勇者連合 その2
この世界は、作られた地獄だった。
システムという神が、溢れる憎悪を沈める為に想像した世界。
あらゆる次元に存在する憎悪を集め、魔物として送り込む。
魔物として討伐される事で、憎悪の感情は薄れるようになっている。それでも、消滅はしない。何度も繰り返す事で、浄化する仕組みになっている。
その為に、この世界の人間に力を与えている。
それだけだと不安なので、前世の知識を持ったままの転生者を生み出している。
憎悪の力が強く、急激に不利になったので、緊急手段として実行した。
試みは成功して、魔物を討伐できる環境が出来た。迷宮という試みも成功して、討伐のほうに針は向かった。
程よいペースが保たれ、世界が安定した頃、破滅が訪れた。
システムが予想していた事と、予想できなかった事が起きたのだ。
出来た事は、人間の戦争。
これは、ある程度準備していたので、破滅に向かわなかった。ある程度の被害は出たが、予想の範囲だった。
予想外だったのは、星喰いの存在。憎悪の塊であるそれは、この世界では顕現で着ないはずだった。
この世界で生まれた憎悪が、一定を超えたので、顕現してしまった。最悪な事に、用意した憎悪と混ざり合い、被害は拡大した。
ほとんどの大陸が、魔物に飲み込まれた。日本が比較的無事だったのは、勇者連合の存在が大きい。
異世界を救った勇者たち。
その生まれ変わりが、日本には大勢胃いる。
「やはり、作戦は失敗じゃったか」
「御前のの予想通りでした」
「あれで何とかなるなら、苦労はせんよ」
「ごもっとも」
勇者連合の本部で、1人の老人と若い女性が話をしている。
「あの子の様子は?」
「監視するが辛いと、苦情が多いです」
「苦労しているのか?」
「ラブラブ過ぎて、独り者には辛いと・・・」
「ここは、喜ぶべきかな?」
「妹が幸せなのは、喜びますが、嫉妬で相手を殺せたらと、日々思いますね」
「やるでないぞ?」
「我慢します」
老人の名前は、山野頂。女性は山野ふゆ。
なつの、ご先祖と姉である。祖父ではない。1000年を生きる、怪物老人である。
先日、海野一族による、大規模魔法の実験が行われた。
隕石を落とし、津波を発生させて、大陸の魔物を浄化する作戦だった。
勇者連合は、この世界の仕組みを知っています。なので、日々魔物の浄化に励んでいるます。
「隕石を破壊したのは、龍ですよね?」
「あいつらは、あれで色々と危険に敏感じゃ。脅威を判断する」
「隕石落としは、有効なのですか?」
「小惑星を落として、核の冬を作るぐらいの規模でなければ、意味が無かろう」
「それでは、こちらにダメージが大きすぎます」
「そうじゃ。ソーラーシステムを使った、衛星軌道上からの攻撃は、許可したのじゃがな・・・」
「空野家は、作戦失敗の挙句、壊滅しました」
「身内の争いは、するで無いと言っておったのにのぅ」
「愚かな事です」
「人は、いつも愚かじゃな。もう一度、実行できそうか?」
「妹に依頼すれば、出来るかもしれません」
「頼めるか?」
「難しいかと」
「なにゆえ?」
「大陸侵攻作戦を計画中とのことです」
「実現できそうなのか?」
「大陸までは、届きそうです。その後は、難しいかと・・・」
「あのお方が、真に覚醒してくれれば良いのだが・・・」
「あのお方?」
「昔の知り合いじゃよ」
「この時代にいるのですか?」
「欠片が存在する。吾らは、いろいろと道を誤った。この世界で、魔物を倒す事が、その償いになるのなら。滅びの時まで繰り返そうぞ」
「でしたら、もう少し下部の勇者を統率しては?」
「勇者も色々。問題児が多すぎるから、それなりに汚れ仕事をしているよ、わし」
「御前が苦労しているのは、わかっているつもりです」
「わしの事を、恨んでいるのかな?」
「恨みは、魔物になるから捨てました。私の中にあるのは、嫉妬だけです」
「それも、捨てて欲しいのじゃが?」
「駄目ですよ。7つの大罪は、みんなが大好きですから」
「それでは、仕方ないのう」
「拳の勇者は、駄目そうじゃな」
「ギリギリまで、使い潰します」
「頼む」
先ほど行われた、合同訓練。そのすべては筒抜けだった。その結果、拳の勇者の評価が最低地まで到達。
使えない勇者は、少しでもこの世界に役立ってから、死んでもらう。
そうすれば、次の勇者がこの世界に産まれる。転生者の数は、実はある程度決まっている。その枠をあけるために、裏で糸を引いているのが、勇者連合の本質でである。
「あの子達は、どうするつもりなのじゃ?」
「捕獲した魔物ですか?」
「共存を願っている気配は?」
仁達が隠したつもりでも、この二人には筒抜けだった。
「その可能性はありません」
「魔物の捕獲、わしらでもできなんだったのに、ようやりおる」
「御前でも無理だったのですか?」
「相性の問題じゃ。それと、捕まえる必要を感じなかったしのう」
「あれ?」
「どうかしたのか?」
「捕獲した魔物が、消滅しました」
「死んだのか?」
「解りません。消滅したと、騒いでいます」
「何か、ありそうじゃな・・・。監視は引き続き頼むぞ」
「はい」
山野ふゆ。彼女の能力は、ストーカー。愛する存在の事を、過剰なほど知りたいという願望を形に出来る恐ろしい能力。
目に入れても痛くない、可愛いなつの事を、溺愛している危ない人である。
それ故に、誰にも気づかれるkと無く、リアルタイムでなつの事を知る事が出来る。
ちなみに、あの時の最中でも、しっかりと記録している。
色々と、隠し事をしているなつ達だけど、実は筒抜けでもある。
これは、なつ達だけではない。色々と情報を得られる存在を確保している。
それらを考慮して、頂が判断する・
時には助け、時には殺す。
勇者連語という組織は恐ろしい。
3の倍数の日に投降予定です。




