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辺境生まれのトンデモ聖女は、王都の生活を満喫します  作者: 満原こもじ


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第102話:三組と協定を結ぶ

 ――――――――――学院高等部廊下にて。マイク視点。


「ふーん。水泳の選択講義は随分特殊なんだねえ。知らなかったわ」

「期間が短くて楽ということは高等部入学前に先輩から聞いてたから、一つは水泳にしようと決めてたんだ」


 二学期が始まると学院高等部は文化祭一色になる。

 去年もそうだったが、オレが比較的暇そうにしているので、何の科目を取っているのかという話になったのだ。

 水泳の講義は第一学期の後半で、テスト期間中とその前の半月を除く一ヶ月間で行われる。


「その他に寒中水泳が二学期に一日だけある」

「げ、寒中水泳はかなわんな。女の子の大事なお尻が冷えてしまう」


 前もどこかで似たようなこと言ってたな。

 聖女パルフェの拘りなんだろうか?


「聖女様は泳げるの?」

「泳げるよ。故郷では湖があってさ。夏は皆そこで水浴びするんだ」

「水泳の講義では女子はいないんだよ」

「そーなのか。王都だと泳ぐとこなさそうだから、慣れてないのかな。あっ、モアナちゃんは泳げそう」


 カメハメハは王宮から海までそう距離がなかった。

 南国で暑い季節も長いから、水浴には馴染みがあるかもな。


「というわけでなくて。水浴着は露出が多いだろう? 恥ずかしいし淑女らしくないということで女子は嫌がるから」

「あたしは淑女じゃないから関係ないとして」

「ええ?」


 自分で淑女じゃないって決めつけちゃうのはどうだろう?

 行儀作法のレイチェル先生にメチャクチャ叱られそう。


「水泳を選択するっていう手もあったな。あたしのキュートな水浴着姿を見られれば男子も嬉しいだろうし」

「いや、そんなことは……」


 確かに可愛いだろうけれども、王太子殿下の婚約者を性的な目で見ることは不敬に当たるよ。

 聖女パルフェはわかってないのかな?


「あっ、おっぱいがないから見るに値しないと思ってる? そんなことないわ! ちょっとはあるわ!」

「寒中水泳」

「ないわーやっぱ水泳を選択することはなかったわ」


 笑いながら歩を進める。


「魔法クラブも展示物が増えたし」

「そうだね」


 文化祭で魔法クラブがやる気がないのは去年と一緒だ。

 もっともやる気のあるクラブばかりでは、文化祭で苦労する生徒が増えてしまう。

 魔法クラブはあれでいいんだろう。

 ただ今年は魔法陣関係の展示物が増えている。


「刺繍クラブも問題ないし」


 魔法クラブとコラボした、魔法陣を縫い込んだケープを量産中だ。

 街で話題になっているらしいので、値段次第でかなり売れるのではないかと言われている。

 でもなあ。


「刺繍クラブではオレ、何もしてないんだけど」

「そんなことないって。男子モデルは必要」


 刺繍は女子の嗜みなので男子はやらない。

 クインシー殿下とオレは、たまにデザインに関する意見を言うくらい。

 見ているだけなのは本当に心苦しいんだが。


「数はいらないんだけどさ。二、三人男子にいて欲しいのは本音なんだって。部長だって大歓迎だったでしょ?」

「……まあ確かに」

「気にしない気にしない。モデルだけじゃなくて男手が必要な場面もある。荷運びとか」

「聖女様浮遊魔法で運んでるじゃないか」

「それはそれとして」


 どうもうまいこと誤魔化されているような気がする。

 でもクラブで重宝されているのは事実なんだよな。

 居心地がいいのか悪いのか。


「ん? 何だろ?」


 クラスの前まで来たら何か揉めてるようだ。

 どうしたんだろう?


「どうどう。仲裁の聖女がやって来ましたよ。何があったん?」


 よく見たら三組の子達じゃないか。

 一組の教室で何を?

 ゲラシウス様の娘サブリナ嬢が言う。


「聖女様にお願いがあるの」

「信仰心が高ければ願いはかなうであろう、なんてね。で、どしたん?」

「文化祭の出し物のことなんだけど、三組で魔物肉を提供するお店をやりたいの」

「えっ?」

「おお、そーゆーことだったか」

「魔物肉を調達するのは聖女様しかできないでしょう? 協力してくれないかと頼みに来たら、一組の方々に強硬に反対されてしまって」


 当たり前なんじゃないかな?

 自分のクラスだけで完結できないものを、他のクラスに頼みに来るってどうだろう?

 ずうずうしくないか?


 ダドリーが言う。


「レディの頼みでもそれは聞けない。身の丈に合った出し物にすべきだ」

「そこを何とかお願いできないかしら? 私達も一組が魔物肉店を出し物にするなら遠慮したのだけれど」

「ムリだ。交渉の余地はない」

「あたしはべつに構わないぞ?」

「平民!」


 目を吊り上げるダドリー。

 でもこれは聖女パルフェがおかしいんじゃないだろうか?


「出し物はクラス同士の競争になる。三組に協力するのは利敵行為だ!」

「一組は皆ダドリー君と同じ考え方なのかな?」


 ほぼ全員が頷く。

 オレもダドリーの考え方は正当に思える。

 殿下と留学生二人は興味深げな目で見てるけど。


「考え方を変えようか」

「どう変える?」

「魔物肉屋は一組の捨てたアイデアだった。劇の方がもっと高評価を得られると考えたからそっちを選んだ。ここまで間違いないね?」

「その通りだ」

「直接対決で叩き潰すチャンスじゃないか」


 アグレッシブなことを言い出したぞ?

 目を瞬いているダドリー以下一組の面々。


「あたし達の判断が正しかったのか間違っていたか、正々堂々と勝負をつけるのだ」

「し、しかし……」

「おや、成績優秀者で構成される一組の総意に自信がない? それはそれで問題だぞ?」

「……」


 聖女パルフェは煽るのがうまいなあ。

 何だかオレも三組に協力してやるのがいいような気がしてきた。

 ダドリー以下が困惑している。


「去年の魔物肉屋がおかげ様で大盛況だったじゃん? 今年もやんないかなーって期待してる人はすごく多いと思うんだ」

「かもしれないが」

「三組がやってくれるならありがたいことだよ。少なくとも文化祭全体を見た時、魔物肉屋があった方が絶対に盛り上がると思うね。とゆーことは、ここで三組の提案を通してやることで、あたし達は文化祭の盛り上げに貢献することになる」

「……」


 聖女パルフェ特有の広い視野だ。

 そして理路整然としているから説得力がある。


「三組に協力してやることに、広義のメリットがあるのはわかった」

「うんうん。それで?」

「問題は三組に利があり過ぎて、一組に利がないことだ。これでは公平な条件とは言えず、受け入れがたい」

「ダドリー君の言うことはもっとも。で、三組の手を借りたい」

「どういうことなの?」

「一組が劇やることは聞いてるかもしれないけどさ。裏方の人数が足りないんだ。一組は女の子が少ないから、小道具特に衣装関係の用意で手が回んなくなりそうなの」


 あっ、聖女パルフェにはそういう思惑があったのか。

 手伝いの人員を確保するために他所のクラスに協力する?

 まだ台本が上がってきてなくて本格的に動いていないから、労働力が足りないことに気付かなかった。

 一組女子から次々と賛同の声が上がる。


「手が多くなるのは大変助かりますわ!」

「少々不安に思っていたんだ。女子の多い三組が手伝ってくれるのはありがたい!」

「魔物肉屋が忙しいのは文化祭当日とその直前くらいなんだ。それ以外でヘルプしてくれないかな?」

「わかりましたわ」

「やたっ! 大道具小道具にかなり手をかけられるぞ! ダドリー君達もそれでいいかな? これならウィンウィンの条件だよ」

「あ、ああ」


 言いくるめた。

 最初一組のほぼ全員が反対してたのがウソみたいだ。

 聖女パルフェはすごい。


「よーし、決まりだ! こっちで人数必要になったら借りに行くよ。三組でお肉調達の日が決まったら、早めに教えてね」

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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