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ブーストサマー  作者: 水室二人
学園編 
29/42

勇者連合 その2

 この世界は、作られた地獄だった。

 システムという神が、溢れる憎悪を沈める為に想像した世界。

 あらゆる次元に存在する憎悪を集め、魔物として送り込む。

 魔物として討伐される事で、憎悪の感情は薄れるようになっている。それでも、消滅はしない。何度も繰り返す事で、浄化する仕組みになっている。

 その為に、この世界の人間に力を与えている。

 それだけだと不安なので、前世の知識を持ったままの転生者を生み出している。

 憎悪の力が強く、急激に不利になったので、緊急手段として実行した。

 試みは成功して、魔物を討伐できる環境が出来た。迷宮という試みも成功して、討伐のほうに針は向かった。

 程よいペースが保たれ、世界が安定した頃、破滅が訪れた。

 システムが予想していた事と、予想できなかった事が起きたのだ。

 出来た事は、人間の戦争。

 これは、ある程度準備していたので、破滅に向かわなかった。ある程度の被害は出たが、予想の範囲だった。

 予想外だったのは、星喰いの存在。憎悪の塊であるそれは、この世界では顕現で着ないはずだった。

 この世界で生まれた憎悪が、一定を超えたので、顕現してしまった。最悪な事に、用意した憎悪と混ざり合い、被害は拡大した。

 ほとんどの大陸が、魔物に飲み込まれた。日本が比較的無事だったのは、勇者連合の存在が大きい。

 異世界を救った勇者たち。

 その生まれ変わりが、日本には大勢胃いる。


「やはり、作戦は失敗じゃったか」

「御前のの予想通りでした」

「あれで何とかなるなら、苦労はせんよ」

「ごもっとも」

 勇者連合の本部で、1人の老人と若い女性が話をしている。

「あの子の様子は?」

「監視するが辛いと、苦情が多いです」

「苦労しているのか?」

「ラブラブ過ぎて、独り者には辛いと・・・」

「ここは、喜ぶべきかな?」

「妹が幸せなのは、喜びますが、嫉妬で相手を殺せたらと、日々思いますね」

「やるでないぞ?」

「我慢します」

 老人の名前は、山野頂。女性は山野ふゆ。

 なつの、ご先祖と姉である。祖父ではない。1000年を生きる、怪物老人である。

 先日、海野一族による、大規模魔法の実験が行われた。

 隕石を落とし、津波を発生させて、大陸の魔物を浄化する作戦だった。

 勇者連合は、この世界の仕組みを知っています。なので、日々魔物の浄化に励んでいるます。

「隕石を破壊したのは、龍ですよね?」

「あいつらは、あれで色々と危険に敏感じゃ。脅威を判断する」

「隕石落としは、有効なのですか?」

「小惑星を落として、核の冬を作るぐらいの規模でなければ、意味が無かろう」

「それでは、こちらにダメージが大きすぎます」

「そうじゃ。ソーラーシステムを使った、衛星軌道上からの攻撃は、許可したのじゃがな・・・」

「空野家は、作戦失敗の挙句、壊滅しました」

「身内の争いは、するで無いと言っておったのにのぅ」

「愚かな事です」

「人は、いつも愚かじゃな。もう一度、実行できそうか?」

「妹に依頼すれば、出来るかもしれません」

「頼めるか?」

「難しいかと」

「なにゆえ?」

「大陸侵攻作戦を計画中とのことです」

「実現できそうなのか?」

「大陸までは、届きそうです。その後は、難しいかと・・・」

「あのお方が、真に覚醒してくれれば良いのだが・・・」

「あのお方?」

「昔の知り合いじゃよ」

「この時代にいるのですか?」

「欠片が存在する。吾らは、いろいろと道を誤った。この世界で、魔物を倒す事が、その償いになるのなら。滅びの時まで繰り返そうぞ」

「でしたら、もう少し下部の勇者を統率しては?」

「勇者も色々。問題児が多すぎるから、それなりに汚れ仕事をしているよ、わし」

「御前が苦労しているのは、わかっているつもりです」

「わしの事を、恨んでいるのかな?」

「恨みは、魔物になるから捨てました。私の中にあるのは、嫉妬だけです」

「それも、捨てて欲しいのじゃが?」

「駄目ですよ。7つの大罪は、みんなが大好きですから」

「それでは、仕方ないのう」

「拳の勇者は、駄目そうじゃな」

「ギリギリまで、使い潰します」

「頼む」

 先ほど行われた、合同訓練。そのすべては筒抜けだった。その結果、拳の勇者の評価が最低地まで到達。

 使えない勇者は、少しでもこの世界に役立ってから、死んでもらう。

 そうすれば、次の勇者がこの世界に産まれる。転生者の数は、実はある程度決まっている。その枠をあけるために、裏で糸を引いているのが、勇者連合の本質でである。

「あの子達は、どうするつもりなのじゃ?」

「捕獲した魔物ですか?」

「共存を願っている気配は?」

 仁達が隠したつもりでも、この二人には筒抜けだった。

「その可能性はありません」

「魔物の捕獲、わしらでもできなんだったのに、ようやりおる」

「御前でも無理だったのですか?」

「相性の問題じゃ。それと、捕まえる必要を感じなかったしのう」

「あれ?」

「どうかしたのか?」

「捕獲した魔物が、消滅しました」

「死んだのか?」

「解りません。消滅したと、騒いでいます」

「何か、ありそうじゃな・・・。監視は引き続き頼むぞ」

「はい」

 山野ふゆ。彼女の能力は、ストーカー。愛する存在の事を、過剰なほど知りたいという願望を形に出来る恐ろしい能力。

 目に入れても痛くない、可愛いなつの事を、溺愛している危ない人である。

 それ故に、誰にも気づかれるkと無く、リアルタイムでなつの事を知る事が出来る。

 ちなみに、あの時の最中でも、しっかりと記録している。

 色々と、隠し事をしているなつ達だけど、実は筒抜けでもある。

 これは、なつ達だけではない。色々と情報を得られる存在を確保している。

 それらを考慮して、頂が判断する・

 時には助け、時には殺す。

 勇者連語という組織は恐ろしい。



3の倍数の日に投降予定です。


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