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ブーストサマー  作者: 水室二人
学園編 
33/42

狸と狐

 色々と、確認できた。

 終わった世界の事。

 滅んだ世界の事。

 死んだ人の事。

 殺した事。


「最低ですね・・・」

「誰がです?」

「僕です」

「何で?」

 隣で寝ていた緑が、僕の独り言に気づきました。

「色々とです」

「紺ちゃんの事、忘れていた事?」

「それもあります」

 前世関係もそうですが、なつ様と紺と結ばれた後、しばらく二人に溺れていたのです。それで、紺と少し距離ができていた時期があります。

「ぼくの事、思い出しているのに、聞かない事?」

「・・・」

 緑の中には、複数の存在が混ざっています。前世で作った生物兵器。それらが一つになって転生しています。その事で、色々と視た結果、落ち込んでいます。

「嬉しい?」

「何故そうなる?」

「ぼく達の願い事、叶ったんだよ。ぼくは嬉しい」

 普通の女の子として生活する。それがいつかかなえたい夢。

「僕の力で、叶えた夢じゃない・・・」

 これを実現したのは、システムと言う存在で僕じゃない。それなのに、喜んでしまった。それが、最低。

「最低でもいいよ。ぼくは、好きだから」

「・・・」

「元気になれる贈り物あるけど、いる?」

「どんな?」

「残念だけど、エッチなものじゃないよ」

「最初から、期待してない」

「嘘は、駄目だよ」

 にやにやと、笑っています。信じてもらえないのは、残念です。

「これ、どうぞ」

 もぞもぞと、服の中から小さなレンズを取り出しました。

「人肌ですよ」

「てい!」

 軽くチョップです。確かに、ほのかに暖かいですが、嬉しくないですよ?

「どうやって使えば・・・」

 途中で、思い出しました。これ、あの世界の道具です。

「レンズですか・・・」

「凄いでしょう、出来ました」

 緑はとても嬉しそう。これは、緑達のいた世界の道具です。通称レンズ。体に埋め込むタイプの、情報端末です。

「手の甲に、被せるだけの簡易タイプです」

「それでも、良く作れたね」

 開発したの、前世の僕です。

「紺ちゃんと、なつ様の共同製作です。色々と、支払いが大変でした・・・」

「支払い?」

「仁君を、独占する権利とか、過去の思い出とか、色々と支払いました」

 あの3人の中で、色々とやりとりがあったみたいです。彼女達が納得しているなら、良いでしょう。詳しく聞くのは怖いので、追及はしません。

 言われたとおり、レンズを装着します。

「僕の右手、義手だけど大丈夫?」

「勿論、対応しています」

 意識を集中すると、接続を確認しました。

「仁君、大好き!』

 という思念が、大量に流れ込んできます。

「緑?」

『大好きすぎて、困ります。どうすればいいのでしょう?』

 レンズを通して、テレパシーとして伝わってきます。

「落ち着きなさい」

『無理です。直接繋がったので、嬉しすぎるのです』

「そう言えば、あの時は出来なかったね」

『そうなのです。規格が違って、通じなかったのですよ』

 生物兵器だった彼女達と、前世の僕はレンズで繋がるのは無理でした。

『また一つ、夢が叶いました、嬉しすぎます』

『他に、かなえたい事あるの?』

 彼女に習い、こちらもレンズを使用します。思念を拾い、通信できる道具です。他にも、脳に直接映像を送る事もできます。見ている景色に、別の情報を重ねる事も出来ます。VRでの情報指示を、直接出来る感じです。

『禁じられた遊びがしたい』

『あれは、禁止事項だから、駄目』

『仁君は、紺ちゃんと遊んだ事あるのに?』

『若さゆえの過ちです。それも、前世の話です』

 レンズを使った、色々と危険な遊びがありました。VR技術の無駄使い。視界を入れ替え、別人となる。 有名アイドルそっくりさんになって、行為したり、特殊な衣装を身にまとってのプレイを楽しんだりと、需要はありました。

 ただ、色々とやりすぎた人が続出したので、禁止されました。

『おとーさん』

 あざとく、甘える声です。

『それは、駄目じゃなかったの?』

 少し後悔。見てはいけない存在がいます。

『今は、問題ないよ』

 前世の姿の、緑です。なぜか2人います。

『直接触れあうの、叶いました』

 そう言いながら、抱きついてきます。緑のはずなのに、ちがう感触です。

『ここまで、再現できるものですか?』

『協力者がいますから』

 前世で。トキトキクォの魔女と呼ばれていた紺。この言葉、あの世界で恐ろしい魔女と言う意味でした。

 あの恐ろしい魔女が、協力したのなら、不可能はないです。

 あの世界と、この世界、言葉が色々と違います。レンズという、直接意識を繋ぐ道具があったので、言葉に出すと、発音が上手く言えません。

『そう言うことでしたか・・・』

 彼女達の、本当の願い。

『00000』

 情報を詰め込んだ、データの通信。この中には、彼女の名前が含まれています。

『00000』

 もう1人の、緑に向かい話しかけます。何故二人と思ったのですが、こちらは紺です。

『ばれましたか』

『そっちは、前世の姿にならないの?』

『これも、私の姿ですよ。若い頃の』

『落ち着いてみれば、面影あるね』

『親子ですから・・・』

『名前呼ばれた、願い叶った・・・ありがとう、嬉しい』

 緑は、静かに泣いています。

『嬉しい・・・』

 このままでは、消えそうで怖いです。

『まだまだですね』

『そうですよ、幸せはこれから。夜はまだ長いわよ』

『夜は長いというか、まだ朝だけど?』

『今日は、研究の成果と引き換えに、一日独占できるのよ』

 紺が、元の姿に戻ります。管理者権限がなければ、この様な事は出来ないみたいです。

『ほら、緑も』

 言われて、緑も元の姿にになります。

『もういいの?』

「願い叶った。これから、緑。あの姿のままだと、駄目」

 直接言葉を出します。

「この世界なら、これが普通。だから、仁君、沢山愛して」

 知り合ったのは偶然だけど、前世の縁で結ばれていた2人。彼女達が、前を向くというのは、嬉しい。

 僕も、色々と覚悟を決めましょう。

3の倍数の日に、投降予定です。

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