一話 転移の前って一人くらい逃げられないのかな
S高校 某日
平和な日常ってなんだろうか
「朝から学校ダリー」
と叫びつつ欠伸をしながらダラダラと友達と登校して
根暗オタクインキャをいじめて
昼は、カツアゲした金で購買のパンを食べる
放課後は親が、昼間に居ない溜まり場の友達の家でゲーム三昧
たぶん今この教室に居る彼らは、それを幸せと考えていないだろう。
いや気づかないと言った方が正しいかも知れない
様々な庇護の下でそれが、成立してる事実を
「授業ダリー」
「お前ほとんど聞いてないのに関係ないだろ」
クラスの陽キャ集団の談笑
「根暗君おはよう〜今日は何を読んでるのかな〜」
「やめてよ返して」
「やめてやれよ〜河合君がかわいそうだぞ〜」
「嘘つけ〜心にも思ってねえじゃねえか」
河合の悲鳴と
「ほーら授業始めるぞ〜上山その漫画は河合に返してやれ〜」
「ふぁーい」
数人しか聞いてない授業を始めるために入って来る先生
この3音の朝のオープニングを、終えて授業が始まる
これが、このS高校2年C組の朝の日常だった
こんなダラけた生活は、卒業と同時に社会という暴力で強制終了をさせらるのを、誰もが予想していたが
その予想は、少し外れた
そんな自堕落な彼らの青春は
日常のピリオドは
卒業ではなく異世界転移だった
「なんだコレ神谷お前の床光ってぞ」
「恩田も床キラキラしてるぞ」
「キャーーーーなにこれ怖い」
至る所から悲鳴が聞こえる
「全員落ち着け急いで教室から逃げろ」
先生の一声でオオカミに追われた羊の如くドアに殺到したが
「おい!!どうなってんだドア開かねえぞ」
その怒声を、最後に2年C組の全員が気を失った
気づくいた時には、誰がどう見ても教室とは違うどこかに全員が倒れていた