表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第五話 勇者と冥土さん

冥土さん!!新キャラ登場です。

次の日、俺は久々にぐっすりと寝むれた。まだ太陽が昇ったばかりで起きるにはまだ早い。目が覚めたのでベランダに行き朝の空気を感じる。

「涼しぃぃ」

ここの空は朝は薄い紫色の空へと変わっていた。俺が住んでいた国とは違うのか…

城を囲む塀の向こうには森がありその奥には街が見える。どんなところなのかそのうち見に行きたいな。

そんな事を考えながら服を着替える。パジャマはここに置いておくのか回収するのかわからないため枕元に置いておく。

ゴロゴロ…ゴロロ…ゴロゴロ…ゴロロ…

じー…じー…じー…じー…じー…じー…

「いろいろ…確かめてみるか…」

ベットでごろついたりベランダで外の景色を見たりなどとしていたが暇なので部屋を出ることにした。もしかしたら…ミオに会えるかもしれない。そんな希望を持って部屋を出た。相変わらず廊下は薄暗く何かお化けでも出くわしそうな雰囲気だった。

(大丈夫!大丈夫!)

と呑気に歩いていた。

そんな俺が出会ったのは…

「…………………」

「お…おはようございます」

じーと…睨みつけてくる怖い冥土さんだった。

ショートの黒い髪に黒い手袋、とどめに冥土服。

(タスケテ…ミオ)

「……………………………」

「……………………………」

そこから長い沈黙が続いている。どうしよう…何も話さないし…俺から話題作ったほうがいいのか…

「す、好きな食べ物は何ですか!!」

「………………………………」

なんでこんな質問したんだろう……。

(俺のバカァぁぁぁ)

↑人とのコミュニケーションに飢えている。

まさか、歩いてすぐにミオ以外の人に会うとは…

この城、昨日誰とも会わなかったから使用人が居ないのかと…

(ハッ!)

そう、昨日誰とも出会わなかった。夜遅かったしミオが俺の事情を話しているとは限らない。

向こう側からしたら俺は不審者になる!!…この城ミオ以外に誰も見当たらなかったが実は居て…無断で好き放題していたのか。……………どうしよう

「あの…ミオはどこにいますか」

一応聞いたが返事は返ってこない。

「起きていますか…」

これは…また…言葉が通じないパターンか。…とりあえず…ミオを見つけて…ミオに事情を話してもらって…それでもだめだったらどうしよう…

貴族の家それ以前にこんな大きな城、不法侵入は死罪だよ。

(どうしよう、、、よしっ、)

どうせならここで働かせてもらえないか!

罪に問われても働いて償うことしかできないし

罰金を言われても払うかねなんてないし…

俺は今無職のホームレス状態だし。金もない、家もない、仕事もない、何もない。

あははは…改めて見るとヤバいやつじゃん。あははは…壊れたな。そんな事を考えていたら…

じー

(…めっちゃ見てくる)

「…セン」

「え…」

「…マダキショウ、サレテイマセ、、ン」

「えっ…」

「…??」

「いま…言葉が…」

通じた!!ミオが喋っていた言葉とは違いカタコトだけど通じていた。無表情でカタコトだからなんかロボット感がある!!←めちゃ失礼。

「あの!!言葉分かるんですか!!」

「…ワカリマス」

「うぉー!!」

よかった。通じる人がいてよかった。久しぶりの国の言葉だ!

「ソレデハ…」

「まっ…待ってください」

去ろうとしていたので止める。

「ナニカゴヨウデスカ」

「はい!!」

せっかく言葉が通じるのなら聞きたいことがある。ここがどこなのか…ミオの事とか…居てもいいのか…言葉の事とか…ここで働けるのか…

よしっ…

「ここはどこですか」

「ココハマオウジョウデス」

「えっ…」

沈黙が再び戻った。

「……………」

「……………」

スッ、

「待ってください!」

去ろうとしたのでもう一度止める。

「もう一度お願いします」

「ココハマオウジョウデス」

「まおうじょう」

「…まおうじょう」

今度はカタコトじゃない…

いやそれより!!

「まじか」

魔王城…

「マジカデス」

ピコン!!

【勇者の子孫は再び魔王城へと向かっていた。】

確かにこの城暗い雰囲気で…装飾品も暗い色が多いなとは思っていたけど…空も変な色だなと思っていたけど…まさかそうとは思わないじゃん。

てか、魔王城ってこんな簡単に足を踏み入れることができる場所なのかよ!勇者は数日でたどり着けたのかよ!

それに、勇者の子孫ってバレたら処刑案件だよな。だって自分達の王を殺した人の子孫がいます。と言われたら殺されるよ。恨まれているよ。逃げるべきか…

でも…人間の国から追い出された身…向こうでは生きていけない。向こうに行っても処刑案件。ここにいても処刑案件。…ここでもいいかも

「ソレデハシツレイシマス」

「おっ、俺も手伝います!!」

「…………………」

「…………………」

沈黙長くないですか…

「オスキニドウゾ」

「はい!!」

どうせならここで働かせてもらいたい。掃除、料理、洗濯とか家事は得意だし…働きがよかったら居させてもらえるかも…冥土として…

「冥土よし!!」

働かしてもらえるなら何でもドンとこい!!

…まぁ勇者の子孫ってことは絶対にバレないようにしなければ。

そういえば…ミオはここで何をしているのだろうか。働いているのだろうか、冥土さんには見えなかったが…まぁ後で考えよう。

廊下を冥土さんの後ろから歩きついて行く。最初いた部屋からだいぶ歩いた。大広間を抜けていき進んでいった先には倉庫があった。そこには掃除道具が揃っていた。冥土さんは雑巾やバケツを持っていった。俺も余りのバケツと雑巾を持って行く。次に近くの扉を開けた。そこは外へと通じていた。周りは木々が多くたぶん中庭みたいなところかなと思う。外では風が暖かった。

歩いていくと井戸がありそこで水を汲んでいた。

俺も水を汲むついで

バシャ…バシャ…

顔を洗う。さすがに顔を洗ってスッキリしないとなんか嫌だ…

本当は歯も磨きたいが…無いものは仕方がない。

服の裾で顔を拭き、残りの水は捨てる。もう一度水を汲みバケツを運ぶ。

今度はどこへ行くのだろうと考えていたが…

冥土さんは大広間へと戻っていった。

そこで、階段や床を雑巾で拭いていた。冥土さんは掃除担当なのかな。さすがに仕事全てを担っているわけじゃないだろう…

冥土の仕事には、掃除、洗濯、料理の補助、裁縫・衣服の修繕、側近など大まかな物でもいくつかある。そこから、いくつか細かく分けていく!

俺は冥土さんと同じように雑巾掛けをする。床も灰色に近く床石が輝いている。階段も手すりも細工が細かく綺麗だった。毎日掃除して大切にされている証しだな。大広間を掃除した後、戻って掃除道具をもう一つとった。また、もう一度バケツの水を汲みに行き次は廊下を掃除した。雑巾掛けだけではなく、はたきを使い装飾品も掃除した。

冥土さんは黙々と掃除をしており、今現在までずっと会話をしていない。どこに行くのかも何をするのかも冥土さんの動きを真似している。

まぁ、ダメ出しをされないってことは上手くできているのかな…

廊下にある壺をはたきを使い掃除をしていたら、風が拭き倒れてきた。それはヤバい。

「おりゃ!!」

急いで壺を受け止めにいく。スライディングをするように受け身の態勢を取りながら行ったのでなんとか割れずに済んだ。

ギョッ!!

冥土さんが目をバッチリ開けてこっちを見ている。なんか…めっちゃ負のオーラを感じる。怒っているというか…呆れているというか…

急いで壺を戻し…

「すみません」

頭を下げて謝る。確かに、手伝うとか言いながら物を壊す原因になっていたのだから怒って当然だ。

返事もないのでチラッと頭を上げると本人は何も無かったように掃除を再開した。

もう…いいのかな。

「すみません」

もう一度謝っておく、それにしてもなんで窓が空いていたわけでも強くはたいた訳でもないのに倒れてきたんだ。

「はて?」

そんな事を考えていたら…

バンッ…

タッタッタ…タッタッタ…

扉を強く開け誰かが走ってきている音がした。その音はどんどんこちらへと近づいてきて姿が見えた頃には…

「ミオ!!」

ドン…

抱きついていた。

ギュッッッ…

「ベリタ!!」

その顔は少し怒っているようで…泣いているようだった。もしかして…勝手に掃除したこと起こっているのか。

とりあえずムッとしてるのは感じ取れる。

「・・・・・・・・・…・・・・」

後ろから冥土さんがなんか言った。さっきとは違い言葉が違う。

「・・・・」

ミオもなんか言っている。俺に抱きついたまま…

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・」

なんか言い合っている。なんて言っているのか全然わからない。ミオが冥土さんを怒っているような…冥土さんは呆れているような…

「あのう…二人とも何を…」

ぐぅ~

お腹がなった。その音を一番近く聞いていたミオが笑った。

クスクスクス

うわぁ、はずかしい…

「ごめん///」

照れていたら…

「…………………」

冥土さんは驚いたように見ていた。そしてなぜか嬉しそうな安心したような顔をしていた。

「ベリタ!!」

俺の名を呼びどこかへと連れていく。

「あっ!!冥土さんは…」

俺は止まり冥土さんはどうするのかと聞いた。

冥土さんが掃除するなら手伝いたいし…

仕事を途中で投げ出すような真似はしたくはない。

そんな風に悩んでいた俺を感じとったのか…

「・・・・・・」

「・・」

ミオは冥土さんに何か伝えた。冥土さんは掃除道具を置き一緒に向かうことになった。

もしかして、一緒に朝ご飯を食べたりして…

そうだったらいいな。そんなことを考えながら魔王城を歩く三人だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ