顕現
やけになった人間は、ろくでもないことを考える。
崑崙で、死ぬ直前まで追い詰められた連中は、憎悪を高めている。
世界を支配する為に、他の大陸の迷宮を破壊して、龍を顕現させた。
世界は混乱して、目論見は叶うはずだった。
龍は、彼等の大陸にも出現した。
討伐は可能なはずだった。
しかし、作戦は失敗。龍の災害が大陸を襲った。
大陸は壊滅。地下都市崑崙に逃げ込み、地上奪還を夢見て、色々と暗躍していた。
そのずべては、失敗した。
食料プラントを、隕石で破壊された。偶然だとは思わない。
崑崙には、5万人の市民がいた。5人の支配者がいた。
5人のために、5万人が死に、残った5人ももうすぐ死ぬ。
ただでは死なない。
道連れに、この世界を滅ぼそう。
星喰いを呼ぶ方法は、確立した。
我々を救えなかった、自由冒険者組合の連中を生贄に、呪いは完成する。
滅びあれ・・・。
ミームが苦労して手に入れた情報です。
プロテクトが堅固で、時間がかかったそうです。
世界の歴史を確認していると、不自然に迷宮が溢れた次期がありました。
その原因を調査していたら、崑崙を発見。
既に、儀式は完成しているみたいです。
昨日、自由冒険組合に所属していた人員が、不自然な大量死をしました。
その表情は苦悶で歪み、恐ろしい怨嗟を撒き散らしているそうです。
「ギリギリ、間に合いそうかな?」
急ピッチで、作業が進められる。
今の状況で、星喰いが顕現したら、この星は一瞬で消える。
逃げ出す時間もない。
だから、戦いの道を選ぶしかない。
「仁君、こちらの準備は順調です」
「進行状況は?」
「40%ですけどね」
なつ様は、チャウス部隊を引き連れて、迷宮の攻略をしてもらっています。
少しでも怨念を解き放ち、EQを回収する為です。
今回の作戦に、エネルギーは必要です。
「仁君、プログラムの書き換えは、終了しました」
「工場の製作機械、セッティング終わりました」
紺と緑は、兵器工場を運用してもらっています。
宇宙船の工作機械を使って、必要な部品を製作中です。不足していた資材は、月にあった海野家の宇宙船ギガノスを使用。ついでに、月そのものを解体して、資源にしました。理由は単純です、顕現する星喰いは、月を寄り代にします。今解体しても、結局消えるので、有効な資源にします。
星喰いの出現は、既に世界中に知れ渡っています。崑崙の生き残りが、嫌がらせで知らせました。
生き残って、抵抗を続けていた人は、そのほとんどが諦める寸前でした。
ただでさえ、希望もなくつらい日々。磨り減る精神。
絶望に身を任せ、いっそ楽になりたい。
そう考える人の前に、それ出現しました。
「グリーンベア、突貫します!」
量産に成功したグリーンベアの部隊が、世界中を駆け巡りました。
山野家と海野家だけでなく、勇者連合の人間も、作戦に参加しています。
優れたOSの開発に成功したので、素人でもそれなりに戦えます。
勇者連合の人間は、不満気でしたが、巨大ロボに載って戦うということに、ロマンを感じる人間は多かったです。
時間がなかったので、ほぼ無償で提供しています。一応、安全装置は付いているので、悪用される可能性は少ないです。
世界中で暴れ周り、各地に残った資源を回収して、それを元に、数を増やす。
最終的に、1万まで増えた量産型グリーンベアは、守り神として認識されています。
ただ、これでも星喰いには勝てません。
「仁君、最終兵器完成しました」
突貫工事で、作っていた物が完成しました。
「状況は?」
「照準、ゲルゾルバにて目標を捕らえています」
「何とか、間に合いましたか・・・」
研究の結果、考案していた装置を急ピッチで完成させました。
宇宙空間での作業は、チャウスが活躍しました。多足歩行戦車となったチャウスは、前足の部分を器用に使い、短時間で工作が可能になりました。
それを集中管理して、巨大な宇宙要塞を建造。12隻の宇宙船は、姿を変えて要塞となりました。
月を取り囲むように、12の要塞が浮かんでいます。
「重力の異常を確認」
嫌な気配です。
ここの奥底に、染み込んでいる嫌な記憶。
「月の中心部に、超重力を確認」
「他への影響は?」
「今の心、ありません」
オリジナルのグリーンベアの中、そこから僕たちは月を監視しています。
「星喰い、出現します・・・」
なつ様が、モニターを見て静かに呟きます。
月が黒く染まり、そこから、何かが染み出します。
「これが、星喰い?」
怨念の塊。
最悪の災害。
月が消え、闇夜よりも暗い闇が浮かんでいます。
「作戦開始!」
顕現を確認したので、こちらも行動を開始します。
人類の存続をかけた、一戦です。
3の倍数の日に、高等予定です。
次で、本編は完結予定です。




