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17.色々と上位互換

GWに入るというのに執筆時間が全然取れない・・・


 順調にフォビットも狩れてボウガンの扱いも問題なし。

 レベルが上がったお陰か矢の装填速度も上がったので今なら数匹同時に狙われてもボウガンだけで戦えるかもしれない。


「じゃあそろそろ本命のハイフォビットを探そうかな」


 フェルトさんの話では薬草園の向こう側に多く生息しているって話だったんだけど、目に留まるのはフォビットばっかり。

 いや一回り小さい子フォビットの姿はちらほら見えるんだけど肝心のハイフォビットが居ない。

 …………あれ、僕は何か勘違いしてる?


(あ、いや。ちょっと遠いけど居た!)


 前情報通りフォビットを多数従えながらプレイヤーと思われる人を頭からぱくりとしている現場を発見。

 食べられたプレイヤーは光の粒子になって消えてしまった。

 多分死に戻りって奴だろう。

 というか待てよ。

 先日会ったハイフォビットと思われるモンスターは大型犬くらいのサイズだったはず。

 対してあれは大型犬どころかトラかライオンかってサイズだ。

 周囲にいるフォビットがむしろ大型犬くらいのサイズ……あ~ということはさっきから倒してたのがハイフォビットだった?

 ならあのおっきいのは更に上位のボスか何かか。

 うーん、見つけてしまったからには戦ってみる?

 さっきまで戦ってたパーティーの生き残りは無理だと諦めたのか逃げてしまって今はフリーだし。

 ただ。このまま馬鹿正直に戦いを挑みに行っても数の暴力でボコボコにされる未来しか見えない。

 ならば戦いやすい場所に誘き寄せるとしよう。

 僕は周囲を見渡してからボウガンを構え、ボスの方に向かって矢を放った。


トスッ


 距離的に届かないだろうなとは思ってたけど、ボスの手前10メートルくらいの所に落ちた。

 ということは、10メートル前に進んで同じように撃てば……


トンッ


 よし当たった。

 まぁ本当にコツンと当たっただけで全く刺さりもしなかったからダメージにはなっていないだろう。

 それでも挑発にはなったようで僕を見て怒ったように吠えて部下を僕の方に送り込んできた。

 僕は冷静にボスから離れるように走ってボウガンの矢を再装填出来たら振り返って撃つ。撃ったらまた走って距離を取るのを繰り返した。

 そして迎撃予定ポイントに到着した後はひたすらに撃って撃って撃ちまくる。

 うんやっぱり装填速度上がってるのは助かる。

 奴らが僕の所に辿り着くまでに半数以上は倒せたと思う。まだ8匹居るけど。

 その後ろからボスもやってきて彼我の距離は10メートルくらい?

 ちなみに僕の真後ろには薬草園が広がっている。

 これのお陰でモンスター達は僕の後ろに回り込めないのだ。

 薬草園からはくすくすと応援する声も聞こえるし格好悪いところは見せられないな。


「さて、ボウガンはここまでかな」


 前衛フォニーが居てくれたらまた違ったのだけど、居ないものは仕方ない。

 僕はボウガンを仕舞って代わりに短剣を取り出して左右それぞれに持った。

 姿勢は自然体からやや腰を落とす感じ。

 素早く駆け回ることは出来ないけど、その分踏ん張りが利いて短剣の取り回しが良くなるだろう。

 そして視線はボスから離さない。


「ガルルッ」

「ふっ」


 右手側から飛び掛かってきた1体を見ることもせず鼻先を短剣で切りつけ蹴り飛ばす。

 続いて左右からの同時攻撃。

 えっとこういう時は確か自分からどちらかに1歩踏み込んで近づいたモンスターの攻撃を受け流して反対側にぶつける。


「ギャンッ」

「きゃいん」


 おぉ、上手くいった。

 ハイフォビットはクマハチに比べてスピードこそあるもののパワーというか重量は無いので簡単に受け流すことが出来た。

 さて。部下が役に立たないのを見たらそろそろボスが直接来るかな。


「先手必勝『シールドバッシュ』」

「あ、コロン待って!」

「え?」


 ボスの前足に力が籠ってさあ来るぞと思ったら横合いから聞き覚えのある声と鉄板を持った少女が飛んできてボスの顔面に命中した。

 カァァァン!と良い音を立てながらボスは倒れて目を回している。

 それを見て取り巻き達もオロオロするばかり。

 よく分からないけどチャンス?

 僕はボウガンに持ち替えてボスに連射する。

 しかし流石ボス。それくらいじゃ倒れない。

 軽く頭を振って僕を睨みつけると今度こそ飛び掛かってくるが。


「『シールドプレス』」


 さっきの鉄板少女が今度は上から降ってきてジャンプしようとしたボスを押しつぶす。

 すると丁度僕の目の前に倒れこんできたので僕は眉間に短剣を突き立てた。


「ぎぃ」


 ボスは今度こそ断末魔の声を上げつつ消えていった。

 取り巻きのハイフォビット達も慌てて逃げ去っていく。

 残されたのは僕と鉄板少女ともう1人。


「えっと、ミッチャーさん、ですよね。やっぱり」


 最初に声がした方を見ればミッチャーさんが僕の方を見ながら手を合わせていた。


「すまないラキア君。

 ほらコロン。君もこっちに来て、あ、こら。隠れるんじゃない。ちゃんと自分で謝りなさい」


 鉄板少女はサササッとミッチャーさんの所に行くとそのままミッチャーさんの後ろに隠れてしまった。

 ミッチャーさんに怒られてそっと顔を出すも、僕と目が合うとまたさっと隠れてしまう。

 かなりの人見知りらしい。

 戦ってるときは結構勇ましかったのに。


「僕は別に怒ってないので大丈夫ですよ」

「そうかい? 済まないねぇ」


 謝る云々は多分僕が戦ってたボスに無断で途中参戦したことについてだと思う。

 人によっては横取りされたって怒るらしいけど僕は別に何が何でもあのボスを倒したかったって訳でもないし、むしろ即席で共闘出来て面白かったからこういうのも良いなって思ったくらいだ。


「あ、そうだ。お詫びになるか分からないけど、もしこの後時間あるならこの先にある隠しフィールドに一緒に行かないか?

 まあ隠しって言っても情報はもうネットで拡散されてるから誰でも知ってるんだけど」


 誰でも、ではないかなぁ。

 僕の使ってる翻訳デバイスだと具体的な質問に対する回答は読み上げてくれるんだけど、例えば漠然とこのゲームの攻略情報を調べてっていうと多分ブログだけでも数千件はあるから絶対パンクする。

 隠しフィールドがあるって知らないと調べようとも思わないだろうし。

 だからこうして色々と教えて貰えるのは正直助かる。


「僕は時間は大丈夫だし嬉しいのですが、コロンさんは大丈夫なんですか?」

「君はそういう気遣いが出来るから大丈夫さ。

 それに私以外とも話せるようになってほしいと思ってたから渡りに船だ」

「そういうことなら。

 えっと、コロンさん。よろしくお願いします」

「……ん」


 距離にして2メートルほど離れたところからゆっくり挨拶すれば、小さく返事が返ってきた。

 なるほど、これくらいなら大丈夫らしい。



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