表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/177

137.クリスマス人形を配ろう

 コロンからの材料提供もあったお陰で、クリスマスプレゼント用の人形を作る用意が出来た。

 なので今日は人形を作りつつ今日までお世話になった人達へプレゼントしていこうと思う。

 人形を作るにあたって一番の心配は僕のセンスだと思っていたのだけど。


「ゲーム的にアシストが入るのか。これは便利だ」


 渡す相手をイメージすると大量にある材料の一覧からそれに合うものが光って表示されていた。

 それに従って選び組み合わせていく。

 頭、上半身、下半身、髪、服、靴、手持ちアイテム。

 ほかに翼や尻尾、角などもある。

 顔の形とかどうするんだろうと思ってたら、体のパーツを全部くっつけた所でイメージしてた人の顔に変化した。

 更に頭に触れることで表情なども調整できるらしい。

 これなら同じ人でも笑ってる姿、怒ってる姿、戦ってる姿、寝ている姿などバリエーションが作れそうだ。

 まぁ流石にそこまでこだわる気は無いけど。


「よし、まずはこんなものかな」


 無事に出来上がった人形たちを持って僕は最初の町へと移動した。

 そして最初に向かう場所はあそこだ。


「こんにちは~」

「おう、久しぶりだな。

 聞いたぜ。最近は王都の方で大活躍したんだってな!」

「いやいや、大したことはしてないですよ」


 軽快な笑顔と共に僕を迎えてくれたのは果物屋のおじさん。

 やっぱりこの世界に来て最初にお世話になった人だから。

 この人が居なかったら冒険者ギルドに行くことも出来ず、路頭に迷っていたかもしれない。

 

「いつもどおり果物の盛合せをください」

「まいど!」

「あとこれ。クリスマスプレゼントです」


 取り出した人形はおじさんが果物の籠を持って決めポーズした姿。

 それを見たおじさんも顔をほころばせている。


「おぉクリスマス人形か。ありがとよ。

 いやぁ久しぶりに貰ったな」

「以前はどなたから?」

「俺の娘だ。独り立ちする前に『いつまでも元気でね』って置いてってくれたんだ。

 お陰様で今日まで怪我も病気も一切なしだ。はっはっは」


 そう言って笑う姿は誇らしげで自慢の娘さんなんだろうなって思った。

 よし、長居しても良くないし次に行こう。

 次の行き先はもちろん冒険者ギルドだ。


「こんにちは、フェルトさん」

「いらっしゃいませ、ラキア様。今日はどういったご用件ですか?」

「これを渡そうと思って」


 フェルトさんにはギルドの制服に身を包んで優しく微笑んでる姿の人形をプレゼントした。


「まぁこれは。ありがとうございます」


 笑顔で受け取るフェルトさんの後ろの棚にはずらっと受付嬢のクリスマス人形が並んでいた。

 もちろんフェルトさんのものもあれば別の受付嬢のものもある。


「フェルトさんなら他の人からも沢山貰ってそうですね」

「有難いことに。でも今まで貰った中でラキア様のものが一番ご利益がありそうです」


 そう言いながらフェルトさんは人形を腰に下げたポーチに仕舞った。

 どうやら他の人形とは別に保管してくれるらしい。

 ただちょっと気になったのだけど。


「ご利益って、もしかして願掛け以上の効果があったりするんですか?」

「あら、ラキア様は知らずに渡してたのですね。

 このクリスマス人形は持っていると自分に降りかかる病気やケガを肩代わりしてくれるんですよ」

「そうだったのか」


 それで果物屋のおじさんも無病息災だって言ってたのか。

 改めてクリスマス人形の仕様を確認するとちゃんと書いてあった。


【クリスマス人形(フェルト)。製作者:ラキア。

クリスマスに想い人の幸せを願い感謝を込めて作られた人形。

所持者の病気、怪我、呪いなど、あらゆる負の作用を一部肩代わりしてくれる。

肩代わり出来る量には限界があり、限界を超えると自壊する。

限界値は人形に込められた想いに比例する。

その為、自分を模した人形や知らない人の人形は効果を発揮しない。

また同じ人から複数渡されても効果を発揮するのは最初の1つだけになる】


 ……え、これってかなり強力なアイテムなのでは?

 例えば大きなチームならメンバーと人形を交換し合えば複数手に入るだろうし、人気配信者もファンの人から大量に貢いでもらえるだろう。

 しかもアイドルのファンってその熱量は僕では理解できない物らしいし、相当強力なものが出来上がりそうだ。


「さて、では私からもこちらをどうぞ」

「わ、ありがとうございます」


 フェルトさんもちゃっかり僕の姿のクリスマス人形を用意してくれていた。

 しかもこれ、僕が初めてギルドにやって来た時の格好だ。

 完全に普段着って感じで冒険者には全然見えない。

 喜んで受け取りつつ、同時にちょっと悩ましい問題が発生してしまった。


「この人形って僕がダメージ受けるとその内壊れてしまうんですよね?

 出来ればずっと保管しておきたいんですけど」

「そう言っていただけて嬉しいです。

 そしてそう考える方は他にもいらっしゃいまして、なのでこういうものもあります」


 フェルトさんが取り出したのはピンポン玉サイズのボール。


【クリスマス人形の身代わりボール。

クリスマス人形の自壊を肩代わりするボール。単体では意味がない。

これにより自壊を回避した人形はその効果を失う】


 まさに僕が求めていたアイテムだ。

 それを受け取りつつ、これのお返しが必要だなとアイテムボックスからマッチ箱を取り出した。


「フェルトさんってマッチを使う機会ってありますか?

 いつもお世話になってるお礼にこれもおひとつどうぞ」

「マッチですか。普段あまり使う機会はありませんが……って。ラキア様。

 これはもしや『灯の勇者』様のマッチではありませんか?」

「え、そうなの?」


 ごめんなさい、全然知らないです。

 先日ケーキ屋さんで凄い効果が付与されてるっていうことは聞いてたし、冬イベントで手に入れたアイテムだから勇者が関係してる可能性はあるのかな、とは思ってたけど。


「その勇者様ってどういう人だったんですか?」

「私も過去の伝承で知っているだけですが、見た目は大柄な老人で、その方の熾す火は見るものを癒し、温め、勇気を与えたと言われています。

 過去の大戦では氷漬けにされた仲間を救い出すのに大きく貢献したそうです」

「この小さなマッチの火が。それは凄いですね」


 もちろん勇者本人ならマッチどころじゃなく篝火とかキャンプファイヤーみたいな大火だったのかもしれないけど。

 しかし勇者の力が籠められたマッチがたったの10ジェニーって安すぎだろう。

 あのマッチ売りの少女が『旦那様』って呼んでたのがその勇者なのかな。


「ちなみにまだマッチ箱の在庫があるんですが、ギルドにお売りしましょうか?」

「良いんですか!」


 おおう、凄い食いつかれた。

 それだけ希少だって事なんだろうな。

 その後、ギルドで買い取るならギルドマスターに話を通す必要があるからと、今日は見本に10箱だけ預けて後日改めて来ることになった。

 この調子ならマッチ100箱も完売できそうだな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ