表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

我が家の日曜日

作者: 天野 珊瑚

今日は日曜日。

朝はゆっくり寝坊して、日が昇りだした頃に目が覚める。


「むーむー」

目をこすりながら、布団でゴソゴソしてたら彼が起こしに来る。


「おはよーもうお昼だよー」

「むー……」

なかなか起き上がれずにいると、

「パン食べるー?」

いつものパンを餌にして、起こそう作戦。


「んー……」

「もう焼いたから起きて食べるんだよ」

「……むー」

食パンは2分で焼きあがってしまう。


仕方なく布団から出て、ペタペタとリビングへ向かう。

「おはよー起きたー?」

「うん」

彼はリビングで音を小さくしてゲームをしていた。

わたしが起きないように気を使っているんだ。


チンッ。

あ……パン、もう焼けた。

「むー……」

ペタペタ……バター……ジャム……


頭がぼうっとして思考回路がまだ鈍い。

「今日はどこに行くー?」

「むー……山とか」

「山?映画はー?」

「映画……むー」


ペタペタ……完成したパンを持って、テーブルへ移動。

「僕、見たい映画があるんだけど、山がいい?」

目をキラキラさせて、覗き込んでくる。


映画がいいんでしょって思いながら、

「んー……映画にする」

「じゃあ時間調べるねー」

よっぽど嬉しいのかピョンピョン跳ねて、パソコンを開いて検索をしている。


「もぐもぐもぐ……おいしい」

パンを頬張りながら青い空を眺める。

ふわふわの白い雲。

ピカーンと光る太陽。


……今日はいい天気なのに、映画かぁ……

「もぐもぐもぐ……」

山じゃなくてもいいから、散歩したいなぁ。

そう思っていると、調べ終わったのかリビングに戻ってきた彼。


「何時からだった?」

「それが……」

「んー?」

「まだだった」

「まだって?」

「来週からだった……」

「えー!ちゃんと調べてなかったの?」

「うん……」

彼はたまーにおっちょこちょい。

密かに楽しみにしていたせいかちょっと落ち込んでいる。


もう、仕方ないなぁ。

「映画はまた今度にして、せっかく天気いいんだからピクニックにいこー」

「うん……」

「大好きなホットケーキ作ってあげるから」


わたしのその言葉に、表情がぱあっと明るくなる。

「じゃあ僕、リンゴ切るね」

「うんっ」


我が家の日曜日。

持ちつ持たれつ、仲良くやっています。



こんな日曜日なら来るのが待ち遠しいですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 何気ない特別じゃないそんな普通な感じの日曜日が、温かくそして心地よい感覚が、映像として目に浮かぶようです。読んでて仄々とさせられました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ