7.パーティー当日
この手の行事はやってくるのが早い!というか、準備が目まぐるしくてあっという間に当日になる。
当日、私は予告通りに朝からロザリーに磨き上げられていた。
「ロザリー、パーティーは夜なのに朝から準備って早くない?」
「遅いくらいです!さ、しっかり湯浴みで頭皮から足の爪の間までしっかりとキレイにしましょうね!」
今回はロザリー一人だと負担が凄まじいということで、王城からも数名侍女をお借りしての大事業のように私を磨き上げていた。
気持ちがいいので、普通に寝ていた。よだれを垂らして。淑女あるまじきことだけど、よだれは仕方ないでしょ!うつ伏せで寝てたんだもん。
「サマンサ様起きてください。それでは、ドレスのお披露目です!」
うわーっと感嘆の声を上げてしまうほど美しいドレス。
「私が着てもいいのですか?」
実家でこんなのはユアノのものだったから。
「サマンサ様のためのドレスなんですよ。他に誰が着るのですか?」
生地はスベスベだから、東の方のシルクってやつよね?お高いはず。スベスベで光沢も品もある。そして、裾に銀糸。オフショルダーなのね。わかってるわよ。胸が小さいって!
ホルターネックは巨乳の人が着てこそよね?わかるんだけど……。
「アクセサリーはこちらになります」
うっ、眩しい。
乱反射の攻撃、サマンサ ノ メ ハ ダメージ ヲ ウケタ。
「ん?サファイア?」
「サマンサ様、こちらはピンクサファイアになります。希少価値の高いものですよ」
ロザリーは説明してくれるけど、なんだか畏れ多いな。これらを体中に身につけるのか。なんだか自分が歩く高級品みたいだなぁ。
数時間後、私は化粧も終え、ヘアアレンジもしてもらい、万全の状態になった。
「まぁー、サマンサ様!素敵です‼坊ちゃまが惚れ直しちゃいますよ!」
そもそも私の事ちゃんと想っていてくれていたかよくわからないんですけどね。すご~く軽く「婚約しよう」って言われただけの関係なんで私はわからない。
噂をすれば…というやつでしょうか?ブライアン殿下が部屋までエスコートにいらっしゃいました。
「サマンサ、すごいなぁ。いつも美人だけど、今日はさらに美しい!」
褒められているんだけど、本心はどこだろう?
「ロザリー、よくやった!あとで褒美を取らすぞ」
「坊ちゃま、できるなら貴方の乳兄弟をどうにかしてください」
??子供が独立してるんじゃないの?
「りょうか~い。さあ、サマンサ。パーティーへ行こうか?」
単刀直入にブライアン様にお聞きした方がいいのかな?
「あのー、ブライアン様?」
「しっ」
人差し指を口に当てて発言を遮られた。
「内緒の話は二人きりの時に後で話そうか?」
王城は至る所にどこかの家の間諜がいたりするのでみだりに会話ができないそうだ。
「それにしても…ロザリーはすごいなぁ。見事に化けたね」
元がいいとかそういう褒め言葉はないの?ヒールの踵で踏みつけるわよ?
「っ、もちろんサマンサはいつもキレイだけどさぁ」
何?その取ってつけたような褒め言葉。
サマンサ、ピカピカ。物理的に。