表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/104

16.お礼参りに行こう

 フォニーと遊んだ翌日。

 僕の中では1つの目標が増えていた。

 それは友達フォニーの足手まといにならない位には強くなることだ。

 その為にはレベルを上げたり装備を良くしたりと色々やることはあるのだけど、最初に何をするかと聞かれたらあれだ。宿題。

 今日はフォニーはログインしてないみたいだし丁度いい。


「フェルトさん。教えてほしいことがあるのですけど」

「はい、なんでしょう」


 冒険者ギルドにやってきた僕はまっすぐにフェルトさんの元へ。

 あんまり頻繁に来過ぎると迷惑かなっていう気もするけど今の僕に頼れるのは彼女しかいない。

 クマハチを倒してお金も手に入ったし今度差し入れとか持ってきた方が良いかも。

 ともかく本題に入ろう。


「街の付近に現れるフォビットに似た一回り大きいモンスターの情報を教えてください」

「ハイフォビットの事ですね。分かりました」


 僕の質問したモンスターに心当たりがあるらしく、すぐに資料を出してくれた。


「ハイフォビットは見た目こそフォビットに似ていますが、その凶暴性は目が合うだけで襲い掛かってくるほどです。

 主な出現地域は街から少し離れた新人殺しの薬草園の更に奥になります。

 さらに付近のフォビットを従える能力を持っていますのでレベルが低いうちは2人以上のパーティーで戦うのがお勧めです。

 ラキア様の今のレベルであれば、油断しなければ大丈夫でしょう。油断しなければ」

「なるほど」


 なぜに「油断しなければ」って2回言ったんだろう。

 と思ってたら資料の下に注意書きが書いてあった。


『新人冒険者の負傷原因No.1』


 えっと? 漢字だらけでよく分からないけど、多分油断したら死ぬぞって書いてあるっぽい。

 実際僕も先日ミッチャーさんに助けて貰ってなければ死に戻ってた可能性が高いし。


「ちなみにハイフォビットの討伐推奨レベルはいくつなんですか?」

「戦闘職の方で5。それ以外の方は8以上とお伝えしています」

「じゃあ14の僕なら余裕?」

「そういって出て行った方の約2割が負傷して戻ってくるのが現状です」

「なるほど、油断禁物ですね」


 僕は特に運動神経ダメダメだからより注意して行くことにしよう。

 ギルドを出た僕は続いて武器屋へ。

 と思ったんだけど初日に見かけた果物の屋台が目に入ったので寄り道。


「こんにちは」

「おう、いらっしゃい」


 屋台は以前同様リンゴにミカンにイチゴ、梨、ブドウと季節感がまるでないラインナップとなっていた。

 リンゴを買うのは確定として、あとは全種類買って行こうか。

 幸いまだ資金には余裕があるし。


「じゃあこれとこれとこれとこれ。それぞれ20個ずつください」

「まいど!しっかしそんなに買ってどうするんだ?」

「陣中見舞いのお土産にするつもりです」

「そういう事なら『フルーツ盛り合わせ』って手もあるぜ」

「良いですねそれ」


 草で編んだ籠に各種フルーツが載せられていて若干割引もしてくれるらしい。

 今回果物を買った理由ともマッチしてるし丁度いい。

 僕は代金を支払い買ったものは全部アイテムボックスに仕舞った。

 リアルと違って手に持って帰る必要が無いのは便利だよね。

 そして陣中見舞いって言うのがどこのことを指しているかと言えば当然あそこだ。


「こんにちは~」

(くすくすくす)


 街から少し離れたところに点在する薬草の群生地。

 通称『新人殺しの薬草園』。

 声を掛ければいつも通りくすくすと笑い声のような音を発して現れる芋虫たち。

 彼らには今まで2回も助けられているからね。こうしてお礼参りに来た訳だ。


「これ、よかったらみんなで食べて」

((!!!))


 僕の取りだしたフルーツ盛り合わせを見て色めき立つ彼らはしかし、すぐに飛びついたりせずこっちを見て首をかしげている。

 どうやら「本当に貰っていいの?」と窺っているらしい。犬なら必死に『待て』をしている状態かな。


「ちゃんとみんなで分け合って食べてね。僕は他の所にも回ってくるから」

(くすくすくすくす)


 芋虫さん達の大合唱を聞きつつ僕は次の場所へ。

 薬草園は1、200メートル間隔でぽつぽつと存在していて、残念ながら前回までお世話になった薬草園がどれかは見分けがつかない。

 なので見つけたところから順番にフルーツを配っていくことにした。

 すると20セットなんてあっという間だ。すべての個所に配るのは無理なので行き渡らなかった所には諦めて貰おう。

 まあ元々僕の差し入れが無くても普通に生活出来ている筈だし大丈夫だろう。


「って、何か忘れているような……あっ」


 そういえば結局武器屋に寄ってない。

 手持ちの武器は初心者用のボウガンと短剣が2本あるだけ。

 今から街に戻って買いに行く? のはちょっと手間だなぁ。

 ならこのまま戦ってみるか。


『油断しないでくださいね』


 フェルトさんの言葉が頭をよぎったけど、武器が弱い分、慎重に戦えばきっと大丈夫。だと思いたい。

 ダメだったら、大人しくフェルトさんに怒られてこよう。

 いやいや、やる前から弱気になってちゃダメだ。


「気合を入れて、まずは昨日の戦闘の感覚を取り戻すために適当なフォビットを……あいつだな」


 アイテムボックスからボウガンを取り出して見つけたフォビットを狙って慎重に、撃つ!


「ぴぎゃっ」

「まぁ1発じゃ倒せないか」


 僕の放った矢はフォビットの横腹に命中したものの倒すには至らなかった。

 まあ初心者用のボウガンだしね。レベルが上がっても威力はそこまで変化しないのだろう。

 などと考えつつも手は流れるように次弾を装填していた。

 こっちは前よりスムーズに出来ているのでレベルアップを実感できる。


「よっ」

トスッ


 2射目はこっちに向かってきていたフォビットの眉間に当たり無事に討伐完了。

 よしよし。初日に比べればかなり冷静に戦えてる。

 クマハチに比べたらフォビットはそれ程脅威じゃないしね。



すみません、この先更新頻度が少し遅れそうです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ