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宰相の息子視点

私の名は、ハシヴァル・ヴェーラズ 、父は宰相として、国に仕えている。


私は同じ歳で幼馴染でもある殿下と共に、講堂へ向かっている。

入学式で殿下が挨拶をする為だ。


その途中、不審者が現れた。



いきなり茂みを突っ切って出てくる。


怪しい。


石畳に思いっきり転ける。


鈍臭い。


殿下の歩みを止めた。


不敬である。


膝から血を流しながら、立ち上がりもせず、チラチラとこちらを見上げながら、目を爛々とさせている。


怪しい。



トータルで言って【不審者】である。


珍しい桃色の髪は、先程話に上った光魔法に目覚めたと言う男爵令嬢であろう。


不審者であり、男爵令嬢であり、光魔法所持という事は教会派である。


イコール、関わらないのが正解だ。


横目で殿下を見ると、殿下も同じ考えであろう、瞬きで合図をしてきた。


「……式での挨拶は暗記済みですか?」

「私を誰だと思っている、たかだか五分ぐらいのスピーチだぞ」

「それでは急ぎましょう…………」


私たちはこの場を無かったこととして歩みを再開した。




暫く歩き講堂へ辿り着く。

入り口で立ち止まった殿下は後ろを振り返り、誰も居ないことを確認して声を顰める。


「先程の男爵令嬢で間違い無いな?」

「そうですね」

「転んだ女性に手を差し伸べるべきだったかも知れないが…」


殿下は心優しい方だ。

本来ならすぐさま助け起こしたかったであろう。


しかしである、王族の、しかも第一王子が、見た事もない相手に手を差し伸べる事は有ってはならない。

信頼のおける者以外に無闇矢鱈と接触することは、危険なことであるのは殿下も理解している。


先程のような場合だと、殿下の近くにいる者、護衛や私のような側近が手を貸すことがあっても、殿下自身が手を差し出すことは無い。


私も一瞬手を…と思いはしたが、怪し過ぎて動くことをやめたのだ。

何が怪しいって、あの視線が怪し過ぎだ。


もしかして殿下やその側近である私に害を及ぼそうとしていたのかも知れない。


怪しむべきものには近寄らないに越したことは無い。


「先程の対応で間違いはないと思われます。

それより、殿下からの言葉を待っている者が居るのですから、行きましょう」


私が講堂の扉をノックすると、中から扉が開けられた。

顔を上げて中に入って行く殿下の後ろ姿に私は頭を下げました。





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