第1話 地球、ローンチしました
初めまして。宇宙開発省、システム管理局、システム開発課の創理造流です。
本日をもって、彼の星“地球”が本バージョンでローンチされました。
まず結論から言うと、正直、優先度低いっす。
企画課が無理やりに進めた「感情共有特化型動物アルファ」に合わせてこっちで作ってきた環境を移植しろって、本当にやめてほしかったですね。第1回ベータテストは最悪でした。
まず重力ON、空間構造及びマテリアルはデフォルトのまま。その上に光合成機能を持たせて植物群を配置。動物系はそれを見て一瞬で食べ、死亡、絶滅しました。いや、早すぎでしょってことで再実装。乱数によるバグだと思いますが、現状は問題なさそうです。
このプロジェクトは「自主的な感情実装」がコンセプトにあると聞いてます。
起点は「自己感情幻想の実験的運用確認」ってだけだったのに、どうしてこうもキモい生き物ができるのか。「感情共有特化型動物アルファ」ってそんなチープなモジュールだったっけ。
みた感じ、共同体を築くとこまではうまく実装できているんですけどね。
とりあえずログを読み込んだら、まーじでキモい挙動示してました。
一番キモいのが「愛」でした。
そもそも、誰も「愛」なんて定義してないんですよ。
簡単にまとめたら『外部制御なしに、特定個体への自発的守護性を自己幻想空間内で処理し、経済合理性とは異なる行動をとる感情』のことみたいですが、こんなの、バグの元ですよ。
しかもこの「愛」、少しのフラグで頻発してます。
一方にだけ発生したり、制御性なく思考停止に陥ったり、「本当はわたしのこと好きなんじゃないか」って思った後に、「やっぱりそんなわけないよね」って落ち込んだり、そうこうした後に「これが愛だ」って言い出す始末です。とんでもないものだと、地球に隕石落としてみたら、隕石破壊権限を付与した個体が、以降の文明存続を拒否して、別個体と隕石が落ちるまで食事して文明一個滅びました。
ただ、企画課的にはそのまま様子見とのことで、とりあえず従ってます。
当初、感情系は「互信性」という解釈形をコアに築いていたんですが、解釈形の衝突ですかね。
しかも、この関数、ランダム展開するんで、体系化できません。なぜ体系化できないかというと、不定型でラベル無し、互信性の程度もシーズンごとに変わるからです。正直言ってウイルスっすね。
もう一度言いますが、これで本ローンチです。幸先が不安で不安で。
とりあえず、より多くの方が「地球」を楽しんでいただけるように調整の方、進めさせてもらいます。
創理造流、地球開発ブログ1日目。マジでこの仕事早くやめたいです。