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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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153/178

153.敵はどっちだ

 さてはて、ステージ上は三つ巴の大乱戦になってきた。

 女神の操る雪像 VS プレイヤー VS モンスター

 プレイヤーの狙いもモンスターの狙いも女神なんだけど、敵の敵は味方って訳ではないのでプレイヤーとモンスターの間でも当然衝突が発生している。

 その中でも一番優勢なのはやっぱり女神かな。

 戦闘は雪像に任せて自分はバリアの中から高みの見物って感じだ。

 時折女神を狙って魔法が飛んでいくけどバリアを突破できる気はしない。


「プレイヤーのみんなってどこまで女神の目的を知ってるんだろう」

「掲示板を見る限り、半信半疑って感じです。

 ダンジョン奥の遺跡や冬イベントの情報から女神が善悪で言えば悪寄りだという声が多めでした」

「昔の大戦も、勇者VS魔王じゃなく、勇者VS女神だったんじゃないかって聞いたわよ」

「あ、そうなの?」

「ええ。ただ勇者全員が女神と敵対したんじゃなく、一部は女神陣営に付いたり中立の立場を取ってたって話よ」


 そうだったのか。

 言われてみれば過去の大戦の話で魔王とか災害級モンスターとかは出てこなかった。

 それと一般に知られている勇者が教会の文献には残ってなかったりもしてた。

 あれは女神に味方した勇者だけが教会に記録された結果だったのか。

 そして今も女神の側に立ってモンスターを撃退するプレイヤーの姿があった。


「さぁあなた達。今ここで倒したモンスターの数によって後日褒美を上げましょう」

「おぉマジか!」

「よっしゃあ」


 女神の口車に簡単に乗ってるけど、後ろでほくそ笑んでる女神には気付かないんだろうか。

 もしくは気付いてても自分に利益があるなら気にしないって事なのかもしれない。

 そういう考えを否定する気は無いし、ゲームなのだから楽しい事最優先でも良いだろう。

 ただこのままいくと女神の一人勝ちになってしまうな。

 などという僕の心配が通じた訳ではないと思うけど、ここで強力な助っ人が登場した。


「おぉ、盛り上がってるね」

「まったく、うるさくて寝られやしないわ」


 まるで世間話をしながら東側の観客席の上に現れたのは見覚えのある少年とパジャマ姿の女性。

 女神もふたりにすぐに気付き眉間にしわを寄せた。


「お前たちは『永眠』と『悪食』。

 目覚めているという報告は受けていましたが、その様子だと全盛期には程遠いようね」

「その呼び名どうにかならないのかしら。風評被害も良い所だわ」

「全くだよ。それの所為で何でもいいから食べ物を与えておけばいいんだって思われたんだからね!」


 お互いに顔見知りらしい。

 彼らがどういう関係か。それは北側の観客席に座っている人たちが教えてくれた。


「あれはまさか魔神か!

 過去の大戦の時に女神に封印された恨みを晴らしに来たのか!?」


 もしかしてとは思ってたけど、あの少年が2人目の魔神だったらしい。

 それじゃあ廃都の魔神があのパジャマの女性なのか。

 なんでパジャマ? そういうデザインなだけだろうか。

 あ、少年が僕に気付いて手を振ってくれた。

 どうやら心を闇に侵されて魔神になったって訳じゃないようだ。よかった。

 少年は女神に向き直って腰に手を当てて堂々と宣言した。


「僕は最近美味しいものに目覚めたからね!

 今後は『美食の魔神』を名乗ることにするよ」

「私が求めているのは元々『安眠』なのよ。

 それがどうして死と復活を司る『永眠の魔神』なんて呼ばれるようになったのかしら。

 その所為で死者復活の儀式に呼ばれたりホント迷惑」


 美食と安眠。

 それだけ聞くと魔神って感じは全然しないな。

 だから敢えて悪印象を受けるような名前に変えられてしまったのかも。

 当人たちにとってはいい迷惑みたいだ。

 ただ、呼び名がどうであれ彼らの実力は本物だった。


「さてと。異界から来てる皆には僕が強化魔法を掛けてあげる。

 これで女神の操る雪像ぐらいは勝てるようになるよ」

「あれ『人形遣い(マリオネット)』の祝福よね。

 全くあんなつまらない事に使うなんてあの子が見たらなんて言うかしら。

 それなら私は残ってる雪像に魂を吹き込んで加勢させようかしら」


 少年の魔法が闘技場全体を包み込み『全ステータス3割増』の効果が付いた。

 更に会場の外から勇者の雪像が何体も飛んできて女神の雪像を攻撃し始めた。

 これらのお陰で戦況は大分持ち直してきた。

 女神も壊れた雪像を組みなおして氷のゴーレムを生み出して戦力を増強してるのでまだここからが勝負って感じだ。

 ちなみに魔神の2人は直接戦闘には加わる気はないみたい。

 僕らと同じく少し離れた観客席から皆の戦いを見物してる。

 あ、『安眠』のお姉さんはごろんと寝転んでるのでもしかしたら寝てるかもしれない。

 その余裕な姿を見て女神は次の手を講じて来た。


「あなた達。そろそろ遊びは終わりよ。

 魔神が姿を見せた以上、最優先事項は彼らの討伐でしょう?

 彼らを討伐出来ればあなた達の祝福は1段階上に進化するかもしれないわね」

「「!!」」


 女神の言葉に多くのプレイヤーが手を止めて魔神に振り返った。

 そっか。彼らは別に女神憎しで戦ってたのではなく、お祭り騒ぎに乗っていただけだ。

 女神に自分の祝福をアピール出来たら良い事あるかもというのはただの噂で、対して魔神を討伐出来たら格別の報酬が手に入るというのはゲームのお約束だ。

 なら女神じゃなく魔神を狙おうと考えるのは当然の事だ。

 アピールだけなら魔神と戦う姿でも良い訳だし。

 そうして気が付けば『女神の雪像+プレイヤー』 VS 『モンスター+ 勇者の雪像』という構図になっていた。

 ちなみに少年の掛けた強化はそのままなので若干自分の首を絞めた状態になっている。


「いやはや参ったわね」

「あ、お疲れ様です、ミッチャーさん」


 先ほどまで女神相手に戦っていた【電光石火】のメンバーが観客席に戻って来ていた。

 周りを見れば他にもこの裏切りとまでは行かないけど、鞍替えに納得できない人たちが今のうちに休憩だと休んでいた。

 あ。秋の武闘大会で勝ち上がってた人は大体戻って来てるみたい。

 お陰でステージ上の戦力はがた落ち。泥仕合の様相を呈している。


「ちなみに女神が操ってる雪像の中に勇者の像もあるけど、あれは過去の大戦で女神側に付いた勇者の像ね」

「じゃあ魔神が操ってるのが女神と敵対した勇者の雪像なのか」


 そうすると冬イベントの雪像作りがこの新年祭の前哨戦になっていたのかもしれない。

 来年の冬イベントはどっちサイドの雪像を作るかで激しいバトルが繰り広げられそうだ。

 あと同じ雪像でも、その出来によって動きに差があるように見える。

 やっぱりしっかり作りこんでる像は動きが良い。


「このまま終わりって事は無いと思うから、最後に派手なのが来るわよ」


 とはミッチャーさんの言。

 僕もその意見には同意だ。

 そして。


「あ、来ましたよ。派手なのが」


 遠くの空に見覚えのあるシルエットがこっちに近付いてるのを確認した。



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