王子視点
私の名前は、ルークエム・ノルフェン、ノルフェン国の第一王子だ。
今日から新入生が入学して来る。
私はこの国の王子として、将来自分の下で働く者を見出さなければならない。
今は側近候補である同じ年で宰相の息子、ハシヴァル・ヴェーラズ と、入学式の行われる講堂へ向かっている。
在校生としての挨拶をするためだ。
「今年はザレムル家の兄妹と、ファシムス家のモーディフが入学して来ますね」
ハシヴァルの言葉に三人の姿を思い浮かべる。
一人は騎士団長の次男、モーディフ・ファシムス、私直属の近衛候補だ。
幾度か顔を合わせた事はあるが、挨拶程度だ。
これから一年とはいえ、同じ学舎で過ごすことにより、本質を見ることが出来るであろう。
もう二人は公爵家嫡男の、ルクスルス・ザレムル、その双子の妹のエスフィー・ザレムルだ。
ハシヴァルも併せて、家同士の交流のある私たちは、幼馴染と言ってもいいだろう。
ルクスルスは側近候補として、ハシヴァルと同様、近くにいる事は多いが、同じ学園に通う事となると、今まで以上に側にいる事となるだろう。
妹のエスフィーは5年前に決まった私の婚約者だ。
妃教育として城で顔を合わす事も多いが、婚約後は個人的な交流は少なくなっている。
私の公務が少しずつ増えていて、彼女も妃教育が忙しい様だ。
だが年々笑顔が作り物になって来ているのが気になるところだ。
「そう言えばユフ家の末の息子も入学して来るそうですね」
「ああ聞いている。
魔法の才能が飛び抜けているそうだな。
私たちより三つ下だったか?」
「ええ、今年14歳になると聞いています」
「目を掛けてやった方が良いな」
才能のある者はいつでもやっかみを受け易い。
彼も一応側近として考えているのだが、まだ若いうえに爵位が子爵家と低い。
他の候補者より【何か】をされる可能性が高いであろう。
「もうご存知かも知れませんが、最近光魔法に目覚めた女性が、男爵家の庶子として引き取られ、今年入学するようです」
「光魔法か、教会の管轄だな。
我々には関係ないな」
我が国では、治療院や薬屋、光魔法による回復療法などは全て教会の管轄だ。
領分を侵し揉め事を起こすつもりはない。
学園内では皆平等など、名目上掲げてはいるが、あくまでも建前だ。
学園は小さな社交場だ。
将来の為の実体験を積む場所と言っていい。
だから男爵令嬢と関わることなど無いだろう。
と思っていたのだが、横の茂みから桃色の髪の女生徒が飛び出してきて、我々の目の前で転けたのだ。




