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9.ユアノの目論見


 ユアノは無理がたたって、流産した。

 アーロン様の悲しみもそうだけど、顔を覆って泣いているフリをしているユアノの口角が一瞬上がったのが、気になった。


 ユアノとしては、これでアーロン様と離縁してもなんの未練も何もない。思う存分ブライアン殿下と婚約するわ!

 でしょうけど、その体型……元に戻るの?

 どこからブライアン殿下が必ず自分と婚約するという自信がやってくるの?



 私もブライアン様もユアノとアーロン様の流れてしまった子の葬儀にやってきた。

 ユアノは泣きまね(涙も出る)をしながら、何故かブライアン様の胸で泣こうとした。見え見えなのが痛ましい。両手を広げて当然のようにユアノを待ち構えていたアーロン様も痛ましい。

 ブライアン様はユアノを躱したので、私がユアノを抱える羽目に。

 重いので、アーロン様にお返しした。

 ユアノから睨まれたが、これは自業自得というのだろうか?

 

 私とブライアン様は喪主であるアーロン様にお悔やみを告げると、そのまま王城へと帰った。

「君の妹は何を考えているんだ?」

「ユアノですか?もちろん、私の婚約者である貴方を私から奪う事ですよ。子供がそのままうまれては正直邪魔ですからね。流産して喜んでるんじゃないですか?」

「不謹慎だな」

「そんな子なんですよ、あの妹は。実家では、その罪は全て私に擦り付けていましたよ」

「そんな令嬢には俺は靡かない」

「私もそう思うので、一途にユアノを想っているアーロン様が不憫で……」

「俺以外の男……」

「いやだ、嫉妬ですか?ユアノのパートナーを心配しているだけですよ?」


 *****


 婚約披露パーティーの夜、ブライアン様に単刀直入にお尋ねした。

「ブライアン様は私の事をどのように思っているのですか?単なる虫よけですか?私が復讐するために婚約してくれたんですか?同情ですか?」

「そんなことを思ってたのか、すまない。俺が悪かった。最初は確かにサマンサの言ったようなのが理由だ。―――でもなぁ」

 ブライアン様が頭をポリポリと掻きながら話してくれた。

「俺はキチンとサマンサを大切に思っている。誰よりも守りたい。ずっと一緒にいたい。離れるのが嫌だ」

 その後はごく普通に初夜を過ごした。

「俺の気持ちはわかってくれたか?」

 と言い残して、私の意識がなくなったんですけどね。

 

 朝、目が覚めて思ったことは『普通とは?』なんですけど。


 *****


 このように想いが通じた後なので、嫉妬されるのは正直に嬉しいです。


 ユアノは流産して以降、ブライアン様へのアタックが多くなりました。

 ある時は、手作りお菓子、またある時は自分が刺したという刺繍いりハンカチ。


「ブライアン様。ユアノはお菓子作りなどしたことがありません。刺繍?イニシャルが精いっぱいじゃないですか?」

 と、私は情報をブライアン様に提供していました。



流産は悲しくないのかなぁ?親として悲しみはないの?あくまでも自分本位なのかな。

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