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幕間: 通信①

【コピノ式魔導通信装置】


 中央大博物館東ウイングの第三室には朽ちた太古の魔導具がある。

 これはコピノ式と呼ばれる魔導通信機のなれのはてだと言われている。

 この通信機を使えば、大陸の端と端とで通話が出来たと伝えられている。

 だが、今は魔法陣も朽ち、通話器は崩れ、何も語ろうとはしない。

 今でもどこかの遺跡には稼働するコピノ式通信機があり、通話に使われているとも言われるが、誰も見た事は無いそうだ。

(メルリガン中央大博物館収蔵品目録より)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ピーピーピー。


(おやおや、これは珍しい、何百年ぶりになりましょうか)

(不味いことになったわ)

(ほう、一体何でしょうか)

(アセット魔法の仕組みに気が付いた人間が現れたわ)


 沈黙。


(おやおやおや、それは聞き捨てなりませんね。アセット魔法のソースは完全に亜空間に封印されていますのに、どのようなきっかけですか)

(言い間違いバグで威力制限無しで【着火】が発動したのよ)

(……)

(不味いことに恐ろしく知能が高い人間だったの、アセット魔法が威力を絞っているって気が付いたみたいだわ)

(それは困りましたね、さっそく暗殺者を送りますか?)

(まだ早いわ、でも迷宮の奥のアクセスタブレットを手に入れられると不味いわね)

(そやつは今、迷宮都市に来ているのですか?)

(そう、最近流行りの小さい魔法を開発したマレンツという男よ)

(ああ、なるほど、アセット魔法に疑問を抱き、小さい魔法の組み合わせで効果を発動させる……。あれを作った男ですか、油断はなりませんね)

(そいつの【着火】を見たわ)

(どれほど出力が戻っていましたか)

(ほぼ百%で真っ青な火炎が上がっていたわよ)

(……言い間違いバグを再現できるのですか)

(そうよ、もうあれは【着火】ではないわ。【地獄炎柱】インフェルノファイヤーピラーね)

(八階層に匹敵すると)

(発動魔力は【着火】そのまま、制御魔法も視界照準、威力だけ百%よ。この魔法だけで古竜が落とせるわ)

(アセットの(くびき)が外れると不味いことになりますね)

(そうね、一応軍を動かす用意をして、最悪の場合迷宮都市を滅ぼしてでも殺すわ)

(了解いたしました、しかし……)

(ああ、バックドア転移陣?)

(はい、先にアクセスタブレットを手に入れ【着火】のソースを書き換えてしまえば……)

(ねえ、魔導インクって三千年持たないのよ)

(ああ、陣が破損しておりましたか)

(なので、私でもアクセスタブレットを手に入れたいなら真正面から迷宮を攻略しないといけないの、そんな事は不可能だわ)

(迷宮開発陣が良く無いハッスルをしてしまい、最下階は大変な事になっておりましたですからねえ)

(あの頃の勇者でも絶対に届かないように頑張りすぎたわ)

(あの時代の事を考えれば仕方の無い事でございましょう)

(はあ……。ひさびさの通信がこんな事でごめんなさいね)

(いえ、いいのですよ、私はあなたの忠実な(しもべ)なのですから)

(頼りにしているわ)

(それでは失礼いたします、魔王さま)


 ブツン。

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