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7.祝福で戦い方が決まるらしい

 続いてフェルトさんが持ってきたのは弓矢。

 なるほどこれなら足を動かさなくても敵を狙える。


「弓矢は剣や鈍器よりも敵に当てるのが難しい武器です。

 なのでそれなりに練習が必要になるでしょう」

「はい」


 フェルトさんの言葉に頷いていると別のプレイヤーの人が弓矢を取り出して練習を始めていた。

 折角なのでちょっと見させてもらおうかな。


「ふんっ」

トンットンットンッ


 10メートルくらい離れた的の真ん中に3本立て続けに矢が刺さった。

 それに満足したのかその人は一つ頷いて出て行ってしまった。

 あれ、意外と簡単? ゲームだから?

 フェルトさんはそれを見て「ないない」と手を振っている。


「今の方は恐らく女神様から弓に関する祝福を頂いていたのでしょう。普通は無理です」

「あぁそういう」


 ゲーム開始時の選択で、僕は『視力』が手に入ったことで満足していたけど、『弓の扱い』だったり『百発百中』みたいなものを求めていたら今の人みたいに出来たのかもしれない。

 ちなみに見よう見まねで放った僕の矢は、10本放ってなんとか2本が的の端に当たった感じ。

 止まってる的でこれなのだから動く相手には掠りもしないだろう。

 その結果を見てフェルトさんは呆れることもなく、次の武器を差し出した。


「次はこちらのボウガンを試してみてください」


 ボウガン。

 矢を射出するっていう点は弓矢と同じだけど決定的に違う点がある。

 構え方が銃に似ていて両手でしっかりと支えながら照準器をのぞき込み引き金を引くんだ。

 そうすると矢はほぼまっすぐに飛んでいく。

 放物線を描く弓と違って狙いは簡単だ。


「当たった!」

「おめでとうございます」


 見事僕の放った矢は的のど真ん中に命中していた。

 撃つのに力も要らないし威力も十分。

 これなら何とか扱えるかもしれない。

 試しに一番遠くの30メートル離れている的に向けて放ってみる。


トスッ

「当たった。けど中心よりやや下になっちゃった」

「ですが左右にはズレていませんし、そのボウガンの射程の問題でしょう」


 まっすぐ飛ぶと言っても重力の影響は受けるらしい。

 でもこれくらいなら微調整の範囲だし、相手の目を狙えとか言われなければ十分当てることが出来るだろう。


「ボウガン良いですね」

「はい。扱いやすさという意味ではラキア様に最も適しているかと思います。

 ただ、矢の装填に時間が掛かりますので連射は出来ません。

 集団に襲われたらかなり不利になるでしょう」


 やっぱり長所だけではないか。

 距離を詰められたらダメってことなら逃げながら戦えば、と思わなくもないけど、そのためにはやっぱり走れないといけないので今後の課題だ。

 それでも遠距離からのボウガンで狙撃しつつ近付かれたらナイフで応戦するというのは僕の当面の戦い方になるだろう。

 あともう1手。ボウガンの矢を装填するには近いけどナイフは届かない中距離の相手に有効な攻撃手段があれば完璧だ。

 ってそうだ。


「フェルトさん。魔法って僕でも使えるんでしょうか」

「そう、ですね。練習すれば使えるようになるかと思います。

 ラキア様は戦闘系の祝福は受けていないようですし」

「あぁこれも女神の祝福が関係してるんですね」


 魔法使い系の祝福を貰った人は最初からその系統の魔法を使えるし、逆に剣とかで戦う祝福を貰った人は魔法が使えないらしい。

 僕はそのどちらでもないから、目立った才能は無いけど修業を積めばどちらも使える可能性はあるってことだ。

 ただし祝福を貰った人ほど上達はしないだろうからそっち方面で頭角を現す事は出来ない。

 究極幻想譚という名前の通り、一芸を極めていくことがこのゲームでの成功のカギなのだろう。

 そういう意味では僕の極めるべきは視力なんだけど、視力を鍛えたら何か良いことあるのかな?というか鍛えられるのかな?

 以前プロ野球選手は飛んでくるボールを正確に見極めるために動体視力を鍛えるトレーニングをする、なんて話を聞いたことがあるけどそれと同じような感じだろうか。別にこの世界で野球をする訳じゃないけど。

 飛んでくる矢を手で受け止める? それは達人っぽくてちょっと格好良いかもしれない。

 でもそもそも自分に向かって矢が飛んでくる状況ってなんだ?

 うーん。考えているとドツボに嵌りそうだ。

 こういう時はまず動こう。


「フェルトさん。ひとまずこれでモンスターの討伐に行ってみようと思います」

「畏まりました。決してご無理はなさらないでくださいね」


 僕はフォビットという黄色い獣型モンスター3体の討伐依頼を受けてギルドを後にした。

 聞いたモンスターの特徴からして街のすぐ外で見かけた奴だろう。

 ちなみに訓練所の武器は借りれないのでギルドの隣の武器屋で一番安いボウガンとナイフを購入してきた。

 お陰で手持ちが空だ。

 しっかり稼がないと。


「えっと目標のモンスターは……結構居るみたいだ」


 見た感じ、フォビットと思われるモンスターの他に2種類くらいのモンスターが居るようだ。

 そしてそれらを狙うプレイヤーの姿も多数。

 と言っても流石にモンスターの方が数が多いのでちゃんと周囲を確認してから動けば他の人の獲物を奪わずに済むだろう。

 僕の狙いはフォビットが単体で居て、誰も狙ってない奴。

 ……あれだな。

 ボウガンに最初の矢はセットしてあるのでそのまま構えて、撃つ!


トスッ

「よし、当たった!」


 僕の放った矢は見事モンスターの胴体に命中した。でも倒せてはいないみたいだ。

 怒った表情でこっちに走り寄ってくる。

 2射目は、無理だな。

 すぐに諦めてナイフに持ち替える。

 後は飛びかかってくるモンスターの前足を搔い潜って喉元にナイフを突き立てれば。


「倒せた。けど本気で飛びかかって来られると恐いな」


 相手も必死なのだから当然なのだけど、喧嘩も1度しかしたことが無い僕にとって敵意を向けられる事自体が身が竦む思いだ。

 これも繰り返しやっていけば慣れるんだろうか。

 他の人達は結構余裕そうにやってるしなぁ。



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