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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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155/177

155.時間切れだと手を止めた人達

<○○視点>


 花火による砲撃から始まった新年祭の女神とのバトルイベントはモンスターも交えての大乱闘へと発展していた。

 ただ幸いだったのは、プレイヤーの敵味方がはっきりしていたことか。


【女神陣営、反女神陣営どちらの立場で参加するか選んでください。

 なお途中で女神陣営に乗り換えることは可能ですが、逆は出来ません】


 観客席から出た所でこんな選択肢が出て来た。

 そして選ばなかった方の陣営のプレイヤーの首には赤いスカーフが表示され、自陣営のプレイヤーにはダメージが入らないようになっていた。

 途中で乗り換えた場合は乗り換え後10秒間は攻撃が出来ない状態になるらしい。

 これが無ければ隣にいるプレイヤーがいつ自分を裏切るかを常に警戒しなければならなかっただろう。

 ちなみに最初はほぼ全員が反女神陣営になっていた。


「お、なんか飛んできたぞ」

「雪像だ」

「運営から『雪像壊れても良いですか?』って問い合わせ来てたのはこれだったんだな」


 女神への最初のアタックが終わった後に投入されてきた雪像部隊。

 その中の1体が自分達作であることに気付いた。

 だけどそんなことお構いなしに思いっきり殴り飛ばす。

 雪像なんてものは春になれば自然と溶けて消える限定品だ。

 まぁそれ以前にそこまで雪像に愛着を持っていなかったというのもある。


「所詮は雪像。弱点は明白だ」

「ああ。しかも出来の悪い雪像はやっぱり動きも鈍い」

「見ろ。溶けた雪像が凍ってアイスゴーレムに変化したぞ」

「そんな楽はさせてくれないか」


 長期戦を覚悟したところで今度は東側からモンスターが乱入してきて一気に混戦状態に突入した。

 更にこの辺りから女神陣営に乗り換えるプレイヤーも増えていく。

 女神からの後押しがあったのも大きい。

 ただその女神が『モンスターを倒した数で』と言ったお陰でプレイヤーどうしで争うことはほぼ無かった。

 むしろ女神陣営のプレイヤーがモンスターを相手にして、それ以外は女神の雪像を攻撃するという役割分担が出来て良かったくらいだ。


「でも戦力が分散した所為で倒しきれなくなってきたな」

「このままだと物量で押されるぞ」


 そう危惧していた所で援軍が来た。

 いや魔神を援軍と呼んでいいのかは怪しいが女神の敵であることは確実だ。

 その証拠に魔神はプレイヤーにバフを掛けてくれたり女神に敵対する雪像を用意してくれたりと実に手厚いサポートをくれた。

 しかし女神も黙ってはいない。

 今度はモンスターだけじゃなく魔神も倒せば褒美の増額を仄めかしてきた。

 俄然やる気を増す一部のプレイヤー。

 ただ。

 冷静なプレイヤーは考えた。


『このイベントで魔神を倒せると思うか? 俺は無理だと思うんだが』

『女神は報酬だけちらつかせて俺達を動かそうとしてるのか』

『俺達はニンジンに釣られる馬じゃねえぞ』

『バフが付いたとはいえ女神に手が届くこともない、か』

「やめだやめ」

「大分暴れられたしな。ちょっと休憩しよう」


 結果、彼らは注意深く武器を収めながら観客席に戻っていった。

 そして携帯食で一息入れながらステージを眺めるとあることに気付いた。

 ステージ上に残っているプレイヤーはほとんど従魔法具持ちなのだ。


「元気だねぇ」

「まぁあいつらは元々成果主義っていうか報酬に貪欲だから」

「ところでお前、従魔は? 今日は一緒に戦ってなかったみたいだけど」

「ボス戦は死ぬ確率高いからアジトでお留守番だ」

「分かる。プレイヤーと同じで死に戻ってくれるのは分かってるけど、うちの子がやられる姿は見たくない。

 ただ一緒に死線を潜り抜けた方が成長は早いらしいんだよなぁ」

「悩ましい話だ」


 ちなみに従魔持ちで今日従魔を連れてるのは全体の4割ほど。半数に満たない。

 理由は死なせたくないからと言うのもあれば、戦闘向きの従魔じゃないからという人も居る。

 生産や移動の補助がメインの従魔もいるので戦闘中はむしろ隠れていてくれた方が良い場合もあるのだ。

 その点、従魔法具は基本的な役割が戦力アップだし壊れることはあっても死ぬことはないので気にせず運用できる。

 稼げる時はギリギリまで稼ぐのが彼らのスタイルだ。

 そうして観戦していると事態は次のフェーズへと移行した。


「あ、タイムアップか」

「そうみたいだな」


 誰かが呟いた言葉に、近くの人が頷いた。

 タイムアップ。時間切れ。

 今回の新年祭はこの世界の女神に挑戦するという、最初から勝ち目のないイベントだった。

 だから特に表示はされてなかったけど、最初から制限時間が設けられていて、それが過ぎれば終わりを迎えるのだろうと薄々気付いていた。

 落雷と共に現れたドラゴンはこのイベントの幕引きにはもってこいだろう。

 神話の時代から神に牙を立てるのはドラゴンと相場が決まっているし。

 そして始まった女神とドラゴンの頂上決戦は、観る者全員を手出し無用の『イベントムービーのようなもの』だと納得させた。

 出て来た感想は『すごいなぁ』とか『格好良いなぁ』とか『綺麗だなぁ』である。

 間違っても『自分も参加したい』なんて発想は出てこない。

 誰が自分たちの必殺技がバンバン飛び交う戦場に行こうと思うのか。

 参加するどころか近づいただけでやられそうだ。

 地上の観客席でさえ流星のように流れ弾が降って来て危険だというのに。

 だから誰かが飛びだしていったのを見て目を疑った。


「どこの馬鹿だ」

「魔神じゃないのか?」

「いや魔神は2人とも東側の観客席に残ってるぞ」

「にしても凄い加速だったな。風魔法か?」


 大勢の観客が見守る中、その飛び出していった誰かは、しなる枝のように軌道を変えつつも女神に接近していく。


「すげぇな。ギリギリ直撃しないように避けてるぞ」

「っておい。あいつが避けたのがこっちに落ちてきてるじゃないか」

「くそっここまで来て死んでたまるか!」


 降り注ぐ魔法を協力して防ぎ切ったプレイヤー達が目にしたのは飛び出していった誰かとドラゴンが女神を挟み撃ちにした瞬間だった。

 そしてそれは同時にその誰かが女神と衝突して返り討ちにされた瞬間でもあった。

 女神の発言から無駄死にでは無かったっぽいけど、あの上空から投げ出されたら落下死は免れないだろう。

 魔神たちも落下する奴らを見て楽しそうに指差してるし。



なんとか1月を乗り切りました。

(2月が余裕という意味ではない)

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