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脳筋騎士視点 或いは 騎士は見ていた

学園に入学して暫くして、殿下からの指名で学園内の護衛をすることになった俺、モーディフ・ファシムス。


勿論卒業後も護衛騎士になる。

まあ、学園はセキュリティもしっかりしているから、予行練習の様な感じだ。


しかしながら不足の事態とでも言うのか、殿下の周りをチョロチョロとする不審人物が…。

だがその人物は女生徒なので、大した事は起きないだろう。


相手が女生徒なのだから、何かあっても殿下と、始終一緒に行動しているヴェーラズ様が対処できる、むしろ同性で有るザレムル嬢に危害があるかもしれないと、ザレムル嬢の警護をする事となった。


だからと言って特定の女性の、しかも殿下の婚約者と近寄りすぎるのは問題がある。

少し離れた場所から警護する事となる。


そうして見ていると、殿下の周りをチョロチョロしているピンク頭が、ザレムル嬢の周りでも出没しているのが分かった。


出没と言っても校舎が違うし、送迎の場所は校舎の出入り口まで来るので、講堂や図書室、礼拝堂へ向かう時にすれ違うくらいだ。


そのすれ違いざま、自分で手荷物を撒き散らし、ザレムル嬢がやったと絡んだり、わざと転んで転ばされたと叫んだり……。


いちゃもんをつけている以外のなにものでもない。

勿論周りの生徒も馬鹿じゃない。

自作自演なのはバレバレだからな、誰も彼女に手を貸さない。


一週間前、自習室で男子生徒と何か問題を起こしたらしく、停学処分を受けていたのだが、今日から復学している。


ザレムル嬢は放課後、テスト明けにあるボランティア活動の最終打ち合わせのため、礼拝堂へ向かった。


俺は礼拝堂の入り口が見える菩提樹に寄りかかり、人の出入りを見張っていたら、やはりと言うか、またかと言うか、ピンク頭がやって来た。


ピンク頭は礼拝堂の庭にある噴水に、一人でダイブして、一人で保健室へ向かったけど、一体何がしたいんだか。


取り敢えずよく転ぶ彼女は、体軸を鍛えるべきだと思う。


体軸トレーニングの教本を差し入れしてやろう。





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