4.嫉妬?
~ユアノ視点
なんなの~?お姉様のくせに、王子と婚約?
私は実家と同じ侯爵家の男。それでマウントでもとったつもりなのかしら?
第2王子なんて結局なんにもしてないじゃない。王太子殿下と違って。
「おかえり、私の可愛いユアノ。サマンサの婚約者はわかったのかい?」
「あ、なんかブライアン殿下って聞きましたぁ。出会いは私達の結婚披露パーティーらしいですよ?」
「おお、これは所謂恋のキューピッドというやつをしたのかな?」
「それよりもブライアン殿下って噂だと、ハッキリ言ってクズじゃないですか?そこのところはどうなんですか?」
「私はブライアン殿下と友人と言ってもそれほど親しいわけではないんだよね。でも、噂のような人間ではないよ。うーん、噂を利用しているというか……」
「何なの!?」
「興奮すると、お腹に障るだろう?噂ではクズだが、その噂のおかげでかなりフットワークも軽く動けるからね。彼は有能だよ」
何?そうすると、お姉様の分際で有能な第2王子と婚約?
私はたかが侯爵との結婚だというのに。
「お腹の子は男の子かな?女の子かな?男の子なら、うちを継いでくれるから万々歳。女の子なら絶対ユアノそっくりの可愛い子だろうなぁ」
アーロン様は脳天気なただの侯爵で……。
それに比べてお姉様が第2王子のブライアン殿下と婚約。あり得ない。私の方が絶対に可愛いのに、ブライアン殿下の視力おかしいんじゃない?
***
今頃、お姉様のクセにとか訳の分からないことを思ってるでしょうね。
アーロン様に失礼よね、お腹に子供もいるのに。
「サマンサが第2王子と婚約?嘘でしょ?可愛いユアノならわかるけど」
家にはまだ義母がいるんだった。
「ああそうそう、王子妃教育があるから、私も家から通うんじゃなくて王宮に部屋を賜って暮らすんだった。伝えるのが遅くなってごめんなさい」
「はあ?!あんたみたいなのが王宮暮らし?おかしいんじゃない?」
そもそも、義母の頭の中もおかしいですよ。
「あ、お父様に伝えてこなくちゃ!」
そう言って、私は義母から逃げた。自室から逃げて父の書斎へと向かった。
「失礼します。明日より、王子妃教育が始まります。王子妃教育を受けるにあたって、家から通うのではなく、王宮に住み込みで受けることとなりましたので伝えました。以上です」
書斎のわりに、書物が少ないなぁ。
書類…今まで私が処理していた分も頑張って処理してくださいね。
領民の暮らしがかかっていますよ。それと―――大好きな爵位。
爵位が大好きですもんね―――私に侯爵の仕事をさせるくらい……。
これまで私が処理していた分の書類の処理をしなければならなくなったんです。
最初からお父様が処理すべきで、本来ならば私が見ることも触ることもなかったはずの書類です。
頑張って処理してください。
私は王宮で王子妃教育です。そっちもなかなか面倒そうです。
部屋で荷物をまとめているのですが、アラフシギ少ないわ。
ユアノが奪っていった成果(?)ですね。
侯爵は‘たかが’じゃないよ!とっても爵位が高いじゃない?ユアノの基準がわからない。