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ブーストサマー  作者: 水室二人
はじまり
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青田買い?

「末永く?」

「よろしくお願いします」

 僕の呟きに、にっこりと笑顔で答えるなつさん。

「何故?」

 状況が理解できません。洗濯物は、昨日消えたものでしょう。回収されたので、洗濯してくれたのは、理解できます。

「詳しい事は、後で説明します」

 そう言うと、なつさんは去っていきます。

「説明、先にしてもらえますか?」

 おそらくいるとおもう人に、話しかけてみます。

「気づいていたのか?」

「誰かがいるとは、思いました」

 存在除去の、本来の持ち主が姿を現しました。姿を消し、感知されない存在。S級の迷宮攻略者、山野あき。公表されているデータだと、なつさんの下の兄です。現在25歳で、ヤマノ重工の最新戦闘強化服を使用した部隊を使い、数々の迷宮を攻略しているはずです。勿論、服は着ています。

「昨日もいたのですか?」

「昨日は、直属の護衛がいただけだ。命拾いしたね」

「あははは・・・」

 僕の命は、かなり危険だった見たいです。

 部屋に戻り、あきさんと向かい合います。

「重役会議の結果、君となつの婚約が決まった」

「なぜ、そうなるのです?」

「山野家の掟だ」

「まさか、裸を見られたら結婚しないといけないという掟でもあるのですか?」

「安心して良い、そのおきては100年前に無くなった」

「あったのですね・・・」

「山野家の家訓というか、裏の事情がある。君を逃すわけにはいかない」

「裏の事情って、これ以上聞くと、逃げられないということですか?」

「既に、逃げられない」

「・・・」

「君の家には、既に連絡済だ。ご両親には、婚約とは言っていないが、ヤマノ重工への就職が決まったと伝えてある」

「就職ですか?」

「表向きはね。青田買いともいう」

 にっこりと笑顔のあきさん。なつさんに似ている。

「正直、君の魔力回復はなつとの相性が良すぎるんだ」

「スキルの為ですか?」

「この世界、よくあることだよ」

「そうかもしれませんが・・・」

「既に、心に決めた相手がいるのかな?」

「そんな余裕はありませんよ。生きるので精一杯です」

「他に好きな子が出来ても大丈夫。この世界は重婚は普通にあるよ」

「あきさんは、前世持ちですか?」

「そうだよ。君もだよね?」

「そうです。精神的な年齢差があるので、婚約というのは・・・」

「大丈夫、今は差を感じるけど、数年後には違和感なくなるよ」

 口実を、塞がれました。

「とりあえず、大切な妹の面倒を見て欲しい。護衛は常時つけてあるけど、手の届かない時もある」

「彼女、それほどの人材ですか?」

「可愛い妹だよ」

「それにしては、入れ込みすぎなのでは?」

 ヤマノ重工は、軍需産業の重鎮。色々とあると思ってしまう。

「それは、追々説明しよう」

「婚約というのは、もう少し時間が経ってあらで良いですか?まずは、お互いを理解する時間が欲しいです」

「それで良いよ」

 早急に、話が進むのは良くない。少しでも、時間を稼ぎましょう。悪い気はないのですが、色々と不安のほうが大きいのです。この世界、戦いに僕はまだ慣れていません。人の人生をせおうという余裕が無いのです。

「君の、端末を貸してもらえるかな?」

「何をするのか、聞いても良いですか?」

「君は、色々と用心深いね」

「臆病者ですよ」

 世の中、怖いものだらけ。戦いに関しては、素人ですよ僕は。

「臆病者は、恥じる事ではない」

「そうであれば、良いと思っています」

「昨日の、報酬をしはらうだけだよ」

「報酬?」

「なつが、君から奪った魔力。それでEQを作ったんだ。その買取を我が家が行った。その支払い」

「そう言うことなら・・・」

 端末を渡します。支払い専用のツールを、あきさんは取り出して、その上に端末を置きます。

「空間収納ですか?」

「この手の魔道具は、迷宮で比較的手に入るからね」

 専用ツールは、ノートパソコンぐらいの大きさでした。それが何も無い場所から出現したので、驚きました。空間収納、憧れのものです。

「手数料は、今回はサービスだよ」

 端末を受け取って、金額を確認します。昨日計算した所、1万くらいの魔力を奪われた事になります。

「金額、間違っていませんか?」

 振りこまれた金額は、10万円。計算がおかしいです。人の魔力では、EQへの変換は少なくなります。出来ても10です。

 現在の相場だと、1EQは100円です。10EQで1000円。10万円だと100倍近い金額です。

「なつは腕の良い錬金術師だからね。といいたいけど、君との相性の問題。変換率が、かなり高い」

「それが、婚約の理由ですか?」

「その一つかな」

「あまり、縁を作りたくないのですが、お願いがあります」

「何かな?」

「弾薬、売ってもらえます?」

「弾薬?」

「銃使いなので、予備の弾丸が欲しいです。購買だと制限があるので、このお金で買えるだけ欲しいです」

「ふむ、そう言うことなら、後で手配しよう。この端末だと、支払いは出来ないので、その時徴収しよう」

「お願いします」

 定期的に、弾薬ほほ給できる手段が出来たと思えば、良いことだとおもう。

 購買で、大量に購入するのもいけど、最近の傾向だと銃は嫌われている。

 近接戦闘が、主流の風潮があるので、弾薬のストックが少ない。あと、微妙に相場より高い。

 後日話あう約束をして、あきさんと別れました。

 この日の学校は、色々と集中できずに散々でした。明日から、迷宮訓練なので、しっかりしないと駄目です。


「こんばんわ」

 夜になり、部屋に誰かが尋ねてきました。誰かとは分っていますけどね。

「何か用ですか?」

 ドアを開けると、なつさんがいました。

「エナジードレイン!」

「ちょっ!」

 出会いがしらに、魔力を奪われます。物凄く、楽しそうです。

「これで、1万魔力です。支払いと帳消しです」

「だ、弾丸は?」

 魔力の量が増えていて、助かりました。

「持って来ました」

 そう言いながら、手ぶらで彼女は部屋の中。服を着ているので、その中に、魔道具を持っているのでしょう。

「これだけで、最大値が上がっているから恐ろしい・・・」

 ゼロになっていなくても、魔力の最大値が5だけ上昇しています。こちに利益がありすぎるのが、怖いのです。

 彼女のあとを追いながら、そう実感するのでした。

 

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