『ヘビは美味いのと不味いの、当たり外れがあるんだよなー』との理由で、売却できる部位である魔石と毒牙を除き廃棄していた。

 神はいた。

 合掌。


「魔石も結構取れたよねえ」

「大量ゲットですな」


 そう、我ら聖騎士団員のテンションが高いのは、大量の魔石を手に入れることができたからだ。

 魔石は全ての魔物が必ず一つ持つ、魔力の塊だ。

 スライムや昆虫系、植物系、ゴースト(以上、パルフェ様が肉と認識していない魔物)もかなり倒したので、取得した魔石の数は一〇〇を超えた。

 パルフェ様の飛ぶナイフは付与魔法がかかっているので、我らでは退治が難しい実体のないゴーストでも簡単に倒せる。

 我も武器付与の魔法は習得すべきかもしれないな。


「魔石の処分は我々に任せてもらってよろしいので?」

「もちろんだよ。そーゆールールなんでしょ?」

「ルールというわけではありませんが。『魔の森』の魔物退治は聖騎士団の担当ですので、自然そのようになっているだけです」


 魔石は魔道具にお守りにジュエリーにと引き合いが多く、特に王都では比較的高値で売れる。

 聖騎士団のいい副収入になっているのだ。

 しかし今日は魔物をほぼパルフェ様が一人で倒しているんだが?

 魔石をまるっといただいてしまうのは、さすがに後ろめたい気がする。


「『魔の森』の魔物退治は大変だよねえ。おいしー部分がないとやってられないと思うよ」

「パルフェ様もそうお思いで?」

「そりゃそーだよ。お肉と素材の運搬を全て任せちゃって悪いなーと思ってる。魔石は全部もらっといてよ」


 普通は魔物退治の大変な部分は運搬じゃなくて戦闘なのですよ。

 何故ならケガ人が出ない時なんてないので。

 今日は肉体的にも精神的にも実に楽なのだ。

 パルフェ様が戦闘で無双している上に、回復魔法持ちだから。

 台車を引き回すくらい、全くどうということはない。


「本当にパルフェ様は、魔石や素材の売却金は必要でないのですか?」

「いらないいらない。聖女のお給料はお高いらしいから。あたしは美味いお肉をお腹一杯食べたいだけなんだ」

「実に喜ばしいことです。団員ともども感謝致します」


 あなたが神か。

 身をもって知る聖女様のありがたみ。

 合掌。


 不意にパルフェ様が立ち止まる。

 どうしたのだろう?


「……魔物の群れが来るみたいだぞ?」

「そうなのですか?」


 何故わかるのだろう?

 あれか、感知魔法か。

 確か感知魔法は雷魔法の系統と聞いたことがある。

 パルフェ様が全属性持ちであることは鑑定の儀を見たから知っているが、魔法も全系統使えるのか?

 魔法とはそんなに簡単に習得できるものではないはずなのだが。


「動きが速いし数も多い。完全にこっちを狙ってるな。肉食魔獣だと思う」

「餓狼か! 厄介な」

「ここで戦闘になると森に被害が出ちゃう。さっきの開けたとこで迎え撃つよ」

「「「「はっ!」」」」

「でもオオカミかー。肉食獣は不味いから、あたしの中ではお肉じゃないんだよなー」


 パルフェ様の緊張感のないぼやきを聞きつつ急いで後退。

 魔物の数によっては包囲される恐れのある開けた場所は危険なのだが、パルフェ様の魔法の都合なのかもしれぬ。

 ここは魔物退治のプロフェッショナルであるパルフェ様の意見に素直に従おう。


「魔法で数減らすよ。食い止めといてくれればあたしがナイフ飛ばして仕留める。ムリにやっつけようとしなくていいからね」

「「「「はっ!」」」」


 木々の間から姿を現した魔物、やはり餓狼か。

 まずいな、一〇頭以上いる。

 一人当たり二頭以上の勘定か。

 複数で一個体に相対する、やつらの得意パターンだ。


 しかしどういうわけかパルフェ様は楽しそうだな?


「バッカだなー。真っ直ぐ向かってきたぞ? アンダードライン!」


 これは土魔法か?

 突如足下に出現した巨大な穴に全ての餓狼が嵌り込む!


「ええ? 一発で全部落ちたぞ? 王都のオオカミどんくさっ! ランドスライド!」


 再びの土魔法。

 今度は大量の土が出現し瞬時に生き埋め。

 パルフェ様の手際鮮やか過ぎる。

 ちーん、合掌。


「お見事なお手並みでした」

「しまった、魔石のこと考えてなかったな。肉食獣はあたし基準で肉に分類してないもんだから、つい埋めちゃった。ごめんね」

「いやいや、餓狼はこの魔の森で最も厄介な魔物なのです。必ず数の優位を頼みに襲ってきますので、かつて死者が出たこともあったのですよ。一〇頭以上を相手に全員無傷など初めてです」

「あのオオカミが一番厄介なのか。じゃあナイフがあれば武器いらないような気もするな」

「パルフェ様は辺境ではどんな得物をお使いだったんです?」


 我も聖騎士という戦闘職の立場上、武器については無関心ではいられないのだ。

 魔道の天才パルフェ様は、杖を使わずどんな武器を?

 興味があるな、わくわく。


「金棒だよ」

「金棒?」

「うん、そお。付与魔法の利きを良くするためにミスリルの含有量を多くした特注品だよ」


 金棒ときたか。

 欠片も聖女テイストを感じられない得物だな。

 いや、ミスリルの含有量が多いならば輝きが違うだろう。

 見ようによっては荘厳かもしれない。

 小柄なパルフェ様が金棒を振り回す様を見てみたい気もする。


「前の金棒も気に入ってたけど、重心が先の方にあり過ぎたんだよね。お給料が出たら新しいの作ってもらおうかなー。必要性はどうなんだろ? 『魔の森』にはでっかい魔物はいない?」

「パルフェ様がでっかいと仰いますと、どの程度の大きさの魔物で?」

「ドラゴンとかキマイラとかロック鳥とか? そのクラスになると防御力も高いから、いくら付与魔法かけてもナイフじゃどーもならん。そんなんが出るならやっぱ金棒欲しいんだけど」

「ハハッ、そんな魔物が王都に出現したら大変なことになりますな」

「出ないのか。まー大物がいそうな気配はなかった。不味い魔物だしな」


 パルフェ様の感覚はおかしい。

 どうしても肉ありきの話になるようだ。

 それほどの大物を倒せるなら、高級素材を好きなだけ剥ぎ取れるだろうに、肉の優先順位の方が上なんだな?


「オオカミやっつけたから、一通りここの魔物と戦った勘定になるのかな?」

「そうですな。主だったところは」

「飛ぶ魔物は昆虫系だけ?」

「はい」

「じゃ、飛行魔法で帰ったほうが早いな。フライ!」

「「「「わわわ?」」」」


 重心が急に不安定になったかと思うと、聖騎士全員と運搬物が浮遊する。

 と考える間もなくものすごいスピードで飛ぶ!

 何これ怖っ! 合掌。

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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