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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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126/128

126.対処法の確立

すみません、投稿できてませんでした

 ただいま絶賛モンスターに包囲され中なのだけど。

 なにがキツイって攻撃がなかなか当たらないのがキツイ。


スカッスカッスカッ


 ここだと思ったところに短剣を振り下ろしてもそこにモンスターは居ない。

 10回中8回はミスしてる感じ。残り2回も急所にヒットすることは滅多にない。

 それでもやられていないのは受けに徹する分には全然余裕だからだ。

 敵の動きが遅い訳ではないと思うんだけど、構えた短剣に敵の攻撃が当たるまで若干の猶予がある。

 ギリギリの戦いならその猶予が致命的な隙になるかもしれないけど、今は大丈夫。

 あと、後の先っていうのかな。

 敵の攻撃を左の短剣で受け止めた後に右の短剣で攻撃する分には当たる。

 これは相手の動きが止まってるので当たって当然というか、むしろこれが当たらないと困る。

 でもやっぱり遠距離武器に必須の、相手の動きを予測して先の先を取る攻撃が当たらない。

 これではボウガンはまだまだ当たらなそうだ。

 僕は結構な時間を掛けつつも何とかモンスターを撃退して一息ついた。

 鉱山の町の北側は大小さまざまな山が連なっている地形で、今いる場所も標高は高め。

 周囲にある草花もいわゆる高山植物と呼ばれるものだろう。


(次の町に着くまでに何とかなるかなぁ)


 ずっとこの調子だとフォニー達と一緒に活動する時に足を引っ張ってしまいそうだ。

 ふたりとも優しいから全然気にしないでって言ってくれそうな気もするけど、それに甘えたくはない。


(何か改善につながる糸口を掴めれば良いんだけど)


 幸いにして僕のその願いに応えてくれる人が居た。

 それは僕が町を出てから再開している配信を観てくれてる人達だ。


『ラキアさんは何故わざと(・・・)攻撃を外してたんだろう』

「え?」


 書き込まれたコメントを見て僕は首を傾げた。

 僕はちゃんと真面目に戦ってたつもりなのに、カメラ越しに見たらそう見えたらしい。

 いや、確かに普通に考えたら近接攻撃をぽんぽん外す姿はわざとやってると思われても仕方ないか。

 ちなみに現在の視聴者数は300人程。

 一時期1000人を超えてた時から大分落ち着いてくれた。それでも多いと思うけど。


「えっとすみません。

 実は全然わざと外してる訳じゃないんです」

『そうなの?』

『モンスターの目の前に剣を振り下ろしてたし、牽制入れて動きを止めた所に本命を差し込むのかと思ったら、それも無くて何がしたかったの状態』

『まぁさっきのモンスターはその牽制に一切反応してなかったけど』

『……チェンジアップで空振りさせられたバッターみたいだった』

『『それだ!!』』


 ある人の書き込みに他の人が一斉に反応した。

 チェンジアップ?野球用語?

 僕はスポーツ観戦はしない、というか出来ないのでピンと来なかったけど、要は僕が来ると期待した速度と実際のモンスターの速度に乖離があったんじゃないかって事らしい。

 よし、それを前提に次は戦ってみよう。

 そして次に現れたのは蜂型モンスターだ。

 あ、蜂型といっても以前廃都の近くの薬草園で出会った蜜蜂たちとは違ってスズメバチ系の肉食の蜂だ。


「まずは距離のあるうちにボウガンで」

シュッ……スカッ。


 蟻の時と同じ感覚で撃ってみたら外れた。

 じゃあさっきの話を踏まえて……こうかな。


シュッ……くぃっ、グサッ。

「おぉ当たった!」


 放ったボウガンの矢が狙った位置に到着した瞬間にその向きを40度変えて元々モンスターが居た位置に向かったところで刺さった。

 完全に物理法則を無視したような軌道だけど、これはフランの糸で強化されたボウガンだからこその芸当。

 フランはお休み中でも強化してもらった武器はその機能が残っててよかった。

 結局フランの力に頼ってるんじゃないかって言われそうだけど、これくらいは許してほしい。

 それに変則的な軌道を描いた分、威力は落ちてるっぽい。

 それでも遠距離でビシバシ攻撃されると分かればモンスターも近接戦を挑んでくる。


「じゃあ短剣に持ち替えて。

 振り下ろし。からの、切り上げ!」

スカッ、シャッ!


 こちらもやっぱりと言うか、最初の振り下ろしはモンスターに掠りもしない。

 だけどそこから一歩踏み込んでモンスターの居た位置に向けてV字に切り返せば見事に当たった。

 そしてトトさんの短剣なら蜂のモンスターなら急所じゃなくても真っ二つだ。


(やっぱりこの切れ味は凄い)


 切れてるというか刃先に触れた所が溶けて消えてるようにも見える。

 まぁ結果として切れてるので細かい所は気にしなくていっか。

 それより大事なことはちゃんと攻撃が当たるようになったって事だ。


「皆さんのご指摘の通りだったみたいです。

 お陰様で無事に戦えるようになりました。ありがとうございます」

『いや、うん。まぁおめでとう?』


 あれ、お礼を言ったらどこか微妙な反応なのはなぜ?


「えっと、何かありました?」

『何かというか、色々?』

『謎の軌道を描いた矢は何だったのかなとか』

『ナイス燕返しと褒めれば良いのか』

『その短剣は何で出来てるのかな、とか』

『それより後ろ後ろ。って、どうして振り向きもせずに後ろのモンスターを仕留めれるの?』


 おっと本当に色々あったらしい。

 ひとまず残りのモンスターを倒してから出来る範囲で回答しておこう。


「えっと、矢の軌道についてはこのボウガンの特殊機能のお陰です。

 燕返しっていうのは、あぁV字に切る動作をそう呼ぶんですね。

 で、この短剣ですが、とあるダンジョンで手に入れました。

 まぁ最近行ったダンジョンは1か所だけですけど。

 配信できないエリアでしたし、詳細については秘密ということで。

 あとは背後のモンスターについては、回り込む動作は視えていたので難しくは無いですよ」

『いやいやいや』

『特殊機能付きの武器ってだけで激レアなんだが』

『これはまたパンドラの箱に触ってしまった感があるな』

『うむ。触らぬ神に祟りなし』

『ささ、ラキアさんは俺らの事は気にせず先に進んでください』

「そうですか?じゃあ」


 お言葉に甘えて先に進むことにしたけど。

 そんな腫れ物に触れるように扱われてもなぁ。

 僕なんてトッププレイヤーの人達に比べたら戦い方も地味だし大したことないと思うんだけど。

 ともかくそこからの道中は特に苦戦するモンスターも出てこず無事に次の町に到着することが出来た。

 やっぱり攻撃が当たるって素晴らしい。



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