宮城県知事選挙 「イスラム土葬」村井VS「クルド」和田 争点とデマ情報について
◇宮城県の現状
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は25年10月26日投開票の宮城県知事選挙について語っていこうと思います。
質問者:
宮城県知事選挙はなんだか全国的に盛り上がったみたいですけど……どうしてこんなにも話題に上がったんですか?
筆者:
まず宮城県の現状について簡単に把握していこうと思います。
出生率は東京に次ぎワースト2位1.00(9年連続出生率低下)、東京に流出する人口比率ワースト1位と人口流出と子育て対策が課題になっています。
さらに村井氏は24年10月、県議会本会議で「東北で土葬ができる場所が無いのは問題」とし、
土葬可能な墓地の検討を表明し、宗教上の理由で火葬を避けるイスラム圏の人材の呼び込みを図ろうとしていました。
ところが、宮城県の市町村長に土葬墓地について確認したところ、誰からも前向きな答えがなかったために選挙直前の25年9月には「知事として土葬墓地を検討することはもうない」と発表し、「選挙対策ではないのか?と大きな話題を呼びました。
質問者:
村井さんはこれまで5期20年務めて人口流出と出生率の低下はさすがに批判されても仕方ないですね……。
でも投票率は前回よりも10%も低下してしまったそうですね?(2021年56.29%、2025年46.50%)
筆者:
前回は第48回衆議院選挙と同日に執行されたことも大きいですね。
また、選挙当日は冷たい雨が降っていた上に、選挙期間中には仙台市中心部でも熊が出没が目撃されるなど、外出に不安を覚える状況でした。
そのために全国の関心とは裏腹に県民の足は投票所から遠のいたのでしょう。
質問者:
投票率が低いと組織票のある現職の圧勝になりそうな気もしますけど、僅か1万6千票差とそうはなりませんでしたね。
筆者:
前回は投票率が高かったものの村井氏が圧勝していることから「投票率が高い=組織票が無い方が有利」とは必ずしも言えないですね。
投票率も大事ですが、それ以上に現職の状況と対抗馬の方が大事になってくるんです。
質問者:
村井さんには土葬の騒動以外に何か問題があったのでしょうか?
筆者:
今回の選挙では仙台市でのみ和田氏が3万票ほど優勢でした。
これは、和田氏を全面バックアップした参政党が総力を結集して仙台市を中心に選挙戦を展開したこともあるのですが、
それ以上に仙台市独自の問題がありました。
宮城県は2021年9月、東北労災病院(仙台市、548床)、仙台赤十字病院(同、389床)、県立がんセンター(名取市、383床)、県立精神医療センター(同、258床)の4病院の再編計画を公表しました。
労災、赤十字ともに、病床稼働率が低迷し、経営状況が厳しく再編を掲げ村井氏は5選を達成したのです。
しかし、その後の仙台市の北側の計画は混迷を極めました。
まず、県立精神医療センターの移転に対して患者らが反発し、名取市内で建て替える方針に転換。
東北労災病院を運営する労働者健康安全機構はその後も移転の検討を重ねていたが、2025年5月に「さまざまな状況を勘案し、慎重に検討を重ねた結果」として、移転を断念すると発表しました。
これにより病院の計画自体が宙に浮いた形になったのです。
質問者:
お年寄りの方も病院が無くなればそれは不安を覚えますよね……。
筆者:
また、参政党とは「水道民営化」について参議院選挙の際に「民営化かどうか」について衝突がありました。双方ともに退けない理由があったのです。
宮城県は「民営化」ではなく「みやぎ型管理運営方式」としているわけですが、
2022年から水道施設の維持管理をする「みずむすびサービスみやぎ(MSM)」の議決権の51%をフランスの「ヴェオリア・ジェネッツ」が持っていることは間違いない事実だと思います。
水道管理や料金改定などの最終的な責任は県が持っているとしていますが、
全国で2番目に水道料金が高いのも事実のようです。
また、東京都が25年の夏に実施したような水道無料化など柔軟な対応はしにくいだろうと思います。
質問者:
確かに今「外資が入っているかどうか」はかなり問題になっていますものね……。
筆者:
海外の言いなりになってしまいますからね。
「民営化ではない」と宮城県は主張していますが、状況としては限りなく「民営化」やそれに近い分類と言えるので、反発されるのもやむを得ないと思います。
世界的にも民営化した方が水道料金が上がっているためにむしろ公営化に戻せという意見が増えていますのでその潮流もあると思います。
また、「民営化」という用語はメディアが先に使い始めました。
22年4月1日の朝日新聞の記事では『全国初の上水道民営化、宮城で始まる 料金や災害復旧…残る不安』といったものもあり、「宮城県は水道民営化するんだ」という認識を国民が持ってもやむを得ないと思います。
質問者:
新聞でもそう出ているとそういう認識が広がりますよね……。
東北には太陽光パネルの問題もあると思うのですが……。
筆者:
仙台市太白区秋保町で構想されている国内最大級のメガソーラー関連施設の建設を巡り、地元住民らが25年7月15日に仙台市に対し、建設を中止させるよう訴えたことがあり、現状この計画は進んでいないようです。
太陽光パネルの問題について村井氏は「間違いなく環境破壊につながり、個人的には大反対」としていますが、
県や市の許可や通知なく大規模に太陽光パネルを建設を始められるとは思えないので、「間接的にでも関与」していると思いますけどね。
そもそも手前段階として森を切り開く太陽光パネルそのものを規制するべきだと思いますけどね。
◇「クルド人優遇疑惑」のある和田政宗氏
質問者:
村井さんはこのように様々な問題があると思うのですが、
対抗の筆頭だった和田さんも何かネットではあまり評判が良くないんですけど、これはどうしてなんですか?
筆者:
ちなみに和田氏はNHK仙台支局でキャスター。2013年みんなの党から宮城選挙区で初当選。その後自民党に入党するも、25年7月の参議院選挙では落選という経歴で、宮城県では知名度が高い方で見込みはある程度ある感じでした。
宮城が伊達政宗公が治めた地域であるために、「政宗」という名前も響いていると思います。
しかし、和田氏は埼玉県のクルド人問題について、炎上しています。
国会議員時代に「クルド議員連盟」に加入していました(その後脱退したらしいですが)。
フリー記者でクルド人問題について火付け役となった石井孝明氏ら批判者を名誉毀損で告訴し(判決はまだ出ていない)、Xでブロックしたために、「クルド和田」とまでネットでは呼ばれました。
質問者:
「クルド和田」って凄い称号ですね……。
筆者:
和田氏は難民申請の3回目以降の申請は出来ないような法改正
「日本版ESTA(28年施行)」という、入国の時に不法滞在や犯罪、テロなどのリスクがある人物が日本に上陸するのを防ぐ法案に尽力したことや、
日本人を守るためのパトロール強化を警察に要請したこと。
「トルコからのビザ免除廃止」を国会で要請したとなどで疑惑を否定しましたが、
議員連盟に加入していたことがクルド人の「力の根源」になっていたことも間違いなく、
「グレー」ともいえる存在だと思います。
質問者:
全く根拠が無いわけではないんですね……。
筆者:
ただ和田氏の支持が伸びたのは「日本一の子育て県」にすることを目標に、不妊治療費の負担ゼロ、高校までの授業料無償化、中学までの給食費無償化、県独自の出産支援金30万円の給付、子どもの数に応じた50~100%の県民税減税など優遇措置などを挙げました。
心の底から大丈夫! とは言えないまでも若者世代には響いたのでしょう。
また、太陽光パネルの見直し外国人問題についても触れていたことから、
村井氏の政策にも影響を与えました。
落選したものの一定の意義はあったと言っていいでしょう。
ここからさらに手の平を返すようであれば知事であればリコール制度による失職もありえますからね。
◇例え自分とは違う政策・考えでも誹謗中傷だけはいけない
筆者:
ただ、村井氏や和田氏に対しては誹謗中傷があったことが非常に残念でなりません。
「タヒね!」「〇賊!」「売〇奴!」など過激な表現をされた方が散見されました。
村井氏や和田氏はそう言った言動をされた方に対して法的措置をとる可能性まで示唆しています。
質問者:
一般の方同士ですらそのような発言をしたら問題になることですからね。
筆者:
政治家は公人の方であるとはいえ(その責任を果たしている方が少ない印象はありますけど)、人権が無いわけではないです。
正直な話、今は本当に多様な考え方があり、全く同じ考え方の方というのはまず存在しないと言っていいと思います。
受け入れることはできずとも、「そういう考え方があるのだ」と「理解する」姿勢というのは大事だと思います。
攻撃をするのではなく、話し合って理解する姿勢というのが大事なのかなと思います。
質問者:
SNSは匿名性がありますから、つい強気になってしまうんでしょうかね……。
筆者:
ただ、裁判で認められれば本人特定のための開示請求をプラットフォーム側に請求することもできますからね。
それこそ、政治家の方は専用の弁護士の方を雇われている可能性も高く、訴訟も辞さないと思いますので、本当にやめた方が良いと思います。
まぁ、ここに辿り着いてくださっている方はそんな過激な方は稀だと思いますので、本当に伝えたい相手にはほとんど伝わることはないと思うんですけど(笑)。
◇「消極的選択」をしなくてはいけない
質問者:
今回は村井さんが6選という結果になりましたけど、
こういった「どっちも微妙な感じ」の時は有権者の方はどういった選択をしたらいいのでしょうか?
筆者:
最初に、「気候や熊が投票率にマイナスの影響」と書きましたが、それは一般的な考察であり、「候補者の全員が嫌だった」という方も多くいらっしゃったという可能性はあると思います。
ただ、選挙権を放棄することは一番いけないことだと思います。
なぜなら選挙権を持っていることは当たり前のことではなく、男子普通選挙から100年、男女普通選挙は80年と歴史は非常に浅いのです。
一般人が政治参画できるということは非常に貴重であるということを理解する必要があると思います。
質問者:
選挙権を得るために血を流した歴史もありますからね……。
筆者:
そのうえでどちらに投票したらいいのかと言いますと、
基本的に同じ方が権力を握り続けていることは危険だと思います。
実際に村井氏には、土葬問題で拒否されたり、病院移設問題があったにも関わらず、宮城県の大多数の市町村長の支援を受けており、「完全なる既得権益層」と言えると思います。
それで県民が豊かになればまだ良いですが、実際は若者は東京に流出し、残った方の出生率が日本ワースト2位の有様ですからね。
質問者:
せめてプラスの実績を出して欲しいですよね……。
筆者:
和田氏も怪しいと思いますし、大きく支援をした参政党にも危うい言動や「第三自民党疑惑」があったりしますが、それでも「消極的選択」をしなくてはいけないと思います。
なぜなら、選挙権のハードルはお金もかからず平等ですが、被選挙権の立候補のハードルは多額のお金がかかり、事実上かなり高い壁として立ちはだかるからです。
ただハードルを下げることは既得権益者としては許したくないでしょうし、
その基準としても相当議論が必要になると思うので当面の間は今のレギュレーションでやるしかないという感じですね。
質問者:
この「何とも言えない中から選ぶ」というのが続くということですか……。
筆者:
僕なりではありますが政治的選択方法の手伝いをさせていただければと思いますので、
よろしければどうぞご覧ください。




