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42.仮想と現実の両立

 今日はお姉ちゃんが夏休みの帰省を終えて職場近くの部屋に戻る日。

 なので久しぶりに家族皆で外食だ。

 話題はもっぱら僕とお姉ちゃんのこと。

 と言ってもお姉ちゃんについてはいつも通りだ。


「仕事は順調か?」

「ご飯はちゃんと食べてるか?自炊出来てるか?」

「彼氏が出来たら報告しろよ」

「詐欺には注意するんだぞ」


 まあこんな感じ。

 お姉ちゃんも慣れたもので「大丈夫大丈夫」と軽く流している。

 お父さんも本気で心配してる訳ではないと思う。彼氏以外は。


「それより心配なのは晃の方でしょ」

「こいつはしっかりしてるから大丈夫だ。

 夏休みの宿題もどうせもう終わってるんだろ?」

「まぁ出来るものは」


 数学を始めとした計算が必要なものは、問題の式をスマートデバイスに読み上げて貰えば後は頭の中で計算が出来るので夏休み入って3日で終わらせた。

 国語や社会などの読み物、調べ物系もテーマを決めてネットで調べた内容を纏めておしまいだ。

 これについては中学の頃、他の人から手抜きと言われた事もあるけど、内容を1度音声で聞いてそれを精査して纏めるのだから普通より時間が掛かっている。

 真似させてみたらみんな白旗を上げていたので頭の中で情報を纏めるのはやっぱり大変らしい。

 ちなみに一番困ったのは美術。


『え、美術で宿題?』


 という疑問の声もあったけど、必須ではなく任意ということで強い反発は無かった。

 テーマは夏休み中に心に残った風景。

 もちろん僕の目にはどんな風景も見えはしない。

 だからむしろ普段世界がどう見えているかを描いてみた、んだけどやっぱりどうなったのかは僕には分からないので見た人の反応待ちだ。

 家族からは無言で頭を撫でられた。うーむ。


「高校に上がってから問題が起きてないのは聞いてるから知ってるけど、学校が始まったら今迄みたいに日中からゲーム、とはならないでしょ?

 その分夜更かしして生活リズムを崩さないように注意が必要よ」

「それゲームを持ってきてくれたお姉ちゃんが言うんだ」

「持ってきたからこそよ。

 これで晃が授業中に居眠りするようになったら私の責任なんだから」


 確かにそういう話は時々ネットニュースになっていて現代の社会問題の1つとして取り上げられている。

 一番多いのはネットゲームにドハマりしてしまって、学校にも行かず引きこもりゲーム廃人になってしまったというもの。

 でも流石に僕はそこまでハマっている訳でも無い。


「大丈夫だよ。

 確かにVRの世界は目も見えるし刺激的な物も多いけど、リアルにも大事なものが沢山あるからね」

「そっか。

 ちなみに友達とかは出来たの?」

「うん。最近一緒に遊んでる人が2人ともう1人。プレイヤー以外も含めたらもっと多いよ」


 フェルトさんとか工房のおじいさん達。

 『巌』の方々とも今度一緒にクエストしましょうって話をしてた。

 薬草園の芋虫さん達は……数に入れるべきじゃないかな。

 あれ、そう考えるとまだ両手で数えられるくらいか。

 友達100人とまでは行かなくてももうちょっと交流を増やした方が良いのかな。


「晃はさ、配信とかはしないの?」

「配信? 今のところそういう予定は無いよ」

「そっか~。いやね、配信してくれたらお姉ちゃん向こうに戻っても安心して見守れるなぁって」

「そんなに心配しなくて大丈夫だよ」


 まったく過保護な姉である。

 でも配信かぁ。するとしたら1人の時かフォニー達に許可を取ったうえでの話だな。

 ただ僕は別に喋りが上手な訳でも無いし、配信映えするような派手な戦いもしない。

 フォニーは話すこと自体がまだ特訓中だしコロンは人付き合いが苦手だから活動中は無言になることも多い。

 だから特段面白いことはないので配信しても見るのは身内か、相当変わった趣味の人だけだろう。

 まぁそれで家族が安心出来るというのなら、少しくらいは配信しても良いのかもしれない。


「一応帰ったら配信周りの設定とか見てみるよ」

「もし配信するなら一声掛けてね」

「はいはい」


 そうして食事を終えて家に帰った後、お姉ちゃんは向こうの家の事もあるからと準備して行ってしまった。

 じゃあ僕もサクッと配信について調べてみるかな。

 まずはネットで配信に必要な情報を集めていく。


「ふむ、ゲーム配信用のサイトって幾つかあるのか……」


 今まで見る機会が無かったので調べたこともの無かったけど、いわゆる大手有名所と呼べるところが2か所。それ以外にもニッチな趣味の人をターゲットにしたところも色々あるらしい。

 例えば18禁ものやBLが中心になったもの。ゲームはゲームでもカードゲームやボードゲームを取り扱うサイト。音ゲー専用サイトなんてのもあった。

 もちろん僕が配信するとしたら今やってるゲームの配信になるので、普通に大手で無料のアカウントが作れるところを選ぶことにした。

 続いて配信に際してのマナーやタブーなんかもチェックしていく。

 当然リアルの情報を配信するのはネットリテラシーの観点からNGだと分かっているけど、例えば放送禁止用語などは時代によって増えたり減ったりするから要注意だ。

 そして実際にログインして配信する手順の確認。

 配信方法も生配信するか配信データを保存しておいて後で編集してから投稿するかを選択できる。


「本当はちゃんと確認してNGな部分とかは消した方が良いんだろうけど、その時間は無いか」


 動画配信者は相当時間を掛けてるんだなと改めて尊敬してしまう。

 僕は学校もあるのでその時間がないから生配信かな。

 でも間違って変なことを配信しないように、このあたりは注意してもうっかりという事はあるので、システム的に制御出来たらいいんだけど。

 設定項目が複雑だから何かありそうなんだけど、どうしてこういうのって分かりにくいんだろう。

 これは知見のある人に聞くのが良さそうだ。


『ミッチャーさん。配信についてちょっと教えて欲しいんですけど』


 送っておいて、今ってイベント中だから忙しいかとちょっと反省。

 別に急ぐ必要は無いしイベントが終わったら改めて相談させてもらおうかな。

 と思ってたら返信が返ってきた。


『今ちょうど死に戻ったところなの。良かったら会って話せない?』


 え、ミッチャーさんが死に戻ったの?

 ミッチャーさんならイベントに参加してたのだろうから廃都に居たんだよね。

 そんな強力なモンスターが出たのか。

 例の魔神召喚が絡んでたりするのかな。

 ともかく僕としては渡りに船だったので返事をして待ち合わせ場所へと向かうのだった。



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